ワンレッジ
散歩・運動

犬と飛行機|2026年に変わった航空各社のルールと、預ける前に確かめたいこと

対象の目安: 全ライフステージ

カエデ・しつけ・散歩担当
・ 約47分で読めます
犬と飛行機|2026年に変わった航空各社のルールと、預ける前に確かめたいこと

「秋の連休に、実家まで愛犬と飛行機で帰ろう」——そう考えて航空会社のページを開いた人が、この夏から秋にかけて戸惑う場面が増えています。日本航空(JAL)が2026年7月16日付で、国内貨物における犬・猫の輸送制限を大きく変更すると発表したためです。適用は2026年9月1日出発便から。ニュースやSNSでは「JALが犬を運ばなくなる」「ミックス犬は乗れない」といった短い言葉だけが流れていきますが、実際にはもう少し込み入っていて、しかも自分が同じ便に乗るかどうかで、適用されるルールがまったく別物になります。

犬の空の旅は、鉄道や車とは事情が違います。国内線では犬は原則として客室に入れず、貨物室で運ばれます。そこは飼い主の目が届かず、途中で様子を見ることも、水をあげることもできない場所です。航空各社は自社のページに「衰弱、もしくは死傷することがあります」とはっきり書き、過去の死亡事例まで公開しています。だからこそ、雰囲気や口コミではなく、公式に書かれている条件を自分の犬に当てはめて読むことが大切になります。

この記事では、飛行機での犬の移動だけに絞って、2026年に何が変わったのか、自分のケースにはどのルールが適用されるのか、当日は何をどの順番でやるのかを、航空各社・獣医療・公的機関の情報をもとに整理します。電車・新幹線・車を含む長距離移動の全体像は別の記事にまとめてあるので、そちらとあわせて読んでみてください(飛行機のルールについては、2026年の変更を反映したこの記事のほうが新しい情報です)。なお、記載の内容は2026年9月6日時点で各社の公式ページを確認したものです。航空会社のルールは予告なく変わるので、実際に予約する前には必ず各社の最新の公式ページを見てください。

その飛行機、本当に必要ですか——最初に考えたいこと

ルールの話に入る前に、ひとつだけ先に置いておきたいことがあります。それは「連れて行く」を前提にしない、という視点です。

航空各社は、ペットの輸送環境について驚くほど率直に書いています。ANAは国内線のページで「日常生活とは大きく異なる輸送環境は、ペットの健康状態にさまざまな影響を与え、衰弱、もしくは死傷することがあります」と明記し、そのうえで「必ず事前に注意事項をご確認いただき、十分にご検討のうえ、ご利用ください」としています。スターフライヤーもソラシドエアもAIRDOも、ほぼ同じ文言を掲げています。これは脅しではなく、事実の告知です。

JALは、国内線のペットのページに「死亡事例について」というリンクを置いています。そこには過去の事例が年月と動物の種類だけで淡々と並んでいます(2026年9月6日の確認時点では、2020年4月から2024年5月までの13件が掲載され、うち犬が8件。貨物扱いとして輸送した事例も含むとされています)。ANAも「過去の死亡事象について」というページを公開しており、2015年以降の事象として17件(犬14件・猫3件)が掲載されています。各社とも母数となる年間の輸送頭数は公表していないため、発生率として比べることはできません。それでも、公開されているという事実そのものが「ゼロではない」という意味を持ちます。

そのうえで考えたいのは、次の3つです。

  • その移動は今回でなければならないか。同じ場所に行くのでも、時期を1か月ずらせば夏期の制限期間を外せることがあります。とくに短頭犬種は、11月から4月なら受け入れてもらえる会社が多くなります。
  • その子を留守番させる選択肢はないか。ペットホテルやペットシッター、信頼できる家族に預けるほうが、負担が小さい場合があります。とくに高齢で持病があり、環境の変化に弱い子は、移動そのものが最大のリスクになります。
  • 陸路という手段はないか。時間はかかりますが、車なら休憩を入れられ、様子を見ながら進められます。目的地が北海道や沖縄でなければ、選択肢に入ることは少なくありません。

あわせて読みたい

犬を預けるならどこがいい?|ペットホテル・ペットシッター・知人の選び方とお盆・帰省前の準備

メモ

「連れて行かない」は愛情がないことではありません。むしろ、その子の体質と体調を見て決めた結果であることのほうが多いはずです。逆に、若く健康で、クレートに慣れていて、これまで長距離移動を問題なくこなしてきた子であれば、飛行機は「短時間で移動を終わらせられる」という点で有利な手段にもなります。どちらが正解かは、犬によって違います。

あわせて読みたい

犬連れの帰省・長距離移動ガイド|電車・新幹線・飛行機・車のルールとストレス対策

2026年に何が変わったのか——JAL国内貨物の輸送制限

では、旬の話題である2026年の変更を、JALの原文に沿って正確に見ていきます。

JALCARGO(JALの貨物部門)は2026年7月16日、「国内貨物における動物(犬・猫)の輸送制限変更のお知らせ」を公開しました。目的として書かれているのは「夏期における動物への負荷軽減および安全な輸送基準の強化」です。適用は2026年9月1日(火)ご出発便から。すでにその日程以降の予約をしている場合は、JALから予約取り消しの連絡をする場合がある、とも書かれています。

主な変更内容として挙げられているのは、次の3点です。

  • 夏期における犬・猫の原則受託停止。「熱中症などのリスクから動物の安全を守るため、期間中は種類を問わず全ての犬・猫をお預けいただけなくなります」
  • 雑種(ミックス犬)の通年受託停止。理由として「外見での正確な判断が困難な場合があり、輸送リスクの高い短頭犬種(鼻が短い犬種)の血統が含まれている可能性を排除できないため」と説明されています
  • 犬・猫以外の動物(小鳥・小動物など)については今回の変更はなく、従来のとおり通年で預かる

時期別の可否は、JALの表を整理すると次のようになります。

区分夏期(5月1日〜10月31日 ※2026年度に限り9月1日〜10月31日)夏期以外(11月1日〜4月30日)
雑種(ミックス犬)輸送不可(新規制限)輸送不可(新規制限)
ブルドッグ、フレンチブルドッグ輸送不可輸送不可
その他の短頭犬種(21種)輸送不可輸送可能
上記以外の犬・猫輸送不可(新規制限)輸送可能

ここで見落とせないのが、期間についての注記です。JALは「2026年度(当年度)に限り、制限期間は『9月1日〜10月31日』となります。翌年度以降は5月1日〜10月31日が対象期間となります」としています。つまり2026年は、9月1日から10月31日までが「全ての犬・猫が原則受託停止」の期間で、11月1日以降は短頭犬種以外なら通常どおりに戻る。そして2027年以降は、5月1日から10月31日という長い期間、貨物での犬・猫の輸送が原則として止まる、ということです。

