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犬の秋バテ・寒暖差の不調|夏の疲れが出る季節の変わり目のサインと整え方

対象の目安: 全ライフステージ

ツムギ食事・健康担当
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犬の秋バテ・寒暖差の不調|夏の疲れが出る季節の変わり目のサインと整え方

「涼しくなったのに、なんだか元気がない」「便がゆるい日が続く」「あんなに好きだった散歩を渋る」。夏が終わって過ごしやすくなったはずの時期に、こうした相談が増えます。人の世界では「秋バテ」と呼ばれるものですが、犬にもよく似た調子の崩れ方が起こります。この記事の軸は、暑さそのものではなく季節の変わり目、とくに1日の中で生まれる寒暖差です。夏の食欲不振そのものや、夏の下痢、熱中症の警戒情報の見方は別の記事に譲り、ここでは「夏の負荷が残ったまま、気温の上下が大きい季節に入る」という時期特有の負担にしぼって整理します。

2026年の秋はどうなりそうか(気象庁の3か月予報から)

まず、今年の秋がどんな気温になりそうかを公式発表から確認しておきます。気象庁の3か月予報は原則として毎月25日以前の火曜日の14時に発表され、2026年は3月24日、4月21日、5月19日、6月23日、7月21日、8月25日、9月18日、10月20日、11月24日、12月22日という発表日程が公表されています。つまりこの記事を書いている2026年8月6日時点での最新版は、7月21日に発表された8月から10月を対象とする予報です。

その予報では、向こう3か月の気温について「沖縄・奄美を中心に全国的に暖かい空気に覆われやすいため、沖縄・奄美では高く、北・東・西日本では平年並か高いでしょう」と説明されています。地域ごとの3か月平均気温の確率は、北日本・東日本・西日本がいずれも「低い20%・平年並40%・高い40%」、沖縄・奄美が「低い20%・平年並30%・高い50%」です。

月別に見ると、組み立てはもう少しはっきりします。

北日本東日本西日本沖縄・奄美
8月20 / 40 / 4010 / 40 / 5010 / 40 / 5020 / 30 / 50
9月30 / 40 / 3030 / 40 / 3030 / 40 / 3020 / 40 / 40
10月20 / 40 / 4020 / 40 / 4020 / 40 / 4020 / 40 / 40

数字は「低い / 平年並 / 高い」の確率(%)です。8月は東日本と西日本で「高い」が50%と大きく、9月は北・東・西日本がいずれも30 / 40 / 30、つまり気候的な出やすさとほぼ同じ、10月はふたたび「平年並か高い」に寄っています。

ここで押さえておきたいのが、この「平年並」という言葉の意味です。気象庁は1991年から2020年までの30年間の値を並べ、11番目から20番目までの範囲を「平年並」、それより低ければ「低い」、高ければ「高い」と定めています。過去30年で3つの階級がそれぞれ10回ずつ出るので、予測材料がなければ確率は33%ずつになります。これを気候的出現率と呼びます。「平年並」は「涼しい」でも「快適」でもなく、あくまで例年どおりという意味だということです。

3か月予報の発表日程は気象庁「季節予報の発表日(令和8年3月〜令和9年3月)」、向こう3か月の見通しの文言と地域別・月別の確率は気象庁の季節予報解説資料(2026年7月21日発表・対象期間2026年8月〜10月)に基づきます。3階級の定義と気候的出現率は気象庁「3つの階級について」に基づきます。予報は更新されるため、実際に秋を迎える前に最新の発表を確認してください(次回発表は2026年8月25日)。

そして忘れてはいけないのが、この夏の負荷がすでにかなり大きかったことです。気象庁は2026年8月3日の報道発表で、「国内で初めて5日連続の酷暑日を記録するなど、8月2日時点で延べ27地点で酷暑日を記録しました。7月中旬と下旬の西日本の平均気温は、統計を開始した1946年以降の最も高い記録となりました」と発表しました。この発表には8月4日付の追記があり、酷暑日は8月3日時点で延べ34地点となり、2025年の30地点を上回って、比較可能な2010年以降で最も多くなったとされています。なお「酷暑日」は最高気温40℃以上の日を指す名称で、気象庁が2026年4月17日に決定した予報用語です。同じ発表では、8月も西日本を中心に気温がかなり高い日が多くなる見込みとされています。

