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犬の換毛期・抜け毛対策|ダブルコートのブラッシングとお手入れの基本

対象の目安: 全ライフステージ

ツムギ食事・健康担当
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犬の換毛期・抜け毛対策|ダブルコートのブラッシングとお手入れの基本

「毎年この時期になると、掃除機をかけても追いつかないくらい毛が抜ける」——ダブルコートの犬と暮らしていると、季節の変わり目にそんな悩みが出てきます。抜け毛が増えるのは病気ではなく、多くの場合は換毛期という自然な生え替わりのサインです。大切なのは、その抜け毛をうまく取り除いてあげること。放っておくと毛玉や蒸れの原因になり、皮膚トラブルにつながることもあります。この記事では、換毛期の時期やしくみ、抜け毛を減らすいちばんの近道であるブラッシングのやり方とブラシの使い分け、そして受診を考えたい抜け毛の見分け方まで、家庭でできるお手入れの基本を整理します。

換毛期とは? 抜け毛が増える理由

換毛期とは、犬の被毛が季節に合わせて生え替わる時期のことです。換毛期があるのは、被毛が二重構造になっているダブルコートの犬。表面をおおって皮膚を守る主毛(オーバーコート)の下に、体温を保つためのやわらかい副毛(アンダーコート)が生えていて、この副毛が季節の変わり目に生え替わります。

春の換毛期には、冬のあいだ体を温めていたふさふさのアンダーコートが抜け落ち、夏に向けて通気性のよい毛に。秋にはその逆で、寒さに備えてふわふわの冬毛に生え替わります。この生え替わりのときに、古い毛(死毛)が一気に抜けるため、「毛が増えたのでは」と感じるほどの抜け毛が出るのです。

一方、プードルやマルチーズなどのシングルコートの犬には、副毛がほとんどなく、はっきりした換毛期がありません。年間を通じて少しずつ生え替わるため、季節による大量の抜け毛は目立ちにくいのが特徴です。

換毛期があるのはダブルコートの犬種で、アンダーコートが春と秋に生え替わること、シングルコートには明確な換毛期がないことは、アニコム損保やHonda Dogなどが公開する獣医監修・公式の解説で共通して紹介されています。犬種・個体による差があります。

換毛期はいつ? 春と秋の年2回が基本

換毛期の時期は、一般的に春と秋の年2回とされています。おおまかな目安は次のとおりです。

換毛期時期の目安生え替わりの内容
春の換毛期春〜7月頃冬毛(保温用のアンダーコート)が抜け、夏毛へ
秋の換毛期秋〜11月頃夏毛が抜け、冬の寒さに備えた冬毛へ

それぞれ1ヶ月ほどかけて少しずつ生え替わるのが一般的で、とくに春は冬のあいだ蓄えたアンダーコートが大量に抜けるため、抜け毛が多く感じられます。

ただし、これはあくまで目安です。近年は、室内で暮らす犬が増え、エアコンや照明で一年を通して季節を感じにくい環境にいることから、換毛期がはっきりしなくなり、通年でだらだらと抜けるケースも珍しくないとされています。「うちの子は時期がずれている」「一年中抜けている気がする」というのも、室内犬ではよくあることです。

メモ

換毛期の時期や抜け毛の量には、犬種・年齢・生活環境による差があります。室内飼いでは季節の区切りがあいまいになり、通年で抜けることも。「教科書どおりの時期に抜けない=異常」ではないので、量や皮膚の状態を目安に考えましょう。

抜け毛を放置するとどうなる?

換毛期の抜け毛は自然なものですが、抜けた毛をそのままにしておくと、いくつかのトラブルにつながることがあります。

  • 抜けた死毛が被毛の中に絡まり、もつれや毛玉になる
  • 毛玉が皮膚を引っぱって、かゆみや痛みの原因になる
  • 毛玉や密集した抜け毛で通気が悪くなり、皮膚が蒸れる
  • 蒸れた状態が続くと、雑菌が増えて皮膚炎などのトラブルが起こりやすくなる
  • 抜け毛に汚れや皮脂がたまり、においの原因になる

とくに湿気の多い季節は、毛玉の下がじめじめして皮膚トラブルが起こりやすくなります。円形の脱毛やフケ、赤みなどをともなう場合は、皮膚糸状菌症(皮膚のカビによる感染症)など別の原因のこともあるため、単なる抜け毛と決めつけず注意が必要です。

注意

できてしまった毛玉を無理に引っぱったり、根元をハサミで切ろうとすると、皮膚を傷つけてしまうおそれがあります(皮膚を一緒に切ってしまう事故もあります)。自力でほどけない大きな毛玉は、無理をせずトリミングサロンや動物病院に相談しましょう。