夏期の特定制限対象となる短頭犬種21種として、JALは次の犬種を挙げています。アーフェンピンシャー、イタリアン・コルソ・ドック、チャウチャウ、キング・チャールズ・スパニエル、シーズー、シャー・ペイ、スタッフォード・シャー・ブル・テリア、チベタン・スパニエル、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、チン、パグ、ピット・ブル、ブル・テリア、ブリュッセル・グリフォン、ペキニーズ、ペロ・デ・プレサ・カナリオ、ボクサー、ボストン・テリア、ボルドー・マスティフ、マスティフ、ラサ・アプソ。

さらにJALCARGOの「犬・猫(哺乳類)」のページには、例外で輸送を引き受ける場合として次の5つが並んでいます。

  • お客さまご自身が航空機に搭乗する場合で、ペットとおでかけサービスを利用できない場合(重量制約など)
  • 公的機関や動物園からの輸送依頼
  • 離島路線における動物病院の受診を目的とした輸送
  • 国際線と国内線の乗り継ぎ輸送
  • その他、特別に輸送を引き受けると判断した場合

同ページには「受け付け時に証明書などを提示していただきます」ともあります。例外は「相談すれば通る」ものではなく、条件に当てはまるかどうかを窓口で確認する性質のものだと考えてください。

この節の日付・期間・犬種名・例外条件は、JALCARGO「国内貨物における動物(犬・猫)の輸送制限変更のお知らせ」(2026年7月16日付)および同「犬・猫(哺乳類)」のページの記載によります(2026年9月6日確認)。表は原文の「時期別の輸送可否一覧」を編集部が読みやすく整理したもので、「輸送不可」「輸送可能」の表記は原文の記載に対応します。

注意

この変更はJALの国内貨物についてのものです。ANA Cargoは2026年4月30日付のニュースで、国内貨物の短頭犬13犬種について5月1日から10月31日までの受託停止を案内していますが、「全ての犬・猫」を止めるという発表は、2026年9月6日時点では確認できません。会社ごとに扱いが違うので、「航空業界全体が犬を運ばなくなった」という理解は正確ではありません。

いちばん誤解されやすい「貨物」と「旅客としてのお預け」の違い

この記事でいちばん強調したいのが、ここです。JALの今回の制限は「貨物」の話であり、飼い主自身が同じ便に乗って預ける場合とは別のルールが適用されます。

JALの国内線ペットのページには、冒頭にはっきりこう書かれています。「ペットのみを輸送する場合は貨物扱いとなります」。逆に言えば、飼い主が搭乗してペットを預けるときは「ペットとおでかけサービス」という旅客側のサービスになります。ANAも国内線のページで「ペットのみを航空貨物として輸送(別送)する場合は、取り扱いが異なります」と案内しています。

では、旅客側のJALのルールはどうなっているか。「ペットとおでかけサービス」は受託条件を「犬、猫、うさぎなどの小動物」という項目にまとめていて、そこにこう書かれています。「小動物(フェレット、ハムスター、モルモット含む)に限り、受託の条件に満たしている場合はお預けいただけます。ただし、短頭犬であるブルドッグ、フレンチブルドッグはお預けいただけません」。そして注記として「パグ、チン、ボストンテリアなどその他の短鼻犬・短頭犬、ブルドッグ・フレンチブルドッグの雑種はお預けいただけます」。

つまり、2026年9月6日時点で公式ページに書かれている内容を素直に読むと、次のようになります。

状況適用されるルール短頭犬種の扱い(JALの場合)ミックス犬の扱い(JALの場合)
犬だけを送る(飼い主は搭乗しない)国内貨物ブルドッグ・フレンチブルドッグは通年不可。その他21種は夏期不可。2026年9月1日以降の夏期は種類を問わず原則不可通年で原則不可(2026年9月1日出発便から)
飼い主が同じ便に乗って預けるペットとおでかけサービス(旅客)ブルドッグ・フレンチブルドッグのみ通年不可。パグ・チン・ボストンテリアなどは受託可記載上の制限なし。ブルドッグ・フレンチブルドッグの雑種は受託可と明記

家族旅行や帰省で犬を連れて行く多くの人にとって関係があるのは、下の行です。「JALが犬の輸送をやめた」というニュースだけを見て諦めてしまうのは、もったいないケースがあるということです。

逆のパターンもあります。ペットとクレートの合計重量が32kg以上になると、JALでは「貨物扱いとなります」。大型犬と一緒に飛ぶ場合、飼い主が同じ便に乗っていても手続きは貨物側になる、ということです。この場合こそ、先ほどの例外条件のいちばん上「お客さまご自身が航空機に搭乗する場合で、ペットとおでかけサービスを利用できない場合(重量制約など)」に当てはまるかどうかを、事前に窓口へ確認する必要があります。

ヒント

問い合わせるときは「犬を飛行機に乗せたい」ではなく、「◯月◯日の◯◯線に私も搭乗して、体重◯kg・犬種◯◯の犬を預けたい」と、搭乗の有無・日付・路線・犬種・ペットとクレートの合計重量をセットで伝えると話が早く進みます。会社によって窓口が旅客側と貨物側に分かれているので、最初の一言で行き先が決まります。

航空会社別・犬の取り扱い早見表(2026年9月6日時点)

主要な国内線各社の扱いを、公式ページで確認できた範囲で並べます。数値も条件も変わりうるので、必ず各社の最新ページで確認してください。

航空会社客室への同伴貨物室での預かり(旅客同行)夏期の短頭犬種料金の目安
JAL(国内線)犬・猫は不可可(ペットとおでかけサービス)通年不可はブルドッグ・フレンチブルドッグのみ。その他の短頭犬は受託可クレート1個1区間5,500〜7,700円。事前支払いなら3,500〜5,500円(事前料金の設定がない路線もあり)
ANA(国内線)哺乳類は不可可5月1日〜10月31日は13犬種の預かりを中止国内全路線6,600円(一部路線4,400円)
スターフライヤー可(FLY WITH PET!)可5月1日〜10月31日は13犬種の預かりを中止客室同伴50,000円/匹、貨物室6,600円
スカイマーク不可可短吻種犬は期間を区切らずお断り5,000円または7,000円(路線による)
ソラシドエア不可可5月1日〜10月31日は13犬種の預かりを中止各種料金のご案内に記載
AIRDO公式ページに同伴の案内なし可5月1日〜10月31日は13犬種の預かりを中止ケージ1区間1個6,600円
Peach不可不可ーー
ジェットスター不可(補助犬を除く)ーーー