メモ

気象庁の3か月予報が予報しているのは、月平均気温や3か月平均気温が平年と比べて高いか低いかであって、1日の中の朝晩と日中の気温差(日較差)ではありません。秋の寒暖差は、予報が「平年並」でも普通に大きくなります。「今年の秋は平年並らしいから安心」ではなく、「例年どおりの寒暖差はやってくる」と読むのが実務的です。

犬の「秋バテ」をどう考えるか

はじめに正直にお伝えしておくと、犬の「秋バテ」は獣医学の診断名ではありません。人の世界で使われる言葉が、そのまま犬にもあてはめられている面があります。ですから「うちの子は秋バテです」と決めつけるのではなく、季節の変わり目に不調が増えやすい理由をいくつかに分解して考えるほうが、実際の対処につながります。

犬の体温調節のしくみから見ていきましょう。獣医師向けの解説では、「イヌは体表が被毛で覆われており、またヒトと異なり体全体から汗をかくことができません」とされ、夏場の唯一の体温調節方法はパンティング(口を開けた浅く速い呼吸)になると説明されています。この解説に掲載されている鹿児島大学の研究(藤田省吾ら、1980年)のビーグルでの測定では、標準的な呼吸数が20回から30回程度であるのに対し、室温33℃の環境では毎分336.0回まで増加したと示されています。熱を逃がすこと自体に、それだけの労力を使っているということです。

環境省の熱中症予防情報サイトに掲載されている獣医師の資料(平成31年度熱中症対策シンポジウム、井上動物病院 井上快 獣医師)でも、イヌやネコは汗腺が足の裏にしかなく、汗をかかない動物の体温調節は対流や蒸発(呼吸)による放熱がメインになること、そして「気温が体温近くになると呼吸による体温調節がうまくできなくなってしまう」ことが説明されています。あわせて、蒸発による熱の喪失は「湿度が80%を超えると効果は最小になる」ともされています。犬にとって、高温と高湿度は別々ではなく重なって効いてくる負担なのです。

パンティングが夏場の主な体温調節手段であること、室温33℃でのビーグルの呼吸数の実測値は本町獣医科サポートの解説と、そこで引用されている藤田省吾ら(鹿児島大学、1980年)の測定に基づきます。汗腺の分布、放熱のしくみ、湿度80%超で蒸発による放熱の効果が最小になることは、環境省 熱中症予防情報サイト掲載の井上快 獣医師の資料に基づきます。

では、その負担が終わったあとに何が起きるのか。ここは、はっきりした研究データが手元にあるわけではないので、獣医師の臨床的な説明を紹介するにとどめます。ペットの健康診断を推進する獣医師団体Team HOPEの健康相談室では、太田亟慈 獣医師が「わんちゃんも人間と同様、気温の変化により体調を崩しやすくなります。特に秋は気温の寒暖差が大きいことがよくあるので、身体に負担がかかりがちになります。症状としては、下痢や嘔吐などの胃腸障害を起こすことが多いようです」と答えています。

動物病院の解説では、そのしくみが自律神経の側から説明されることもあります。湘南ルアナ動物病院のコラムでは、朝晩の寒暖差が激しい季節は犬の体温調節がうまくいかず自律神経が乱れやすくなること、消化管は交感神経と副交感神経の支配で動いているため、このバランスが崩れると腸の動きが不安定になり下痢や軟便を起こすことがあると説明されています。同じコラムでは、とくに小型犬や老犬は体温変化に弱く影響を受けやすい傾向がある、ともされています。

