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犬が吐く原因と受診の目安|嘔吐と吐き出しの違い・嘔吐物の色でわかること

対象の目安: 全ライフステージ

ツムギ食事・健康担当
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犬が吐く原因と受診の目安|嘔吐と吐き出しの違い・嘔吐物の色でわかること

朝起きたらリビングの床に黄色い液体のあと。散歩から帰ってきて草と一緒にごはんを戻した。夜中に「オエッ」という音で目が覚めた——犬と暮らしていると、「吐いた」という場面には必ずといっていいほど出会います。犬はもともと人より吐きやすい動物とされ、一度吐いただけでけろりとしていることも珍しくありません。その一方で、嘔吐は緊急の病気の最初のサインでもあります。飼い主が迷うのは、「様子を見ていいのか、今すぐ病院なのか」という一点です。

この記事では、「嘔吐」と「吐出(吐き出し)」という2種類の吐き方の見分け方、嘔吐物の色や内容から考えられること、よくあるきっかけ、様子を見てよい範囲とすぐ受診したいサインを順にまとめます。原因を特定し治療するのは獣医師の役割です。ここでの情報は「落ち着いて観察し、必要なときに迷わず動物病院へ行く」ための地図としてお読みください。

「吐く」には2種類ある:嘔吐と吐出

同じ「吐いた」でも、犬の体の中で起きていることは大きく2通りに分かれます。この違いは、どこにトラブルがありそうかを考える最初の手がかりになります。

嘔吐(おうと)は、胃や腸に入ったものが力を使って口から出てくる現象です。吐く前に落ち着きがなくなる、しきりに舌なめずりをする、よだれが増える、お腹を波打たせて「オエッ、オエッ」とえづく、といった前触れが見られます。海外の獣医学マニュアルでも、吐き気・よだれ・えづき・腹筋と横隔膜の強い収縮を伴う「能動的な」動作として説明されています。

吐出(としゅつ)は、飲み込んだものが胃に到達する前に食道から戻ってくる現象です。前触れがほとんどなく、力むこともなくスッと口からこぼれるように出てきます。胃液と混じっていないため、食べたままの形をしていたり、食道の形を映して細長い筒状にまとまっていたりします。

嘔吐吐出(吐き出し)
前触れよだれ・舌なめずり・えづきがあるほとんどない
力の入り方お腹が波打つ(能動的)力まずスッと出る(受動的)
出たもの消化が進んでいる・胃液や胆汁が混じる未消化。筒状にまとまることも
タイミング食後すぐ〜数時間後などさまざま食後まもなくが多い
疑われる場所胃・腸・全身の病気など幅広い食道のトラブルが中心

吐出の背景には、早食いのほか、食道内の異物、巨大食道症、先天的な血管の異常などが挙げられます。また吐出では吐いたものが気管に入りやすく、咳や呼吸のしづらさを伴うことがある点も知られています。

嘔吐が吐き気・よだれ・えづき・腹筋の収縮を伴う能動的な動作であること、吐出は力を伴わず未消化で筒状のものが出やすく呼吸器症状を伴いやすいことは、MSD(Merck)獣医マニュアルおよびAKCの解説に基づきます。吐出の原因に食道内異物・巨大食道症・血管輪異常・早食いが挙がる点は、いぬのきもちの獣医師監修記事によります。

メモ

家庭で嘔吐と吐出をきれいに区別するのは、実はプロでも簡単ではありません。無理に判定するより、次の3点をメモしておくほうが診察で役立ちます。

  • 吐く前に、えづくしぐさやよだれがあったか
  • 食べてから何分後・何時間後だったか
  • 出てきたものは食べたままの形か、ドロドロに消化されていたか

嘔吐物の色・内容から考えられること

色や内容は原因を確定するものではありませんが、獣医師に状況を伝える重要な情報になります。可能なら片づける前にスマートフォンで写真を撮っておきましょう。

白い泡・透明な液体

胃液や胃酸、唾液、飲んだ水などが主な正体とされます。空腹時間が長いとき、水を一気飲みしたとき、吐き気や緊張があるときに見られやすい形です。1回だけでそのあとけろりとしているなら、あわてず様子を見られることが多いもの。ただし何度も繰り返す場合は別の問題が隠れていることがあります。