ANA・スターフライヤー・ソラシドエア・AIRDOが挙げている13犬種は共通しています。ブルドッグ、フレンチ・ブルドッグ、ボクサー、シーズー、ボストン・テリア、ブル・テリア、キングチャールズ・スパニエル、チベタン・スパニエル、ブリュッセル・グリフォン、チャウチャウ、パグ、チン、ペキニーズ。スターフライヤーとソラシドエアはさらに「上記犬種名に『ミニチュア』が付く場合も対象の犬種に該当します」「ミックス犬は対象外です」と注記しており、この点はJALの貨物ルールと考え方が逆になっています。

ANAがこの期間になったのは2018年からです。ANAは「短頭犬種輸送禁止期間の変更について」という2017年4月21日付の案内で、獣医師などの専門家から「短頭犬種は他の犬種と比較して、高温多湿に弱く気道が狭いため、高温の環境下において、体調に支障をきたす恐れがある」との見解を受けているとし、「昨今の日本国内の気候に鑑み」、それまでの6月1日〜9月30日を5月1日〜10月31日へ広げたと説明しています。日本の夏が長くなるにつれて、制限期間も前後に広がってきた、という流れがここに読み取れます。

スカイマークは少し性格が違います。同社は「鼻腔が短いとされる短吻種犬につきましては、航空輸送時の環境の変化を受けやすく、体調に変調をきたすおそれがあることがわかりました」として、期間を区切らずに預かりをお断りしています。対象として挙げられているのは、パグ、シーズー、ボストン・テリア、ペキニーズ、チン、ボクサー、ブルドッグ、チベタン・スパニエルなどの短吻種犬です。またスカイマークは「貨物室のスペースの関係上、1便あたりにお預かりできるペットの数に制限がございます」とし、当日すでに制限数に達していた場合は後続便への振り替えになる(他社便への振り替えは不可)とも案内しています。

ピーチは「ペットを連れての搭乗はできません。また、お預かりもできません」と明記しています(身体障害者補助犬は同伴可)。ジェットスターも「その他の補助動物やペットはジェットスターの航空機および客室に同伴してご搭乗いただけません」としています。LCCで移動を計画している場合は、犬を連れるという前提が最初から成り立たないことがある、と覚えておいてください。

各社の条件・料金は、JAL「国内線ペットとおでかけサービス」および「ペット料金のご案内」、ANA「ペットをお連れのお客様(国内線)」、スターフライヤー「FLY WITH PET!」および「ペットの貨物室へのお預け」、スカイマーク「ペットのお預かり」、ソラシドエア「ペットについて」、AIRDO「ペット」、Peach「ペットは機内に連れていけますか」、ジェットスター「補助犬を同伴されるお客さま」の各公式ページの記載によります(いずれも2026年9月6日確認)。ソラシドエアの料金は同社ページから「各種料金のご案内」へのリンクとなっていたため、本記事では金額を記載していません。JALの料金は2026年8月18日時点の情報として掲載された2026年3月29日〜10月24日搭乗分の表によります。

客室にいっしょに乗れる「FLY WITH PET!」という選択肢

国内線で唯一、犬を客室に連れて乗れるのがスターフライヤーの「FLY WITH PET!」です。同社は自社ページで「日本の航空会社唯一の機内へ一緒にご搭乗いただけるサービス」と案内しています。

条件を整理すると、次のようになります。

  • 対象: 指定のサイズのケージ(高さ75cm×横幅43cm×長さ55cm以内)に入る小型の犬および猫
  • 対象便: スターフライヤー国内線全便
  • 料金: 50,000円/匹
  • 予約: ホームページから。予約期限は搭乗日2日前まで。支払いはクレジットカードのみで、支払い場所はコールセンター(当日空港での支払いは不可)
  • ワクチン: 混合ワクチン(3種以上)および犬の場合は狂犬病予防ワクチンを接種したことが、接種証明書・鑑札・注射済票で確認できること
  • おむつ: ペット用マナーウエア(おむつ)の事前着用が必要
  • 当日: 出発1時間30分前にカウンターへ。出発時刻40分前までに手続きができないと搭乗できない場合がある
  • 保安検査: 飼い主自身がペットを抱きかかえて通過。脱走防止のためリード・首輪をつけて通過するので、金属部品の少ない製品を用意する
  • 機内: 原則最後列の窓側の席にケージを固縛し、飼い主は隣の席に座る。フライト中はケージから出せず、餌も与えられない。給水器を使って水を与えることは可能
  • 降機: 優先搭乗で最初に乗り、降りるのは最終

ケージの条件も細かく決められています。シートベルトで座席に固定するための取手がついていること、シールロックを装着できること、窓・入口部分がメッシュ素材であること(格子状は不可)。当日にサイズや形状が適当でないと判断された場合や、空港でシールロックを装着できない場合は、同社の貸出ケージを使うことになります。

見落としてはいけない記載もあります。同社は機内についての説明のなかで「緊急時の酸素サービスはペットにはご利用いただけません。また脱出の際にはペットは機内に置いて行かなくてはなりません」と明記しています。客室に一緒にいられるからといって、非常時にも同じ扱いになるわけではない、ということです。また、当該便が運休になった場合は「FLY WITH PET!」対象便以外への振替ができず、対象便以外への振替を希望する場合は貨物室に預けることになります。

1匹5万円は正直高いと思いました。でも、貨物室に預けて2時間ずっと様子がわからないことに耐えられる自信がなくて、うちはこちらを選びました。となりで様子が見られる、というだけで気持ちがまったく違います。
小型犬と暮らす飼い主

メモ

スターフライヤーの就航路線は限られています(2026年9月6日時点で同社サイトの予約画面に出発地として表示されていたのは、羽田・北九州・福岡・山口宇部・関西・中部・仙台でした)。行き先が合わなければ選べないサービスなので、まず路線を確認してから検討してください。1便あたりの受け入れ枠にも限りがあり、同社は「すでに当該便にFLY WITH PET!の予約がある場合はお申し込みいただけない場合があります」としています。

あわせて読みたい

犬のクレート・ケージ(ハウス)の選び方|タイプ別比較と使い分け(留守番・就寝・移動・防災)

短頭種はなぜ空の旅で不利なのか

各社がそろって短頭犬種に制限をかけるのは、体質にはっきりした理由があるからです。ここは煽らずに、しかし正確に押さえておきたいところです。

短頭種気道症候群(BOAS)は、鼻先の短い犬種に見られる上気道の構造的な問題の総称です。コーネル大学のRiney Canine Health Centerは、短頭種を「遺伝(犬種)によって短い鼻先(マズル)を持つ犬」と定義し、頭蓋骨が圧縮されて平らな顔つきになっていると説明しています。もっとも多く見られるのはイングリッシュ・ブルドッグ、パグ、フレンチ・ブルドッグ、ボストン・テリアで、ほかにボクサー、ペキニーズ、シーズー、シャー・ペイ、ラサ・アプソ、ブル・マスティフが挙げられています。JALやANAが挙げている犬種リストと、ほぼ重なります。