9月に入って涼しくなったから安心していたら、朝晩だけ冷える日が続いた週にお腹をこわしました。夏の間ほとんど散歩に行けていなかったので、急に距離を戻したのもよくなかったのかもしれません。
ミニチュア・ダックスフンドと暮らす飼い主

数字の目安として引用されることが多いのが「1日の気温差」です。東福岡たぬま動物病院のコラムでは、夏から秋の変わり目に下痢が増える要因のひとつとして「1日の気温差が7度以上になると犬は下痢をしやすくなる」という説明が紹介されています。ただしこれは臨床の経験則として示されているもので、根拠となる研究が明示されているわけではありません。数字そのものを厳密なしきい値として扱うより、「昨日今日で朝晩の冷え込みが強まったな」と気づくためのきっかけとして使うのがよいと思います。

同じコラムでは、秋の食欲不振の背景として、夏の暑さで胃腸が疲れて機能が低下していること、夏の間の運動不足や栄養不足で腸の活動が低下していることが挙げられています。なお同じコラムには「夏に水を飲みすぎて消化液が薄くなっている状態が続いている」という説明もありますが、こちらも根拠となる研究が示されているわけではありません。少なくとも、夏や秋の飲水を控えたほうがよいという意味ではない点は、はっきりさせておきます(後述のとおり、水分を切らさないことはこの季節の基本です)。管理栄養士監修のコラムでも、秋バテの背景として夏からの疲れの蓄積、朝夕との気温差、そして散歩量の減少による運動不足が挙げられています。

注意

「秋バテだろう」という自己判断で様子を見続けるのは避けてください。食欲不振や下痢は、季節と関係のない病気のサインとしても出ます。とくに、症状が数日続く、体重が落ちてきた、これまでと明らかに様子が違うといったときは、原因の切り分けを動物病院に任せてください。

秋に増えやすい不調のサインと、その背景

秋の入口で気づきやすいサインを、背景とセットで整理しておきます。どれも「必ず季節のせい」ではなく、病気が隠れている可能性を含んでいる点は先にお断りしておきます。

気づきやすいサイン背景として説明されていること
軟便・下痢が続く寒暖差による自律神経の乱れで腸の動きが不安定になる。夏の胃腸の疲れが残っている
嘔吐する胃腸障害として下痢とともに出やすいとされる
食欲が戻らない残暑が続いて夏の食欲低下が持ち越される。夏の運動不足で活動量が落ちている
逆に食べすぎる涼しくなって食欲が戻り、食べすぎで腸内環境が乱れることがある
散歩を渋る、足腰が弱った印象暑い夏に散歩の時間や回数が減り、筋肉が落ちている
水を飲む量が減った涼しくなって飲水量が落ち、尿量が減る
皮膚をかゆがる、フケが出る秋からの乾燥、換毛期、季節性のアレルゲン
抜け毛が急に増えた夏毛から冬毛への換毛期

飲水量については、少し補足しておきます。獣医師監修の解説では、だんだんと涼しくなって飲水量が減ることで泌尿器のトラブルにつながる可能性があること、水分摂取量が足りず尿の量が減ったり古い尿を膀胱に溜め続けたりすると膀胱炎につながることが説明されています。とくにシニアは脱水しがちなので注意が必要ともされています。別の動物病院の解説でも、気温の下がる冬場は飲水量が減り免疫力も低下するため膀胱炎になりやすいとされ、ドライフードをふやかす、ウェットフードを加える、水飲み場を増やす、暖かい部屋に水飲み場を移すといった工夫が紹介されています。秋は、その入口にあたる時期です。

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皮膚については、獣医師監修の解説で「犬の皮膚は人の皮膚の1/3ほどの厚さしかありません」とされ、とくに毛が薄い下腹部などは乾燥によりかゆみや赤みが出たり、かくことで皮膚バリアが傷ついて細菌が増えたりすることがあると説明されています。同じ解説では、下腹部などの毛が薄い部分の皮膚に縦に白い筋が入っているときは皮膚が乾燥しているサインだ、という具体的な見分け方も紹介されています。