黄色い液体

黄色は胆汁のことが多いとされます。十二指腸から胃へ胆汁が逆流し、胃の粘膜を刺激して吐き気につながる状態です。朝方や食事の間隔が長く空いたときに起こりやすく、後述する胆汁嘔吐症候群の典型的な出方として知られています。

未消化のフード

食後まもなく食べたそのままの形で出てくる場合は、早食いや食べ過ぎ、食後すぐの運動や興奮、フードの急な切り替えなどが背景にあることがあります。吐いたあとに元気があり食欲も落ちていなければ、食器や与え方の見直しで落ち着くケースもあります。

草が混じっている

散歩中に草を食べ、そのあと胃液と一緒に戻すのは、多くの飼い主が経験する光景です。理由は完全には解明されておらず、気持ち悪さを感じたときの本能的な行動、嗜好や退屈まぎれなど複数の説明がなされています。1〜2回吐いて元気なら大きな心配がいらないことが多い一方、頻繁にくり返すときは胃腸の不調のサインとして見ておきたいところ。除草剤がまかれた草や口にすると危険な植物のリスクもあるため、伸び放題の草むらでの草食いは止めるほうが安全です。

茶褐色・コーヒーの粉のようなつぶつぶ

茶色いものは、単に未消化のフードやおやつの色ということもあります。一方で、胃で出血した血液が胃酸と反応して黒っぽい茶色に変化し、コーヒーの出しがら(残渣)のような見た目になることがあります。胃潰瘍や腫瘍などによる消化管出血が疑われる所見で、赤黒い・茶色い吐物は中程度以上の出血を示唆すると説明する動物病院もあります。判断がつかないときは様子見にせず相談してください。

赤い血が混じる

鮮やかな赤い血は、口の中の傷、食道や胃からの出血などが考えられます。少量だから大丈夫、と自己判断しないでください。

注意

次のような嘔吐物・吐き方は、消化管の出血や閉塞が起きているサインのことがあります。日数や回数を待たずに動物病院へ連絡してください。

  • 吐物に赤い血、黒っぽい血、コーヒーの粉のようなつぶつぶが混じる(いずれも消化管のどこかからの出血が疑われます)
  • 異物やビニール、ひも、虫のようなものが混じっている
  • 飲んだ水の量よりも明らかに多い量の液体を、前触れなく大量に吐く(腸閉塞の可能性が指摘されています)

白い泡は胃液・胃酸、黄色は胆汁、血が混じる場合は消化管出血の重要なサインという整理はオダガワ動物病院、透明な液体・泡が水や胃液・唾液であること、茶色い吐物が未消化フードまたは古い血液の可能性を含むことはアニコム損保「犬との暮らし大百科」の獣医師監修記事、赤黒い・茶色の吐物が中程度以上の胃内出血を示唆する点と、飲んだ水より明らかに多い液体を前触れなく吐く場合は腸閉塞を疑う症状で夜間でもすぐ受診という点は、たかつきユア動物病院の解説によります。

空腹時間が長いときに吐く:胆汁嘔吐症候群

「明け方に黄色い液体を吐くけれど、そのあとは何ごともなかったように朝ごはんを食べる」。この出方には、胆汁嘔吐症候群(BVS)という呼び名があります。空腹の時間が長く続いた後に、黄色い液体や白い泡を吐くのが特徴です。

背景としては、空腹時に分泌されるホルモン(モチリン)が周期的な胃腸の収縮運動を起こし、その強い収縮に伴って胆汁が胃へ逆流、胆汁酸が胃粘膜を刺激して炎症を起こす、という説明がされています。血液検査や画像検査で明らかな異常が見つからないことも多く、対処としては就寝前に少量の食事を与える、1日の食事回数を増やして空腹の時間を短くする、といった食事の出し方の工夫が挙げられます。消化のよいフードや脂質の少ないフードへの変更が検討されることもあります。

胆汁嘔吐症候群の定義(長時間の空腹後に黄色い液体や白い泡を吐く)、モチリンと空腹期収縮(MMC)による胆汁逆流という病態、就寝前の少量給餌や食事回数を増やす対処は、湘南ルアナ動物病院および動物病院セカンドセレクトの解説に基づきます。診断や食事内容の変更は獣医師の判断が必要です。

ヒント

食事回数を増やすときは、1日の総量を増やさず同じ量を3〜4回に分けるのが基本です。夜食を足す場合も、その分を朝夕から引くなど調整しましょう。分け方や量に迷うときは、かかりつけの獣医師に相談すると安心です。