同センターが挙げる主な原因は、生まれつき小さく吸気時につぶれることもある鼻の穴(外鼻孔狭窄)、喉頭への空気の流れをふさぐ長すぎる軟口蓋、吸気時に引き込まれて気道をふさぐ喉頭小嚢の反転、そして相対的に細すぎる気管(気管低形成)です。症状としては、いびき・ゼーゼー・ブーブーといった雑音のある呼吸、運動できない・続かない、食べ物や水を飲み込むときのえずき、努力呼吸、開口呼吸、歯ぐきが青紫色になること、そして虚脱が挙げられています。

なぜ暑さに弱いのか。犬・猫の呼吸器科(旧・相模が丘動物病院)の解説は、短頭種は非短頭種に比べて咽頭気道が著しく狭くなっており、「暑熱環境にてすぐに開口呼吸し、また呼気による効率的な熱放散ができないため熱中症に陥りやすい」と説明しています。犬は汗をかいて体温を下げるのではなく、主にパンティング(浅速呼吸)で気道から熱を逃がします。その気道が狭ければ、冷却装置そのものの性能が低いということになります。ペット保険のFPCの解説も、短頭種はパンティングでの体温調節が十分にできず「他の犬よりも極端に熱中症になりやすい」としています。

米国獣医師会(AVMA)は、短頭犬種と航空輸送についてのFAQで、2010年7月に米運輸省(DOT)が公表した統計を紹介しています。それによると、当時の直近5年間で航空便に関連した犬の死亡122件のうち、およそ半数が短頭種でした。犬種別ではイングリッシュ・ブルドッグが25頭で最多、次いでパグが11頭で、2桁に達したのはこの2犬種だけだったとされています。同じFAQは同時に、「これらの数字は少し怖く見えるかもしれないが、毎年何十万頭もの動物が飛んでいることを考えれば非常に小さな数字だ」とも述べています。数字の大きさではなく、偏りに意味がある、と読むのが正確です。

AVMAは、その理由をわかりやすい比喩で説明しています。短頭種は鼻が短くなっているだけで、鼻腔も副鼻腔も硬口蓋も、他の犬と同じものを全部その狭いスペースに収めなければならない。それは「一軒家からアパートに引っ越して、同じ量の家具を入れるようなもの」だと。そして息を吸うときの気道の様子を、ストローにたとえています。そっと吸えば問題なく空気が通るけれど、強く吸おうとすればストローはつぶれて空気が来なくなる。ストレスや運動や暑さで強く呼吸しようとしたとき、まさに同じことが気道で起こる、という説明です。

さらにAVMAは、貨物室特有の事情も指摘しています。ペットは与圧された貨物室で運ばれ、客室とほぼ同じ空気を得ているものの、空気の循環がその子にとって理想的とは限らず、しかもクレート自体が通気に影響することもある。そして何より「その貨物区画には、ペットを監視して必要なときに手当てできる人が誰もいない」ため、問題が起きても飛行機が着陸して降ろされるまで気づけない、と述べています。

国際航空運送協会(IATA)も、飼い主向けの「Traveler's Pet Corner」で、ボクサー・パグ・ブルドッグ・ペキニーズのような鼻の短い犬を暑い季節に輸送することは推奨されない、これらの動物は暑い天候のなかで正常な体温を保つのが難しいから、としています。

注意

短頭種の飼い主にとってつらい内容が続きましたが、これは「短頭種は飛行機に乗せてはいけない」という意味ではありません。実際、JALの旅客側のサービスではパグやチンなどは受託対象ですし、11月から4月であれば多くの会社が受け入れています。ポイントは、気温と時間帯を味方につけることと、その子の呼吸の状態を事前に獣医師に診てもらうことです。ふだんから就寝中にいびきが強い、少し歩いただけでゼーゼーする、といったサインがあるなら、飛行機の前にまず呼吸器の評価を受けてください。

短頭種以外にも、慎重に判断したい子がいる

短頭犬種ばかりが注目されますが、各社の「預かれない条件」を読むと、対象はもっと広いことがわかります。

ANAは、預かれるペットの条件として「若齢(生後4カ月未満)ではない」「心臓疾患/呼吸器疾患がない」「鎮静剤を使用していない」「妊娠していない」「売買用/産業用の動物ではない」を挙げています。ソラシドエアもAIRDOも、ほぼ同じ条件です。JALの貨物側は「生後8週間(56日)以内の犬および猫はお預かりできません」とし、旅客側の受託条件では「生後8週間以上経過している」「妊娠中ではない」「法令に基づいて狂犬病ワクチンを接種している(犬のみ)」としています。ANA Cargoの国内貨物も「生後8週間以内の子犬・子猫」を輸送できない動物に挙げています。

さらに各社は、当日の様子で預かりを断ることがあるとしています。ANAが挙げる「健康被害が生じる可能性が高い状態」は、食欲がなく元気がない、呼吸が荒く心拍数が上がっている、ふらふらとした歩行状態である、過度に緊張し震えている、過度に緊張し大量のよだれが出ている、パニック状態になり吠え続けている、の6つ。JALはこれに加えて、体温調節が上手にできない、以前航空輸送をした際に食欲がなくなったり下痢を起こしたことがある、航空輸送が体質的に合わないと思われる症状がある、暗い場所でストレスを感じる傾向がある、といった項目も挙げ、「事前に獣医師へのご相談をお勧めいたします」としています。

ここから逆算すると、次のような子は、フライトの前にかかりつけで相談しておく価値があります。

飛行機の前に獣医師へ相談したい犬

  • 短頭犬種、または短頭犬種の血が入っていると思われる犬
  • いびきが大きい、寝ているときに呼吸が止まったように見える
  • 散歩の途中でゼーゼーする、暑い日に息が上がりやすい
  • 心臓に雑音を指摘されている、咳が出ることがある
  • 気管虚脱を指摘されている
  • 7歳を超えていて、最近体力の落ちを感じる
  • 持病で常用している薬がある
  • 過去のフライトや車移動で下痢・嘔吐・食欲不振が出たことがある
  • クレートに長時間入った経験がない
  • 分離不安の傾向があり、飼い主と離れると強く吠える・パニックになる
  • 生後4か月に満たない子犬(会社によっては生後8週間が基準)
  • 太りぎみで、体重管理の途中である