抜け毛については、獣医師監修の解説で、換毛期があるのはダブルコートの犬種で、秋の換毛期は秋から11月ごろまでとされています。あわせて「最近は、室内で一定の気温で飼育されている子が増えていることから、はっきりした換毛期がない場合や換毛期がずれる場合もあります」とも説明されています。エアコンの効いた部屋で過ごす時間が長い子では、教科書どおりの時期にならないこともある、ということです。

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残暑はまだ終わっていない(秋の熱中症とエアコンを切るタイミング)

季節の変わり目の話をするうえで、最初に釘を刺しておきたいのがここです。秋になったからといって、暑さのリスクがゼロになるわけではありません。

環境省と気象庁による熱中症警戒アラートは、令和8年度は2026年4月22日から10月21日まで運用されています。警戒アラートは、府県予報区等内の暑さ指数情報提供地点のいずれかで、翌日または当日の日最高暑さ指数が33以上となることが予測される場合に発表されます。人向けの制度ですが、10月下旬まで運用される仕組みだという事実は、残暑の危険がいつまで想定されているかを示す目安になります。

犬についても、9月に重い熱中症が起こった実例が公的資料に載っています。前述の環境省掲載の獣医師資料には、2017年9月13日、横浜市の日中最高気温31度、前日まで雨が続いて当日は晴れという日に、17歳の柴犬とビーグルのミックス(かなり肥満)が自宅で朝に意識のない状態で見つかり、来院時の体温が40.3℃だった重度の症例が紹介されています。この子はレントゲン検査で肺に腫瘍と思われる大きな陰影も確認されており、高齢・高度の肥満・肺の異常という素因が重なった症例です。それでも、最高気温31度、9月の半ばという条件で重度の熱中症が起こった記録であることに変わりはありません。「もう9月だから」という油断が通じないことがよく分かる例だと思います。

危険

激しいパンティングが止まらない、よだれが大量に出る、ふらつく、意識がもうろうとする、けいれんを起こすといった様子は、季節を問わず緊急事態です。同じ資料では、体温が40℃を超えると熱中症の危険があるとされ、重度熱中症の合併症は体温低下後も進行し、報告によっては死亡率が36〜46%になることもあると説明されています。ためらわずに動物病院へ連絡し、指示を仰いでください。

一方で、統計的には9月に件数が減るのも事実です。アニコム損保が公開している集計では、9月は7月・8月と夏日の日数が大差ないにもかかわらず熱中症の件数が大きく減少する傾向が見られるとされ、その理由として、8月・9月には暑さに対してペットの体が慣れてくることや、飼い主が散歩の時間や室温に十分な対策を行っていることが推察されています。同社の2025年のニュースリリースでは、2024年の熱中症の診療件数は犬が1,453件、猫が171件で、犬と猫あわせて7月に541件、8月に385件だったこと、例年4月頃から診療件数が増加し5月は4月の2倍以上になることが示され、「暑さに体が慣れていない4月〜5月」と「梅雨が明けて本格的な暑さが始まる7月〜8月」がとくに注意とされています。

つまり、体が暑さに慣れているぶん秋の件数は減るけれども、慣れがあっても条件がそろえば起こる、という読み方になります。そして注意したいのが、涼しくなって散歩の距離や時間を一気に戻した日です。夏の間に運動量が落ちていた犬が、久しぶりに長く歩いた残暑の日は、体への負荷が想像より大きくなります。

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    エアコンは日付ではなく室温と湿度で切る

    「9月になったから」で切るのではなく、部屋の温度と湿度を見て判断します。獣医師の資料では、室内で快適に過ごせる目安として室温22〜25℃、湿度50〜60%が挙げられています。動物病院のコラムでは、冷暖房の切り替え時期は部屋の温度差が大きくなりがちなので室温は20〜25℃前後を目安に調整するとよいとされています。数字に幅があるのは、犬種・被毛・年齢で快適域が違うからです。
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    夜間だけ切る、から試す