抜け毛対策の基本はブラッシング

換毛期の抜け毛対策で、いちばん効果的で基本になるのがブラッシングです。ブラッシングの目的は、すでに抜けて被毛の中に残っている古い毛(死毛)を、床や服に飛び散る前に取り除くこと。こまめにブラッシングすることで、部屋に舞う抜け毛が減り、毛玉や蒸れの予防にもなります。

さらに、ブラッシングには皮膚を適度に刺激して血行をうながす効果や、被毛の汚れを落として清潔に保つ効果も期待できます。換毛期には、いつもより回数を増やしてこまめに行うのがおすすめです。

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    毛の流れに沿って全体をとかす

    まずは毛の流れ(毛並み)に沿って、全身を軽くとかします。いきなり強くやらず、犬がリラックスできるよう声をかけながら始めましょう。もつれや毛玉がないか、手ぐしで確認するのもおすすめです。
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    毛をかき分けて根元の死毛を取る

    ダブルコートの子は、表面だけでなく毛をかき分けて、内側にたまったアンダーコートの死毛をやさしく取り除きます。1か所に長くとどまらず、少しずつ場所を移しながら行います。
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    もつれ・毛玉はやさしくほぐす

    もつれを見つけたら、毛先のほうから少しずつほぐします。根元から一気に引っぱると痛がるので、無理に引かないのがコツ。ほどけない毛玉は切らずにプロへ。
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    仕上げと皮膚チェックをする

    最後にコームや獣毛ブラシで毛並みを整えます。このとき、赤み・湿疹・フケ・かさぶた・しこりがないか、皮膚の状態も一緒にチェックすると、変化に早く気づけます。

ブラッシングの前後や最中に、グルーミングスプレー(ブラッシングスプレー)を軽く吹きかけると、静電気による毛のもつれや飛散を抑えられ、ブラシの通りがよくなります。とくに乾燥する季節や長毛の子では、毛玉予防にも役立ちます。

毛質で変わるブラシの使い分け

犬用のブラシにはいくつか種類があり、毛質や目的によって向き・不向きがあります。代表的なものと、使い分けの考え方を整理します。

ブラシ主な特徴向いている子・使い方
スリッカーブラシくの字の細いピンが密に並ぶダブルコート・長毛種の死毛やもつれ取りに。ピンが鋭いので力加減に注意
ラバーブラシゴム・シリコン製でやわらかい短毛種の抜け毛取りとマッサージに。犬が嫌がりにくい
ピンブラシ先の丸いピンが並ぶ長毛種の毛並みを整える、ふんわり仕上げるのに
コーム(くし)金属などの歯が並ぶブラッシング後の仕上げ、毛玉・もつれの確認、顔まわりや足先に
獣毛ブラシ豚毛などの天然毛仕上げのつや出し、短毛種の毛並み整えに

ざっくりした目安として、ダブルコートで抜け毛が多い子はスリッカーブラシで根元の死毛を取り、コームで仕上げる流れが基本。短毛の子はラバーブラシで抜け毛を取り、獣毛ブラシでつやを出すとよいでしょう。どのブラシが合うかは毛質や皮膚の敏感さによっても変わるので、嫌がる様子や皮膚の赤みが出ないかを見ながら選んでいきます。

ヒント

スリッカーブラシは便利ですが、ピンが鋭いため強く当てると皮膚を傷つけ、赤みやかゆみ(いわゆる「ブラシ焼け」)を起こすことがあります。手首の力を抜き、皮膚に対して寝かせ気味に、なでるくらいの力で。1か所を何度もこすらないのがポイントです。

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お手入れをラクに続けるコツ

換毛期のケアは、短時間でもこまめに続けることがいちばんの近道です。長時間じっとしているのが苦手な子も多いので、無理なく続けられる工夫をしておきましょう。

  • 一度に全身を仕上げようとせず、背中だけ・片側だけなど、短時間で区切る
  • リラックスしているタイミングや、散歩のあとの落ち着いた時間を選ぶ
  • 終わったらほめておやつをあげ、「ブラッシング=いいこと」と感じてもらう
  • 抜け毛が舞いやすいので、換気やフローリングワイパーなどで掃除もセットに
  • 皮膚が乾燥しやすい子は、グルーミングスプレーで静電気と乾燥をやわらげる
春先は本当にすごい量が抜けて、最初は「病気かな」と焦りました。毎日ちょっとずつブラッシングするようにしたら、部屋に舞う毛がぐっと減って、犬も気持ちよさそうにしています。
柴犬と暮らす飼い主

