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犬のワクチンと健康診断の基礎|狂犬病・混合ワクチンと受ける頻度の目安

対象の目安: 全ライフステージ

ツムギ食事・健康担当
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犬のワクチンと健康診断の基礎|狂犬病・混合ワクチンと受ける頻度の目安

「狂犬病ワクチンと混合ワクチンって何が違うの?」「毎年打つべき? 健康診断はどのくらいの頻度で?」——犬を迎えると必ず向き合うのが、ワクチンと健康診断です。狂犬病ワクチンは法律で義務づけられた接種で、混合ワクチンは飼い主が獣医師と相談して決める任意の接種、と役割が異なります。この記事では、両者の違いと子犬期からのスケジュール、接種前後の注意、健康診断を受ける頻度の目安までを、公的機関や獣医療の情報をもとに整理します。数値や制度は変わることもあるため、最終的な判断は必ずかかりつけの動物病院と相談して決めてください。

狂犬病ワクチンと混合ワクチンは役割が違う

まず押さえたいのが、犬のワクチンには性格の異なる2種類がある、ということです。混同されがちですが、法的な位置づけも打つ目的も別物です。

種類位置づけ主な目的
狂犬病ワクチン法律による義務(狂犬病予防法)人にもうつる狂犬病の発生・まん延を防ぐ
混合ワクチン任意(飼い主と獣医師で判断)ジステンパーやパルボなど犬の重い感染症を防ぐ

狂犬病ワクチンは「社会全体を守るため」に法律で義務づけられた接種で、混合ワクチンは「その子自身を感染症から守るため」に任意で行う接種、というイメージで捉えると整理しやすくなります。それぞれ順番に見ていきましょう。

狂犬病ワクチン:法律で決まっている義務

狂犬病は、発症するとほぼ100%が命を落とすとされる非常に危険な感染症で、犬だけでなく人を含むほとんどの哺乳類に感染します。日本国内では長く発生が確認されていない「清浄国」ですが、世界では今も多くの国で発生しており、万一の侵入・まん延に備えて予防接種が続けられています。

飼い主に義務づけられている3つのこと

厚生労働省の資料によると、犬の飼い主には狂犬病予防法によって次のことが義務づけられています。

  1. 1

    犬を登録する

    現在住んでいる市区町村に飼い犬を登録します。犬を迎えた日(生後90日以内の子犬の場合は生後90日を経過した日)から30日以内に登録し、登録の証明として「鑑札」が交付されます。登録は生涯に一度が原則です。
  2. 2

    年1回、狂犬病予防注射を受けさせる

    生後91日以上の犬は、年1回の狂犬病予防注射を受けさせる必要があります。注射を受けると「注射済票」が交付されます。
  3. 3

    鑑札と注射済票を犬に装着する

    交付された鑑札と注射済票は、犬に着けておくことが求められています。迷子になったときに飼い主を特定する手がかりにもなります。

注意

これらは努力目標ではなく法律上の義務です。登録や予防注射を受けさせなかった場合、狂犬病予防法により20万円以下の罰金が科される可能性があります。「うちは室内飼いだから」という理由では免除されません。忘れやすい方は、動物病院やお住まいの自治体からの案内を活用しましょう。

接種時期は「4〜6月」から「通年」へ変わる予定

これまで狂犬病の予防注射は、原則として毎年4月1日〜6月30日の間に受けることとされてきました。多くの自治体が春に集合注射を実施しているのはこのためです。

一方で、この接種時期については見直しが進められています。厚生労働省の資料によると、狂犬病予防法施行規則を改正し、「4〜6月」という期間の指定を撤廃して通年で接種できるようにする方針で、2027年(令和9年)の施行が予定されています。ただし、これは接種できる期間の柔軟化であって、「年1回接種する義務」そのものがなくなるわけではありません。改正後も4〜6月は強化期間として周知される見込みです。

メモ

制度は移行の過渡期にあります。お住まいの地域で「いつ受ければよいか」は年度や自治体の案内によって異なるため、市区町村からの通知やかかりつけの動物病院で最新の情報を確認してください。当面は、これまでどおり春に受けておけば確実です。

狂犬病予防法による飼い主の3つの義務(登録・年1回の予防注射・鑑札と注射済票の装着)、生後91日以上が対象であること、20万円以下の罰金は厚生労働省「狂犬病」の解説に基づきます。接種時期を「4〜6月」から通年へ見直す方針と2027年施行予定については、厚生労働省(厚生科学審議会感染症部会)の資料に基づきます。現行の接種期間(4〜6月)は東京都保健医療局の案内も参照しました。

混合ワクチン:コアとノンコアの考え方

混合ワクチンは、複数の感染症を一度に予防できる任意接種のワクチンです。世界小動物獣医師会(WSAVA)のガイドラインでは、ワクチンを「コア」と「ノンコア」に分けて考えます。

  • コアワクチン:住んでいる地域や生活環境に関わらず、すべての犬に接種が推奨される、命に関わる重い感染症を防ぐためのワクチン。
  • ノンコアワクチン:地域や生活環境によって感染リスクが変わる病気に対するもので、打つかどうかは獣医師と相談して判断するワクチン。