    日中はまだ暑く、夜だけ涼しいという日が続く時期です。切るなら夜間から、そして翌朝に犬の様子(寝床の選び方、パンティングの有無、便の状態)を確認します。一気に通年オフにしないことがコツです。
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    散歩は時間帯を戻しつつ、距離は少しずつ

    夏の間に早朝や日没後に寄せていた散歩時間を秋の時間帯へ戻していく段階でも、距離や運動量は急に戻さず、1週間から2週間かけて少しずつ増やします。動物病院のコラムでも、季節によって散歩時間が変わるとストレスや腸のリズムが乱れやすいため、無理のない範囲で一定のペースを保つことがすすめられています。
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    地面の熱さは9月も確認する

    気温が下がっても、日中の日差しでアスファルトは熱を持ちます。手の甲を5秒ほど地面に当てて確かめる習慣は、秋も続けてください。

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家庭で整える、寒暖差にやさしい暮らし

ここからは、季節の変わり目に負担を減らすための具体的な調整です。どれも派手さはありませんが、積み重ねで差が出ます。

室温と湿度、そして「逃げ場」

数字の目安は前の章のとおりですが、それ以上に大切なのが、犬が自分で快適な場所を選べるようにしておくことです。エアコンの風が直接当たる場所と当たらない場所、床が冷たい場所と毛布のある場所。両方を用意しておけば、犬は自分でいい場所を選びます。朝晩だけ冷えるこの時期は、日中は涼しいところ、夜は暖かいところ、と選び直せることが大事です。

寝床は「冷やす」から「包む」へ移していく

夏に使っていたひんやりマットやアルミプレートは、朝晩が冷えてくると体を必要以上に冷やすことがあります。とはいえ日中はまだ暑い。おすすめは、しばらくのあいだ両方を並べて置いておくことです。犬が冷たいほうを選ぶ日と、毛布の上で丸くなる日があるはずで、その選び方自体が体感温度のいい指標になります。床からの冷えが気になるようになったら、寝床の下に一枚敷いて底冷えを断つと変わります。

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食事は「急に変えない」が最優先

秋になると「胃腸にやさしいフードに切り替えよう」と考えたくなりますが、体調が揺れている時期の急なフード変更は、それ自体が下痢の引き金になります。動物病院のコラムでも、フードを切り替える場合は1週間ほどかけて徐々に行うことが腸への負担を減らすとされています。

食べにくそうにしているときの工夫としては、管理栄養士監修の解説で、ドライフードを30〜40℃のぬるま湯でふやかして与える方法が紹介されています。香りが立ち、やわらかくなって食べやすくなります。トッピングを足したくなる時期でもありますが、量は少なめにとどめ、いつものフードが主役であるようにしてください。涼しくなって食欲が戻ったときの食べすぎも、腸内環境の乱れにつながることがあります。

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水分は秋も切らさない

涼しくなると自然に飲水量は落ちます。夏に「熱中症対策で水を飲ませよう」と意識していた気持ちを、そのまま秋に持ち越してください。水飲み場を複数用意する、器の位置や高さを変えてみる、ウェットフードやふやかしフードで食事から水分を摂る、といった方法が動物病院や獣医師監修の解説で紹介されています。冷たすぎる水を嫌がる子もいるので、常温に近い水を用意しておくのも一つの手です。

被毛のケアは換毛期を見越して

秋は夏毛から冬毛へ入れ替わる時期です。獣医師監修の解説では、毛が抜け替わる際に毛玉ができてしまうこともあるため、こまめなブラッシングやシャンプーがすすめられています。ブラッシングは抜け毛を取るだけでなく、皮膚を直接見る機会にもなります。ただし、皮膚に直接ブラシを当てたり、毛玉を無理に引っ張ったりすると痛みや皮膚炎につながるとも注意されているので、力を入れすぎないでください。シャンプー前にもつれを解いておくと、乾かすときに毛玉になりにくくなります。