ただし「朝に黄色い液体を吐く=必ず胆汁嘔吐症候群」ではありません。吐く回数が増えてきた、吐いたあとも元気がない、体重が減ってきたといった変化があるときは、別の消化器疾患や全身の病気が隠れていることもあります。食事の工夫で改善しないときは受診してください。

そのほかによくあるきっかけ

嘔吐の背景は消化器の病気だけではありません。腎臓や肝臓の不調、膵炎、神経系の問題、刺激物や毒物の摂取など、全身のさまざまな原因で起こり得ます。家庭でよく出会うきっかけは次のようなものです。

  • 早食い・食べ過ぎ・水の一気飲み。勢いよく飲み込んで胃が急に張り、戻してしまう
  • 食後すぐの激しい運動や興奮
  • 乗り物酔い。よだれ・あくび・落ち着きのなさに続いて吐くことがある
  • 環境の変化や来客、留守番などのストレス・緊張
  • フードの急な切り替え、食べ慣れないおやつやトッピング
  • 傷んだフードや水、置き餌の食べ残しなど、衛生面のトラブル
  • 散歩中の拾い食い、おもちゃやひも、ビニール、人の食べ物の誤飲・誤食
  • 換毛期に飲み込んだ被毛が胃にたまる

早食いが目立つ子は、食器や与え方を変えるだけで吐き戻しが減ることがあります。乗り物酔いは慣らし方と車内環境の工夫でやわらぐことがあり、酔い止めの使用は獣医師への相談が前提です。夏場はフードや水が傷みやすく、それ自体が嘔吐や下痢の引き金になります。詳しくは次の記事も参考にしてください。

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誤飲・誤食は、嘔吐の原因のなかでもとくに急を要することがあります。ひもや布、おもちゃの破片は腸に詰まる(腸閉塞)ことがあり、玉ねぎやぶどう、チョコレートのように少量でも危険とされる食べ物もあります。「何かを口にした心当たりがある」場合は、様子を見る前に動物病院へ連絡してください。無理に吐かせようとするのは危険なため、自己判断で催吐を試みないことも大切です。

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様子を見てよい場合と、すぐ受診したい場合

もっとも知りたいのはこの線引きだと思います。ただし嘔吐は原因の幅がとても広く、見た目だけで軽症と重症を確実に分けることはできません。以下はあくまで「目安」であり、迷ったら相談する、が正解です。

短期間なら様子を見られることがある目安

次の条件がすべてそろうときは、半日から1日ほど落ち着いて様子を見られることがあります。動物病院の解説でも、1回だけの嘔吐で食欲・元気が普通、嘔吐物に血がなく、排便・排尿も正常なら12〜24時間ほど様子を見てよいとされています。

  • 吐いたのは1回、または短時間に1〜2回まで
  • 吐いたあとはけろりとして、元気も食欲もいつもどおり
  • 嘔吐物に血・異物・虫が混じっていない
  • 下痢や腹痛、震え、呼吸の乱れなど他の症状がない
  • おしっこ・うんちがいつもどおり出ている
  • 誤飲・誤食の心当たりがない

急性の嘔吐の多くは24時間ほどで自然に落ち着くとされる一方、見た目が元気でも1〜2日を超えて嘔吐が続く場合は、重い病気を否定するために受診がすすめられます。

日数を待たず受診したいサイン

早めに動物病院へ連絡したいサイン

  • 嘔吐を何度もくり返す、1日に何度も吐く、数日続いている
  • 嘔吐物に赤い血・黒っぽい血・コーヒー残渣様のつぶつぶが混じる
  • 吐こうとしてもほとんど何も出てこない(空えづき)をくり返す
  • お腹が張って苦しそう、触ろうとすると痛がる、呼吸が荒い
  • ぐったりして反応が鈍い、立ち上がりたがらない、震えている
  • 水を飲んでもすぐ吐く、水も飲めない
  • 脱水が疑われる(歯ぐきが乾く、皮膚をつまむと戻りが遅い、目がくぼむ)
  • 下痢・発熱・けいれんなど、ほかの症状をともなう
  • 嘔吐物に異物・ひも・ビニール・虫のようなものが混じる
  • 誤飲・誤食の心当たりがある
  • 子犬・シニア犬・小型犬・持病のある犬が吐いた