AIRDOは、預かれない健康状態とは別に「下記のいずれかに該当する場合、事前に獣医師にご相談されることを強くおすすめいたします」として、長時間飼い主と離れることに慣れていない、長時間ペットケージに入ることに慣れていない、短頭犬種である、持病がある、の4つを挙げています。「慣れていない」が正面から挙げられているのが印象的です。これは当日どうにかできるものではなく、出発の何週間も前から準備するしかないものです。

あわせて読みたい

犬の分離不安とは|留守番中の吠え・破壊・そそうのサインと向き合い方

シニア犬の場合は、年齢そのものよりも「いまの体の状態」で判断します。関節が痛くて長時間同じ姿勢を保つのがつらい、認知機能の低下で環境が変わると混乱する、といった事情があるなら、飛行機の2時間はかなりの負担になります。逆に、定期的に健診を受けていて心臓も呼吸も問題なく、クレートで落ち着いて寝ていられる子であれば、年齢だけを理由に諦める必要はありません。判断材料は年齢ではなく、直近の健診結果とふだんの様子です。

あわせて読みたい

シニア犬との暮らし方|7歳からの変化に寄り添うケアと住環境

予約から受け取りまで——当日の流れ

ここからは実務です。会社によって細部は違いますが、大枠は共通しています。ここではJALとANAを中心に、他社の記載も補いながら流れを追います。

  1. 1

    路線と時間帯を決める(数週間〜1か月前)

    まず、その路線に犬を乗せられるかを公式ページで確認します。次に時間帯。JALもANAも夏季(5月1日〜10月31日)について「外気温の影響を受けやすい日中の時間帯は避けていただくことをおすすめいたします」としています。AVMAも、暖かい時期や暖かい目的地へ向かうときは日中の高温を避けて朝か夕方の便を、寒い時期は逆に暖かい時間帯を、とすすめています。乗り継ぎもできるだけ減らします。JALCARGOは夏季について「全ての犬種において、他社との相次運送を含み2区間以上の経由便輸送をお受けしておりません」としています。
  2. 2

    ペットの事前予約をする

    ANAはペットの事前予約を受け付けており、ANAウェブサイトまたはANAあんしんご予約デスクで搭乗日前日まで(当日の利用はANAあんしんご予約デスクまたは搭乗手続きカウンターへの問い合わせ)としています。予約時には代表者・ペットの種類・ケージの種類・総重量を入力します。スターフライヤーの客室同伴は搭乗日2日前まで。JALは「ペット料金事前お支払いサービス」を搭乗日の前日正午までに使うと、当日空港で支払うより安い料金になり、手続きもスムーズになります。貨物室のスペースには限りがあるため、どの社も早めの予約が有利です。
  3. 3

    クレートを用意し、慣らしを始める

    後の節で詳しく触れますが、規格外だと当日に貸出クレートへ入れ替えになります。そして何より、クレートに慣れていない状態で当日を迎えないこと。AVMAは「ペットが移動用クレートに慣れていれば、クレートの中で落ち着きやすく、ストレスが少ない状態で移動できる」としています。IATAも、旅行の数週間前からコンテナに慣らすことをすすめています。
  4. 4

    書類をそろえる

    JALは「確認書」(マイル支払い用/マイル積算用)を事前に記入して空港へ持参する形です。ANA・スカイマーク・ソラシドエア・AIRDO・スターフライヤーは「同意書」の提出が必要で、いずれも公式ページからダウンロードして記入します。スターフライヤーの客室同伴は、これに加えて混合ワクチン(3種以上)と狂犬病予防ワクチンの接種証明が必要です。犬の登録と年1回の狂犬病予防注射、鑑札と注射済票の装着は、そもそも狂犬病予防法で飼い主に義務づけられているもの(厚生労働省)なので、この機会に手元を確認しておきましょう。
  5. 5

    出発当日、余裕を持って空港へ

    締切時刻は会社ごとに違います。JALは「ご搭乗便出発時間の40分前を目安にお預けください」とし、確認書の確認が必要なため出発時刻の40分前までにカウンターへ来るよう案内しています。AIRDOは出発時刻の30分前まで、スカイマークは出発時刻の40分前まで(預けは2時間前から可能)、スターフライヤーは貨物室に預ける場合が出発時刻の30分前まで、客室同伴の「FLY WITH PET!」は出発1時間30分前が目安で40分前が締切です。ANAは「通常の手続きより時間を要するため、お早めにお越しください」としています。JALは「間際のお預けとなった場合、短時間で急激な温度変化になり負担がかかります」としており、ANA・AIRDO・スカイマークも手続きに時間を要するとして早めの来場を求めています。締切ぎりぎりを狙わないのが基本です。
  6. 6

    預ける直前に排泄と水分補給を済ませる

    ANAは「長時間の移動や環境の変化による緊張から、ペットケージ内で排泄してしまう場合がございます。事前に散歩などを済ませてから手荷物カウンターへお越しください」としています。AIRDOも同じ案内です。JALCARGOは夏季について「特に体温発散の効率が悪い一部の小型犬についてはお預けいただく前に十分な水分補給をお願いします」としています。
  7. 7

    到着空港で受け取る

    JALは「係員が到着ロビーまで慎重にお運びし、手荷物受け取りエリアでお客さまに直接お渡しいたします」、ANA・スカイマーク・ソラシドエアも同様に、係員が直接手渡しすると案内しています。ターンテーブルに流れてくるわけではないので、到着後は係員に申し出てください。

ヒント

乗り継ぎがあるときは、預け方が変わることがあります。ANAは、提携航空会社(AIR DO、ソラシドエア、スターフライヤー、IBEXエアラインズ、オリエンタルエアブリッジ)への乗り継ぎならペットの預けと料金支払いは第一区間出発空港で受け付けるとしつつ、「乗り継ぎ便に関わらず、乗り継ぎに2時間以上の間隔が空く場合、乗り継ぎ空港でお引き取りのうえ、再度お預けいただく場合がございます」としています。JALは、乗り継ぎ時間が長い場合は食事や水を与えられるので、出発空港で預ける際に必ず申し出るよう案内しています。

クレートの規格と、当日までに用意するもの

犬の空の旅で、当日いちばんトラブルになりやすいのがクレートです。「持っていったら使えないと言われた」を避けるために、規格を先に押さえておきます。

土台になっているのはIATA(国際航空運送協会)のLive Animals Regulations(LAR)第8章のコンテナ要件です。IATAは、犬の体を測って寸法を出す考え方を示しています。鼻先から尾の付け根までの長さをA、地面から肘関節までの高さをB、肩幅または最も広い点をC、立ち姿勢での地面から頭頂部(または耳の先)までの高さをDとして、

  • コンテナの長さ = A + 1/2B
  • コンテナの幅 = C × 2
  • コンテナの高さ = D + 寝具の厚み

そして、短頭犬種は10%大きなコンテナが必要とされています。JALCARGOもこの式をそのまま自社ページに掲載し、同じく「短頭犬種では10%大きな容器が必要となる」としています。