ブラッシングを嫌がって暴れる、皮膚に触れられるのをひどく嫌がるといった場合は、痛みや皮膚トラブルが隠れていることもあります。無理に続けず、トリミングサロンや動物病院に相談してみてください。

換毛期以外の抜け毛・脱毛は受診の目安に

季節に応じた全身のゆるやかな抜け毛は自然なものですが、次のような抜け方は、換毛とは別の原因が隠れていることがあります。皮膚の病気やホルモンの病気などのサインのこともあるため、様子を見続けず動物病院で相談しましょう。

こんな抜け方は動物病院に相談

  • 地肌がはっきり見えるほど、部分的に毛が抜けている
  • 体の左右対称に毛が薄くなる・抜ける
  • かゆみ・赤み・フケ・かさぶた・湿疹をともなう
  • 円形のはげ、皮膚の黒ずみやべたつきがある
  • 水をよく飲む・お腹がふくれるなど、抜け毛以外の変化もある

とくに、かゆみをあまりともなわず、体やしっぽに左右対称の脱毛が起こる場合は、甲状腺機能低下症やクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)といったホルモンの病気が関わっていることがあります。これらは中高齢の犬に見られることがあり、血液検査などで調べる必要があります。また、円形の脱毛やフケをともなうときは、皮膚糸状菌症などの感染症の可能性もあります。

いずれも見た目だけでは原因を判断できず、必要な対応も異なります。「換毛期だから」と思い込まず、いつもと違う抜け方や皮膚の変化に気づいたら、早めに獣医師の診察を受けるのが安心です。

地肌が見える部分的な脱毛・左右対称の脱毛・かゆみや赤み・分泌物をともなう抜け毛は受診が望ましいこと、左右対称の脱毛では甲状腺機能低下症やクッシング症候群などのホルモン疾患が関わりうることは、PS保険やアニコム損保などの獣医監修解説で紹介されています。診断・治療は獣医師の領域です。

よくある質問

換毛期の抜け毛はどのくらいの期間続きますか。
一般的には、春・秋の換毛期にそれぞれ1ヶ月ほどかけて生え替わるとされています。ただし時期や期間には犬種・個体差があり、室内で暮らす犬ではエアコンや照明の影響で季節の区切りがあいまいになり、通年でだらだらと抜けることも珍しくありません。量や皮膚の状態を目安に、こまめにケアしてあげましょう。
抜け毛を減らすには、シャンプーとブラッシングどちらが効果的ですか。
日常的にいちばん効果的なのはブラッシングです。すでに抜けている死毛を、飛び散る前に取り除けます。シャンプーも浮いた抜け毛を洗い流すのに役立ちますが、頻度が多すぎると皮膚に負担がかかることもあります。まずはこまめなブラッシングを基本に、シャンプーは適度な間隔で組み合わせるとよいでしょう。
どのブラシを選べばいいか分かりません。
毛質によって向き・不向きがあります。ダブルコートで抜け毛が多い子はスリッカーブラシで根元の死毛を取り、コームで仕上げるのが基本。短毛の子はラバーブラシで抜け毛を取り、獣毛ブラシでつやを出すとよいでしょう。スリッカーはピンが鋭いので力を入れすぎないよう注意し、皮膚の赤みや嫌がる様子が出ないか見ながら選んでください。
換毛期なのか病気なのか、見分け方はありますか。
全身がゆるやかに生え替わり、皮膚に異常がなければ換毛の可能性が高いです。一方、地肌が見えるほどの部分的な脱毛、左右対称の脱毛、かゆみ・赤み・フケ・円形のはげ、多飲やお腹のふくらみなどをともなう場合は、皮膚やホルモンの病気が隠れていることも。自己判断せず、動物病院で相談しましょう。

まとめ

犬の換毛期は、ダブルコートの子に年2回、春(〜7月頃)と秋(〜11月頃)に訪れる自然な生え替わりです。アンダーコートが季節に合わせて入れ替わるため、一時的に抜け毛がぐっと増えます。室内犬では時期がずれたり通年で抜けたりすることもあり、それ自体は珍しくありません。

抜け毛対策のいちばんの近道は、こまめなブラッシングで古い死毛を取り除くこと。放置すると毛玉や蒸れから皮膚トラブルにつながることがあるので、毛質に合ったブラシを使い分け、力を入れすぎず、皮膚の状態も一緒にチェックしながら続けましょう。グルーミングスプレーは静電気や飛散を抑えるのに役立ちます。そして、地肌が見える脱毛や左右対称の抜け方、かゆみ・赤みをともなう抜け毛は、換毛とは別の原因のサインのことも。気になる変化に気づいたら、早めに動物病院に相談してください。

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