季節の変わり目に見ておきたい毎日のチェック

  • 便の状態(かたさ・色・回数)が3日前と比べて変わっていないか
  • 朝いちばんの食いつきが落ちていないか
  • 散歩に出るときの様子(玄関での動き、歩き出しの速さ)
  • 水の減り方が急に落ちていないか
  • 寝る場所の好みが変わっていないか(冷たい床から毛布へ、など)
  • 下腹部など毛の薄い部分に白い縦筋や赤みが出ていないか
  • 抜け毛の量が急に増えていないか

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子犬・シニア・持病のある犬で気をつけたいこと

同じ寒暖差でも、こたえ方には差があります。環境省掲載の獣医師資料では、熱中症になりやすい動物の特徴として、幼若動物は体温の調節が未熟で活動的であること、高齢動物は脱水傾向で呼吸がゆっくりであることが挙げられています。あわせて、肥満は皮下脂肪が断熱層の役割をして体内で産生した熱を蓄えてしまうこと、短頭種は気道が狭く呼吸による蒸発での体温調節が苦手であること、日本犬やシベリアン・ハスキーなどの北方犬種は毛が密で寒さに強いが暑さに弱いこと、糖尿病や腎不全など脱水傾向にある動物や呼吸器疾患のある動物、心臓が悪い場合はとくに重症化しやすいことも説明されています。

  • 子犬: 体が小さく体温の変動を受けやすい。下痢が続くと脱水や低血糖につながりやすいため、様子を見る時間を長く取らない。前述の動物病院のコラムでも、生後4か月齢未満の子犬には自宅での絶食はすすめられていません。
  • シニア犬: 脱水しやすく、飲水量の低下が響きやすい。朝晩の冷え込みで関節をかばうそぶりが出ることもあります。寝床の底冷え対策と、滑らない床を優先してください。
  • 短頭種: 残暑の蒸し暑い日は9月でも呼吸の負担が大きくなります。散歩を戻すタイミングは他の犬種より慎重に。
  • 持病のある犬: 服薬中の子は、体調の揺れを自己判断で「季節のせい」と処理せず、かかりつけに相談しておくと安心です。

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ヒント

体調の変化を記録しておくと、受診のときに役立ちます。カレンダーやスマホのメモに「便の状態」「食欲」「その日の最高気温と最低気温」を一行ずつ書き残すだけでも、季節性のパターンが見えてきます。翌年の秋に備える資料にもなります。

受診の目安と、秋特有の落とし穴

動物病院に相談したいサイン

家庭で整えられるのは環境と生活リズムまでです。次のような場合は、季節の変わり目のせいと決めつけず、早めに相談してください。動物病院のコラムで挙げられている受診の目安をもとにまとめました。

早めに相談したいサイン

  • 24時間以上、下痢が続いている
  • 元気や食欲がない
  • 嘔吐を伴う
  • 血便や黒い便が出る
  • 体重が減ってきている
  • 子犬・老犬・持病のある犬の下痢
  • 丸1日以上まったく食べない
  • 水をほとんど飲まない、または急に飲む量が増えた

同じコラムでは、これらの症状がある場合、感染症や膵炎、内分泌疾患など、季節の変わり目とは関係ない病気が隠れていることもあると説明されています。「秋だから」で片づけないほうがよい理由は、ここにあります。

なお、軽度の下痢で元気も食欲もある場合に、12〜24時間程度の絶食で腸を休ませる方法が紹介されることがあります。ただし前述のとおり4か月齢未満の子犬には推奨されておらず、絶食中も水分補給は必要とされています。持病のある犬やシニア犬では判断が変わるため、自己流で始める前にかかりつけに確認してください。