注意

とくに、「吐こうとしても吐けない」「お腹がふくれて張っている」「大量のよだれが出る」「落ち着きなく歩き回る」がそろうときは、胃拡張・胃捻転症候群(GDV)という一刻を争う状態のことがあります。胃がガスで大きくふくらみ、ねじれて血管を圧迫し、循環不全やショックを起こす病気です。大型犬に多いとされますがどの犬種でも起こり得ます。食後、とくに夕食後の数時間以内に多いといわれ、疑わしい症状が見られたら時間帯を問わずただちに動物病院(夜間なら救急対応の病院)へ連絡してください。

「1回だけの嘔吐で元気・食欲が普通、血がなく排泄も正常なら12〜24時間様子を見てよい」はオダガワ動物病院、急性嘔吐の多くが24時間ほどで自然に改善する一方1〜2日を超えるなら受診をという整理はVCA Animal Hospitals、繰り返す嘔吐・水を飲んでも吐く・血や虫が混じる場合の受診はピースワンコ・ジャパンの獣医師監修記事、胃拡張・胃捻転の症状(腹部膨満・落ち着きのなさ・吐けない・よだれの増加)と発症タイミング、大型犬に多いが全犬種で起こり得る点はPS保険の解説に基づきます。

子犬・シニア犬・小型犬は、体が小さくエネルギーや水分の蓄えが少ないため、嘔吐が続くと脱水や低血糖で短時間に状態が悪くなることがあります。持病があり薬を飲んでいる子も同様です。「1回だけだから」と待たず、早めに電話で相談するのが安心です。

明け方に黄色い液体を吐くことが月に何度かあって、そのたびに不安でした。動画と写真を撮って動物病院で相談したら、空腹の時間が長いことが関係しているかもしれないと言われ、夕食の一部を寝る前に回す形に。回数はぐっと減りました。
小型犬と暮らす飼い主

家庭でできること、してはいけないこと

  1. 1

    記録と写真を残す

    吐いた時刻、回数、直前に食べたもの・した行動、嘔吐物の色と量、そのあとの元気・食欲・排泄をメモします。嘔吐物は片づける前に写真を、吐く様子そのものは動画を撮れると、嘔吐か吐出かの判断にも役立ちます。
  2. 2

    吐いたものを食べさせない

    犬が吐いたものを食べ直そうとすることがあります。誤食した異物や傷んだものが含まれている可能性があるため、すみやかに片づけます。
  3. 3

    水は少量ずつ、様子を見ながら

    吐き気があるうちの一気飲みはまた吐く引き金になります。落ち着いてから常温の水を少量ずつ、回数を分けて。ただし「絶水」を自己判断で長く続けるのは避けてください。脱水は嘔吐そのものより危険なことがあります。
  4. 4

    食事は自己判断で決めず相談する

    一定時間食事を控える方法が案内されることもありますが、絶食の要否や時間は年齢・体格・持病で大きく変わります。とくに子犬やシニアは低血糖を起こしやすく、長時間の絶食は勧められません。再開は消化のよいものを少量ずつ、回数を分けて。判断はかかりつけの獣医師に確認を。
  5. 5

    静かに休める場所を用意する

    吐いたあとは刺激を減らし、温度が快適な場所で休ませます。運動や遊び、シャンプーは落ち着くまで控えます。

注意

次のことは、状態を悪くする可能性があるため避けてください。

  • 人用の吐き気止め・胃薬・鎮痛薬などを自己判断で与える。犬では代謝が異なり、中毒を起こす成分があります
  • 誤飲が疑われるときに家庭で無理に吐かせようとする。食道や気道を傷めるおそれがあり、物によっては吐かせてはいけない場合もあります
  • 「様子を見よう」と言いながら、状態を確認しないまま長時間放置する
  • 症状が続いているのに、いつもと同じ量・同じ勢いで食事や水を与え続ける

ヒント

家庭での対応は、情報源によって「水は自由に飲めるようにする」「まずは半日ほど食事と水を控える」など案内が分かれます。犬の状態(吐き気の強さ、脱水の程度、年齢、持病)によって最適解が変わるためです。迷ったら電話一本でかかりつけに聞くのがいちばん確実です。