そのうえで、各社が求めている構造上の条件を、代表的なものにまとめると次のようになります。土台はどこも同じIATA基準ですが、細部は会社ごとに違うので、最終的には利用する会社のページで確認してください。

クレートの条件(各社が求める要点。細部は会社ごとに異なります)

  • 犬が立ったまま方向転換でき、脚を伸ばして立ったり座ったり、自然な姿勢で横になれる大きさ
  • 硬質プラスチック・金属・木製など強度の高い素材(JALはソフトクレート、折り畳み式クレート、底面以外が金網状・格子状の鳥かごタイプを引き受けられないとしている)
  • 換気用の窓があるなど通気が十分にとれる構造
  • 外側から施錠でき、隙間や継目から逃げられない構造
  • 外側に機能的な取手がついている
  • 車輪は取り外しまたは固定が可能
  • 液体や汚物が外に漏れない耐水構造(吸水剤の下敷きなど)
  • 段ボール箱・衣装ケース・蓋が段ボールのもの・ソフトケース・強度の低いプラスチックは不可(JALCARGO 国内貨物の記載)

会社ごとの上乗せ条件もあります。JALの旅客側は「扉のロックピンは差し込んだ際に、押出口から少なくとも1.6cmでていること」という具体的な数値を示しています。JALCARGOの国内貨物は、体重が5kg以上の全ての犬種、および成犬・幼犬を問わず同社が指定する特定犬種(秋田犬、ドーベルマン、土佐犬、グレートデーン、紀州犬、ボクサー、セントバーナード、シェパード)については、接合部分・ロック部分を含む全てが金属製の容器であることを求めています。ANA Cargoも同様に、特定犬種には強固な金属製のペットクレートを求め、折り畳み式の場合は空港でカラビナや逃走防止用のネットで補強すると案内しています。

サイズの目安として、各社が公表している貸出ケージの寸法は次のとおりです。自分のクレートを選ぶときの物差しにもなります。

会社SMLLL
ANA(幅×奥行×高さ)40×55×40cm46×66×50cm55×80×60cm65×95×70cm
ソラシドエア(幅×奥行×高さ)40×55×40cm46×66×50cm55×80×60cm65×95×70cm
スターフライヤー(縦×横×高さ)41×53×38cm51×69×47.5cm61×91×66cmー
スカイマーク(小/中/大)31×47×25cm42×53×40cm51×69×48cmー

スカイマークは、持参・貸出にかかわらずケージのサイズを51cm×69cm×48cmまでとしており、「このサイズに入らない大型犬などはお預かりできません」と明記しています。ソラシドエアは貨物室に搭載可能なサイズを高さ約85cm、幅約121cmとしています。大型犬の場合は、まず機材と貨物室扉に入るかどうかから確認が必要です。ANAも、小型機(DH4、CR7)で運航する便はLLサイズのケージを預けられないとしています。

当日クレートに入れるもの・入れないものも、会社の案内がはっきりしています。

  • 給水器はノズル式。ANA・ソラシドエア・AIRDOは、受け皿タイプは水がこぼれる恐れがあるとして預かれないとしています。JALは「出発地から到着地まで12時間以上の旅程をお持ちの場合は、必ず給水器を設置ください」としています
  • リードは必ず外す。JALCARGOは「首輪やリードは必ず外した状態でお持ち込みください」、ANAは咬みちぎったり体に絡まったりする恐れがあるとして、リードは必ず外し、首輪をつけたままにする場合は緩みがないか事前に確かめるよう案内しています
  • おもちゃは入れない。ANAは、環境の変化などの影響で誤飲してしまうことがあるとして注意を促しています
  • 夏はケージを二重にしない・カバーをかけない。ANA・ソラシドエア・スターフライヤーは、5月1日〜10月31日について「通気性が悪くなり危険なため」預かれないとしています
  • 保温にカイロを直接使わない。JALCARGOは「保温時はカイロなどの危険物を使用しないでください」としています(ANA・AIRDOは冬場のペット用カイロの用意を挙げているので、この点は会社ごとに扱いが異なります。持ち込む場合は必ず事前に確認してください)
  • 敷物は薄く。AVMAは、においのついたものは安心材料になる一方で「厚い毛布やふわふわのタオル、体を包み込んだり鼻を埋めたりできる布は避ける」ようすすめ、ごく薄い毛布か平らに敷いた新聞紙がよいとしています

ANAとAIRDOは、5月1日から10月31日の期間にケージへ保冷剤と給水器を取り付けるサービスを行っています。ただしANAは「貸し出し用のペット給水器は数に限りがあります」として、自分で用意するよう協力を呼びかけています。

あわせて読みたい

犬用キャリーバッグ・リュックの選び方|タイプ別比較とサイズ・通院や電車で困らない選び方

出発前後のケアと、到着後に見るべきサイン

最後は、当日の前後で飼い主にできることです。ここは、どの会社の案内でも共通している部分が多く、そのぶん効果もはっきりしています。

**クレートに慣らす。**いちばん時間がかかり、いちばん効きます。ANAは「長時間ペットケージの中にいることに慣れていないペットは、ストレスを感じやすいため、ご旅行前に慣れさせておくことをおすすめいたします」としています。スターフライヤーも「機内や空港内では原則ケージからでることはできません。事前にケージに慣らしておきましょう」と呼びかけています。おやつを入れて自分から入る練習から始め、扉を閉める時間を少しずつ延ばし、最終的には数時間静かに過ごせるところを目指します。当日いきなり入れると、それだけで大きなストレスになります。

**おむつに慣らす。**スターフライヤーの客室同伴を使う場合は必須です。同社は「普段おむつの着用に慣れていない場合は、事前の練習が効果的!」としています。貨物室に預ける場合でも、慣れた子ならケージ内の汚れを減らせます。

あわせて読みたい

犬用おむつ・マナーベルト・サニタリーパンツの選び方|タイプ別比較とサイズの測り方

**食事は控えめに、事前に済ませる。**ANAは「満腹状態、空腹状態は飛行機酔いなど体調を崩す原因になります。食事や水分を与える際は適量を心掛けてください」とし、預けた後は乗り継ぎ時を含めて食事ができないので、あらかじめ済ませておくよう案内しています。IATAは「動物を運送人へ引き渡す2時間前の軽い食事は落ち着かせる助けになる」とし、これは米国では法的要件でもあると付け加えています。ソラシドエアもAIRDOも同じ趣旨の案内です。

**夏はアンダーコートの手入れを。**ANA・ソラシドエア・AIRDOはそろって、室内飼育の犬猫はアンダーコート(下毛)が多いケースがあるとして、夏季期間の旅行前には下毛の手入れをすすめています。ブラッシングで抜け毛を減らしておくと、熱がこもりにくくなります。