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台風と気圧の変化

秋は台風のシーズンでもあります。獣医師監修の解説では、強風や雷などふだんと違う物音にストレスを感じて具合が悪くなる犬がいること、台風による気圧の変化については、人では偏頭痛が起きたり関節リウマチによる痛みが悪化するという報告があるものの、犬ではそうした症状を確認することが困難でどこまで気圧の影響があるか分からない、と正直に書かれています。そのうえで「台風後に体調をくずす犬が多いのは確かです」とされ、てんかん発作の既往歴がある犬は気圧の変化で発作が起こりやすくなるため注意が必要で、天気と発作を記録してかかりつけに相談するとよい、と案内されています。

犬の「気象病」については断定できる段階ではない、というのが誠実な言い方だと思います。ただ、音への恐怖は明確に対処できる領域です。

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秋の花粉、そして誤食

秋にかゆがるのは乾燥や換毛だけが理由ではありません。ブタクサ、ヨモギ、カナムグラといった草本花粉が飛ぶ季節でもあります。この点は別記事で詳しくまとめているので、そちらを参照してください。

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食べ物の落とし穴もこの季節ならではです。獣医師監修の解説では、ぶどうは犬にとって危険な毒物で、中毒の原因物質は特定されていないものの腎臓が障害され最悪の場合は死んでしまうこと、感受性には個体差があり数粒で腎障害が発生するケースもあるため「少しだから大丈夫」とは言えないこと、レーズンや皮だけ・実だけでも危険性は変わらないことが説明されています。また、ハイキングなどで野生のきのこを食べてしまう危険や、山に落ちている大きな種を噛まずに飲み込むと消化管に詰まる可能性も挙げられています。秋の散歩道に落ちているどんぐりや銀杏も、同じ考え方で警戒したい対象です。

危険

ぶどうやレーズンを口にした可能性があるときは、量が少なくても、症状がなくても、すぐに動物病院へ連絡してください。無症状でも腎障害が進行していることがあると説明されています。何を、いつ、どれくらい口にしたかを伝えられるよう、包装や現物を持参できると診療の助けになります。