受診のときに伝えたいこと

限られた診察時間で状況を正確に伝えるため、次の情報を整理しておくと診断の助けになります。スマートフォンのメモに書いておき、そのまま見せるのがおすすめです。

動物病院で伝えたい情報

  • いつから、何回吐いたか(時刻がわかるとなおよい)
  • 吐く直前の様子(えづいた/前触れなくスッと出た)
  • 嘔吐物の色・内容・量(写真があれば見せる)
  • 最後に食べたもの・飲んだものと、その時間
  • 食欲・元気・排便・排尿・体重の変化
  • 誤飲・誤食の心当たり、拾い食いや草を食べた有無
  • 持病・服用中の薬・サプリメント
  • ワクチンや駆虫の状況、最近のフードやおやつの変更

よくある質問

犬が1回だけ吐きました。すぐ病院に行くべきですか。
吐いたのが1回で、そのあと元気も食欲もあり、嘔吐物に血や異物が混じらず、下痢や腹痛もなく排泄もいつもどおりなら、12〜24時間ほど様子を見てよいとする動物病院の解説があります。ただし子犬・シニア・小型犬・持病のある犬や、誤飲の心当たりがある場合は、1回でも早めに電話で相談してください。
朝に黄色い液体を吐きます。病気でしょうか。
長い空腹のあとに黄色い液体や白い泡を吐き、そのあとは元気という出方は、胆汁嘔吐症候群と呼ばれる状態として知られています。就寝前に少量の食事を与える、食事回数を増やすなど空腹時間を短くする工夫で改善することがあります。ただし同じ見た目でも別の病気のことがあります。回数が増えた、吐いたあとも元気がない、体重が減ったなどの変化があるときや、工夫しても続くときは受診を。
吐いた後、絶食させたほうがいいですか。水はどうしますか。
絶食の要否と時間は年齢・体格・持病・吐き気の強さで変わるため、自己判断で決めないでください。とくに子犬やシニアは低血糖のリスクがあり、長時間の絶食は勧められません。水は吐き気があるうちの一気飲みを避け、落ち着いてから常温で少量ずつ回数を分けて。完全に断ち続けると脱水が進みます。迷ったらかかりつけへ電話を。
嘔吐と吐き出し(吐出)は、どう見分ければいいですか。
手がかりは「前触れ」と「力の入り方」です。よだれや舌なめずり、落ち着きのなさがあり、お腹を波打たせてえづいてから出るのが嘔吐。前触れがなく力まずスッとこぼれ、食べたままの形や細長い筒状なら吐出の可能性があります。家庭で確実に区別するのは難しいので、吐く様子の動画と嘔吐物の写真を獣医師に見てもらうのが確実です。
散歩中に草を食べて吐きます。やめさせたほうがいいですか。
草を食べて1〜2回吐き、そのあと元気なら、多くの場合それほど心配のいらない光景とされています。ただし除草剤がまかれた草や危険な植物のリスクがあるため、伸び放題の草むらでの草食いは止めるほうが安全です。頻繁にくり返す場合は胃腸の不調や不安・退屈が背景にあることも。回数が増えている、吐いたあとに元気がないときは相談してください。
吐こうとしているのに何も出てきません。様子を見ていいですか。
「吐こうとするのに吐けない」状態が続き、お腹が張る、大量のよだれ、落ち着きなく歩き回る、呼吸が荒いといった様子をともなうときは、胃拡張・胃捻転症候群など一刻を争う状態のことがあります。様子を見ず、夜間や休日でも救急対応している動物病院へすぐ連絡を。食後、とくに夕食後の数時間以内に起こることが多いといわれています。

まとめ

犬が吐くという出来事は、日常のなかで珍しくない一方、緊急疾患の最初のサインでもあります。慌てるより先に観察し、その内容を記録して獣医師に渡すことが、いちばん役に立ちます。

見るポイントは、(1)前触れのある能動的な嘔吐か、前触れなくスッと出た吐出か、(2)嘔吐物の色と内容、(3)吐いたあとの元気・食欲・排泄、(4)ほかの症状の有無、の4つ。1回だけで元気があり血も異物も混じらないなら半日〜1日ほど様子を見られることがありますが、くり返す・ぐったり・血が混じる・水も飲めない・お腹が張って吐けない、といったサインがあるときは日数を待たずに動物病院へ。子犬・シニア・小型犬・持病のある犬は、軽く見えても早めの相談が安心です。

絶食や絶水、人用の薬の使用といった判断は、家庭で抱え込まないでください。嘔吐物の写真と時刻・回数のメモを持って相談すれば、獣医師はぐっと診断しやすくなります。

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出典・参考

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