**鎮静剤は自己判断で使わない。**これは強めに書いておきます。AVMAは「航空機での移動のためにペットを鎮静させることは強く避けるようおすすめします。怪我や健康上の問題のリスクを高めるためです」としています。IATAも鎮静剤の使用を推奨していません。そしてANAとソラシドエアは、そもそも「鎮静剤を使用している」ペットは預かれないと条件に明記しています。車酔いの薬などをふだん使っている場合も、フライト前に必ずかかりつけへ相談してください。

あわせて読みたい

犬の車酔い(乗り物酔い)対策|原因・サイン・少しずつ慣らす方法と酔い止め

**飼い主自身が落ち着いている。**ANAとAIRDOは、当日の心構えとして「飼い主の様子の変化をペットは不安に感じることがあります。ご旅行へご出発される際も、いつもと同じ接し方を心がけ、ペットを安心させてください」と書いています。これは根拠のある助言です。犬は飼い主の緊張をよく読み取ります。空港でそわそわしすぎないことも、準備のうちだと考えてください。

**到着後は安静に、そして様子を見る。**ANA・ソラシドエア・AIRDOは、到着後に次のような症状がある場合は獣医師の診断を受けることをすすめています。下痢、嘔吐、呼吸が荒い、体が震える、食欲がない、散歩・外に出たがらない、不安な様子が取れない、いつもと様子が違う。到着した日は予定を詰め込まず、静かに休める場所を用意しておきましょう。

注意

到着直後に、呼吸が速く浅い状態が続く、口を大きく開けて苦しそうに呼吸する、舌や歯ぐきが青紫色になっている、立てない・ふらつく、といった様子があれば、様子見をせずすぐに動物病院へ連絡してください。夏場であれば熱中症の可能性も考えます。JALは、空港では緊急時に相談できる獣医師やペットホテルを速やかに案内できるよう、あらかじめ近隣の施設を確認していると案内しています(一部空港を除く)。あわせて、到着地の夜間救急に対応する動物病院を出発前に調べておくと安心です。

あわせて読みたい

犬の熱中症「警戒レベル」の見方|暑さ指数(WBGT)と週間予報を2026年の猛暑対策に活かす

なお、犬を連れた移動では迷子のリスクも上がります。到着空港でクレートから出した瞬間の飛び出しは、実際に起こりうる事故です。鑑札と注射済票の装着(法律上の義務でもあります)、マイクロチップの登録情報が最新かどうかを、出発前に確認しておいてください。