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よくある質問

犬にも「秋バテ」はあるのですか。
「秋バテ」は獣医学の診断名ではなく、人の言葉が犬にもあてはめられているものです。ただし、獣医師団体Team HOPEの健康相談室では、犬も気温の変化により体調を崩しやすく、とくに秋は寒暖差が大きいため身体に負担がかかりがちで、下痢や嘔吐などの胃腸障害を起こすことが多いと説明されています。病名として構えるより、季節の変わり目に負担が増えると理解して環境を整えるほうが実際的です。症状が続くときは動物病院で相談してください。
2026年の秋は暑いのでしょうか、涼しいのでしょうか。
気象庁が2026年7月21日に発表した3か月予報では、8月から10月の3か月平均気温は北・東・西日本で平年並か高い、沖縄・奄美で高い見込みとされています。月別では8月は東日本・西日本で高い確率が50%、9月は北・東・西日本で低い30%・平年並40%・高い30%、10月は全国的に低い20%・平年並40%・高い40%です。ただし3か月予報は月平均気温の平年からのずれを示すもので、1日の中の寒暖差までは予報していません。予報は更新されるので、最新の発表を確認してください。
エアコンはいつ切ればいいですか。
日付ではなく室温と湿度で判断してください。環境省の熱中症予防情報サイトに掲載された獣医師の資料では、室内で快適に過ごせる目安として室温22〜25℃、湿度50〜60%が挙げられています。動物病院のコラムでは、冷暖房の切り替え時期は室温20〜25℃前後を目安に調整するとよいとされています。まずは夜間だけ切ってみて、翌朝の犬の様子や便の状態を見ながら段階的に調整するのが安全です。
9月でも熱中症になりますか。
なります。環境省掲載の獣医師資料には、2017年9月13日、横浜市の日中最高気温31度の日に、17歳の「かなり肥満」の犬が自宅で意識のない状態で見つかり、来院時の体温が40.3℃だった重度の症例が紹介されています(この子はレントゲン検査で肺に腫瘍と思われる大きな陰影も確認されています)。人向けの熱中症警戒アラートも、令和8年度は10月21日まで運用されています。統計的に9月の件数は7月・8月より減りますが、ゼロにはなりません。
涼しくなったので散歩をたくさんさせても大丈夫ですか。
時間帯を秋向けに戻していくのは自然ですが、距離や運動量は少しずつ増やしてください。夏の間に運動量が落ちていた犬では、久しぶりに長く歩いた残暑の日の負荷が大きくなります。動物病院のコラムでも、季節によって散歩時間が変わるとストレスや腸のリズムが乱れやすいため、無理のない範囲で一定のペースを保つことがすすめられています。1週間から2週間かけて戻すくらいのつもりでちょうどよいと思います。
秋になって水を飲まなくなりました。どうすればいいですか。
涼しくなると飲水量は落ちやすくなります。獣医師監修の解説では、飲水量が減ることで泌尿器のトラブルにつながる可能性があり、とくにシニアは脱水しがちなので注意が必要とされています。水飲み場を増やす、器の位置や高さを変える、ドライフードをふやかす、ウェットフードを加える、暖かい部屋に水飲み場を移すといった工夫が紹介されています。おしっこが出ない、血尿が出るといった異変があるときは、すぐに動物病院で診てもらってください。
秋になって抜け毛が急に増えました。病気でしょうか。
ダブルコートの犬種では、夏毛から冬毛への換毛期が秋から11月ごろまで続くとされています。一方で、室内で一定の気温で飼育されている犬では、はっきりした換毛期がない場合や時期がずれる場合もあると説明されています。ただし、左右対称に毛が薄くなる、地肌が見える、かゆみや赤みを伴う、フケが多いといった場合は換毛期とは別の問題が隠れていることがあるので、動物病院で相談してください。
寒くなってきたら服を着せたほうがいいですか。
獣医師団体の健康相談室では、急激な気温の変化にならないように室内を適度に暖めたり、洋服を着せたりするなど気をつけるとよい、と案内されています。ただし秋のはじめはまだ日中が暑く、服による熱のこもりが心配な時期でもあります。着せる場合は通気性のよい素材を選び、朝晩の冷える時間帯だけにするなど、その日の気温と犬の様子を見ながら使ってください。

まとめ

2026年の秋は、気象庁の3か月予報(2026年7月21日発表)で8月から10月の3か月平均気温が北・東・西日本で平年並か高い、沖縄・奄美で高いとされています。月別では8月に「高い」が強く、9月は平年並、10月はふたたび平年並か高い、という並びです。そして7月中旬から下旬の西日本の平均気温は1946年の統計開始以降で最も高い記録となり、酷暑日の延べ地点数も2010年以降で最多になりました。夏の負荷が大きかったぶん、その後の季節の変わり目は丁寧に迎えたい年だと思います。

犬の「秋バテ」は診断名ではありません。それでも、パンティング主体で熱を逃がす体にとって夏は大きな仕事であり、そのあとに寒暖差の大きい季節が来れば、胃腸をはじめとして調子が揺れることがある、というのは多くの獣医師が説明しているところです。家庭でできるのは、エアコンを日付ではなく室温と湿度で切ること、寝床を「冷やす」から「包む」へ少しずつ移すこと、散歩の距離を一気に戻さないこと、食事を急に変えないこと、そして秋も水分を切らさないこと。どれも地味ですが、季節の変化の角を丸くするための小さな調整です。

そして、下痢が24時間以上続く、元気や食欲がない、嘔吐や血便を伴う、体重が落ちてきた。こうしたときは、季節のせいと決めつけずに動物病院へ。とくに子犬とシニア犬、持病のある犬は、様子を見る時間を長く取らないでください。この季節の不調は「例年のこと」に見えやすいぶん、病気のサインが埋もれやすくもあります。愛犬のいつもを知っている飼い主の「なんか違う」は、いちばん早い検査結果です。

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