あわせて読みたい

犬のマイクロチップと迷子・脱走対策|義務化の今と、花火・お出かけシーズンの備え

よくある質問

2026年9月から、犬を飛行機に乗せられなくなったのですか。
いいえ。今回JALが変更したのは「国内貨物」、つまり飼い主が搭乗せずにペットだけを送る輸送の扱いです。JALの公式ページでは、飼い主が同じ便に搭乗して預ける「ペットとおでかけサービス」については、通年で受託できないのはブルドッグとフレンチブルドッグのみで、パグ・チン・ボストンテリアなどその他の短鼻犬・短頭犬、およびブルドッグ・フレンチブルドッグの雑種は預けられるとされています(2026年9月6日確認)。ANAやスターフライヤーなど他社も、夏期の短頭犬種の制限は続いていますが、犬全般の受け入れを止めてはいません。自分のケースが「貨物」なのか「旅客としてのお預け」なのかを最初に切り分けてください。
自分も同じ便に乗るのに、なぜ「貨物」の話が出てくるのですか。
重量が理由になることがあります。JALは、ペットとクレートの合計重量が32kg以上の場合は貨物扱いになるとしています。大型犬と一緒に飛ぶ場合、飼い主が搭乗していても手続きは貨物側になる、ということです。JALCARGOはこのケースを例外輸送の対象の1つに挙げていて、「お客さまご自身が航空機に搭乗する場合で、ペットとおでかけサービスを利用できない場合(重量制約など)」と明記しています。該当しそうなら、早めに空港担当または販売担当へ問い合わせてください。ANAも総重量が32〜45kgの場合は預かれないことがあるとして事前の電話問い合わせを求め、45kgを超える場合は各空港貨物窓口への申し込みになるとしています。
うちはミックス犬です。もう飛行機に乗せられませんか。
会社によって扱いが正反対なので、ここは丁寧に確認してください。JALの国内貨物は、2026年9月1日出発便から雑種(ミックス犬)を通年で受託停止としました。理由として「外見での正確な判断が困難な場合があり、輸送リスクの高い短頭犬種の血統が含まれている可能性を排除できないため」と説明されています。一方でスターフライヤーとソラシドエアは、夏季の短頭犬種の預かり中止について「ミックス犬は対象外です」と明記しています。またJALの旅客側のサービスは、ブルドッグ・フレンチブルドッグの雑種を受託可としています。つまり「貨物か旅客か」「どの航空会社か」で結論が変わります。
短頭種ですが、11月なら大丈夫ですか。
夏期の制限が解ける会社が多いのは事実です。ANA・スターフライヤー・ソラシドエア・AIRDOの短頭犬種13犬種の預かり中止は、いずれも毎年5月1日〜10月31日の期間に限られています。JALの国内貨物も、その他の短頭犬種21種は11月1日〜4月30日は輸送可能としています(ブルドッグとフレンチブルドッグは通年不可)。ただしスカイマークは期間を区切らずに短吻種犬をお断りしているので、路線によっては冬でも選べません。また期間外であっても体質のリスクが消えるわけではありません。ANA Cargoは国内貨物のページで、受託停止期間について案内したうえで「上記期間以外でも、気温が高い日のお預けには十分ご留意ください」としています。AIRDOも、短頭犬種である場合は事前に獣医師へ相談することを強くすすめています。事前に呼吸器の状態を診てもらってから決めてください。
貨物室は寒くないのですか。暗くないのですか。
各社が明確に説明しています。温度・湿度は空調機で管理されているものの、外気温などの影響で客室とは環境が異なる場合があり、とくに夏場は気温や反射熱の影響で高温になることも考えられる、というのが共通の記載です。照明については、飛行中は消灯され暗室になります。音については、離着陸時や飛行中はエンジン音・機械操作音・風切り音がし、搭載や取り降ろしのときには航空機や地上車両の音が聞こえます。気圧について、JALは「0.8気圧(2,000mの山頂と同程度)となるため上昇中、下降中の気圧の変化で耳の機能などに悪影響を与える恐れがございます」としています。冬季については、JALCARGOが「零度を下回る場合もあり、厳しい温度環境となりますので寒さに弱い場合は輸送について十分ご留意ください」としています。
落ち着かせるために、酔い止めや鎮静剤を飲ませてもいいですか。
自己判断では使わないでください。AVMAは、航空機での移動のためにペットを鎮静させることを強く避けるようすすめ、怪我や健康上の問題のリスクを高めるためだとしています。IATAも鎮静剤の使用を推奨していません。さらにANAとソラシドエアは、預かれるペットの条件として「鎮静剤を使用していない」ことを挙げており、使っていると預かってもらえない可能性があります。ふだん車移動で酔い止めを使っている場合も、フライトの前にかかりつけの獣医師へ相談し、使うかどうか・いつ使うかを含めて判断してもらってください。
客室に乗せられるのはスターフライヤーだけですか。1匹50,000円は高くありませんか。
2026年9月6日時点で、国内線で犬を客室に同伴できるサービスとして公式に案内されているのはスターフライヤーの「FLY WITH PET!」です。同社は「日本の航空会社唯一の機内へ一緒にご搭乗いただけるサービス」としています。料金は1匹50,000円で、これは航空券とは別です。高く感じられるのは自然ですが、指定サイズのケージを座席に固定し、飼い主が隣に座って様子を見られること、優先搭乗と最終降機で他の乗客との接触を減らす運用、降機後の重点清掃など、専用の手当てが含まれた金額だと考えるとわかりやすいかもしれません。なお、フライト中もケージから出すことはできず、餌も与えられません(給水器で水を与えることは可能)。また同社は、緊急時の酸素サービスはペットには使えず、脱出の際にはペットを機内に置いていかなければならないと明記しています。
ピーチやジェットスターなどのLCCは犬を運べますか。
ピーチは「ペットを連れての搭乗はできません。また、お預かりもできません」と明記しています(身体障害者補助犬は同伴可)。ジェットスターも、補助犬を同伴するお客さま向けの案内のなかで「その他の補助動物やペットはジェットスターの航空機および客室に同伴してご搭乗いただけません」としています。運賃だけで航空券を選ぶと、そもそも犬を連れられない便を予約してしまうことがあるので、路線と会社を決める段階でペットの取り扱いを確認してください。
予約は何日前までにすればいいですか。当日いきなりでも預かってもらえますか。
会社によって違います。ANAはペットの事前予約を受け付けており、ウェブサイトからの受付は搭乗日前日まで(複数区間なら第1区間搭乗日の前日まで)、当日はANAあんしんご予約デスクまたは搭乗手続きカウンターへの問い合わせになります。スターフライヤーの客室同伴は搭乗日2日前が予約期限です。JALは当日空港でも預けられますが、「ペット料金事前お支払いサービス」を搭乗日前日正午までに使うと料金が安くなり、当日の手続きもスムーズになります。スカイマークは搭乗日当日に空港カウンターで受け付ける方式ですが、貨物室のスペースの都合で1便あたりの受け入れ数に制限があり、達していた場合は後続便への振り替えになるとしています。いずれにせよ「早めに枠を押さえる」が正解です。
海外に犬を連れて行く場合も、この記事の内容で足りますか。
足りません。国際線は検疫制度が絡み、国内線とはまったく別の手続きになります。農林水産省の動物検疫所が所管しており、日本への入国、日本からの出国、日本で飛行機を乗り換える場合のそれぞれに条件が定められています。同所は「犬、猫及びうさぎの輸出検査申請の提出期限について」として、家畜伝染病予防法施行規則の改正に伴い、令和9年(2027年)1月1日以降に輸出する犬については輸出の14日前までに輸出検査申請を行うことが義務づけられるとも案内しています。相手国の入国条件も国ごとに違います。海外へ連れて行く予定があるなら、この記事ではなく動物検疫所の公式ページを起点にして、余裕を持って準備を始めてください。なお航空会社側の扱いも国内線とは別で、ANA Cargoは短頭犬種について「国際線は通年で受託停止」としています。
当日、犬の様子が悪くて預かってもらえないことはありますか。
あります。各社とも、当日の健康状態によっては預かりを断る場合があると明記しています。ANAが挙げているのは、食欲がなく元気がない、呼吸が荒く心拍数が上がっている、ふらふらとした歩行状態である、過度に緊張し震えている、過度に緊張し大量のよだれが出ている、パニック状態になり吠え続けている、の6つです。JALはさらに、体温調節が上手にできない、以前航空輸送をした際に食欲がなくなったり下痢を起こしたことがある、暗い場所でストレスを感じる傾向がある、といった項目も挙げています。断られる可能性を織り込んで、代替手段(陸路、預け先、日程変更)を頭の片隅に置いておくと、当日あわてずに済みます。

まとめ

2026年の変更を一言でまとめるなら、「JALが、飼い主が同行しない犬・猫の航空貨物輸送について、夏期は原則止め、ミックス犬は通年で止めることにした」です。適用は2026年9月1日出発便から。2026年度に限り夏期の制限期間は9月1日から10月31日で、2027年度以降は5月1日から10月31日になります。そして繰り返しになりますが、これは貨物の話であり、飼い主が同じ便に乗って預ける場合は別のルールが適用されます。ニュースの見出しだけで諦めたり、逆に「大丈夫だろう」と決めつけたりせず、自分のケースがどちらなのかを最初に切り分けてください。

もうひとつ、この一連の変更から読み取っておきたいことがあります。ANAが2018年に短頭犬種の輸送禁止期間を「6月1日〜9月30日」から「5月1日〜10月31日」へ広げた理由を「昨今の日本国内の気候に鑑み」と説明していたように、そしてJALが今回の変更の目的を「夏期における動物への負荷軽減および安全な輸送基準の強化」と書いているように、航空会社側の判断は年々慎重な方向へ動いています。来年また条件が変わっている可能性は、十分にあります。だからこそ、予約する前に必ず各社の最新の公式ページで確認することを、習慣にしてください。この記事の内容は2026年9月6日時点のものです。

準備の要点は、そう多くありません。時期と時間帯を選ぶこと。クレートに事前に慣らしておくこと。呼吸や心臓に不安があるならフライト前にかかりつけへ相談すること。給水器を用意し、リードは外し、夏はカバーをかけないこと。そして到着後は予定を詰め込まず、静かに休ませて様子を見ること。どれも当日には間に合わないものばかりなので、日程が決まった時点から少しずつ進めておくと安心です。

最後に。飛行機は「短時間で移動を終わらせられる」という点で、犬にとって有利な手段になりうる一方で、飼い主の目が届かない時間を作る手段でもあります。その時間をできるだけ短く、できるだけ穏やかにするために、飼い主にできることは意外と多い。愛犬と気持ちよく旅ができるよう、この記事がその準備の役に立てばうれしいです。

出典・参考

この記事をシェア

関連する記事