混合ワクチンで防げる主な病気

混合ワクチンは、製品によって予防できる病気の数(◯種混合)が異なります。代表的な病気には次のようなものがあります。

区分主な病気の例
コア犬ジステンパー、犬パルボウイルス感染症、犬伝染性肝炎(犬アデノウイルス)など
ノンコア犬レプトスピラ症、犬パラインフルエンザ、犬コロナウイルス感染症など

ジステンパーやパルボウイルス感染症は、子犬が感染すると命に関わることも多い重い病気です。一方でレプトスピラ症は、ネズミなどの尿を介して広がり、水辺やアウトドアでの活動が多い犬、流行地域の犬でリスクが上がるとされ、生活環境に応じて接種を検討します。何種のワクチンを選ぶかは、その子の暮らし方に合わせて獣医師と決めるのが基本です。

メモ

「種類が多いほど安心」とは限りません。必要のないワクチンまで増やすより、その子の生活環境で本当に必要な病気をカバーすることが大切です。どの混合ワクチンが合うかは、お住まいの地域の流行状況や散歩・お出かけの範囲を踏まえて、かかりつけの動物病院に相談しましょう。

子犬期のスケジュールと、その後の接種間隔

混合ワクチンで迷いやすいのが、「いつ」「何回」打つのかという点です。子犬期と、それ以降で考え方が変わります。

子犬のうちは複数回接種する

生まれたばかりの子犬は、母乳(初乳)から受け継いだ「移行抗体」で守られています。この移行抗体はワクチンの効果を打ち消してしまう一方、時期には個体差があり、いつ切れるかを正確には読めません。そこで、確実に免疫をつけるために子犬のうちは複数回に分けて接種します。

WSAVAのガイドラインをふまえた一般的な目安では、初回を生後6〜8週齢ごろに接種し、その後2〜4週間隔で追加接種を行い、最後の接種が生後16週齢(およそ4か月)以降になるように組み立てます。その後、1歳前後で追加接種(ブースター)を行う流れが広く採られています。

ヒント

ワクチンプログラムが完了するまでは、子犬の免疫が十分でない時期があります。とはいえ、社会化期(生後およそ3〜12週)に他の犬や人・環境に慣れる経験も大切です。散歩デビューやパピー教室の始め方は、感染リスクと社会化の両面から、かかりつけの獣医師と相談して決めましょう。

成犬以降は「毎年」「3年ごと」「抗体検査」の考え方がある

成犬になってからの追加接種の間隔には、いくつかの考え方があります。従来は毎年1回の接種が広く行われてきましたが、近年はコアワクチンについて「3年ごと以上の間隔でよい」とする考え方や、「抗体検査(血液で免疫の残り具合を調べる検査)を行い、十分な抗体があれば追加接種を見送る」という選択肢も広がっています。WSAVAのガイドラインでは、子犬期に確実に免疫をつけたうえで、コアワクチンは3年以上ごと、ノンコアワクチンは1年ごとを推奨する考え方が示されています。

注意

「3年ごとでよい」「抗体検査で省ける」というのは、あくまでコアワクチンについての一般的な考え方です。ノンコアワクチンは効果が続く期間が短く、毎年の接種が必要とされることが多いなど、ワクチンの種類や製品、その子の健康状態・生活環境・地域の流行によって最適な間隔は変わります。回数や間隔を自己判断で減らさず、必ずかかりつけの獣医師と相談して決めてください。
以前は毎年すべてのワクチンを打つものだと思っていました。かかりつけの先生に相談したところ、うちの子の生活環境や年齢を踏まえて、抗体検査という選択肢も含めて一緒に計画を立ててもらえました。数字を鵜呑みにせず、その子に合わせて決めることの大切さを実感しました。
多頭飼いの飼い主

コア・ノンコアの分類、子犬の接種スケジュール(生後6〜8週から2〜4週間隔で16週齢以降まで、以降のブースター)、成犬期のコアワクチンを3年以上ごと・ノンコアを1年ごととする考え方や抗体検査という選択肢は、WSAVAのワクチネーションガイドラインに言及する獣医師監修の解説(ペットドック・オダガワ動物病院ほか)に基づく一般的な目安です。最適な回数・間隔は個々の状況で異なるため、獣医師の判断を優先してください。

接種前後に気をつけたいこと

ワクチンは感染症から守ってくれる一方で、体に免疫反応を起こすものである以上、まれに副反応が出ることがあります。安心して接種するために、前後の注意点を押さえておきましょう。

アレルギー反応・アナフィラキシー

接種後に起こりうる代表的な副反応が、アレルギー反応です。顔まわり(特にマズルや目の周り)が腫れる、じんましんが出る、嘔吐や下痢、元気がなくなる、といった症状が見られることがあります。ごくまれに、接種後短時間でぐったりする、呼吸が苦しそうになるといった重いアレルギー反応(アナフィラキシー)が起こることもあります。

注意

アナフィラキシーは接種後まもなく(多くは数十分以内)に急激に進むことがあり、緊急の処置が必要です。接種は動物病院が開いている時間帯、できれば午前中や平日など、様子がおかしいときにすぐ再受診できるタイミングで受けるのがおすすめです。接種後しばらくは動物病院の近くで過ごし、当日は犬から目を離さないようにしましょう。ぐったりする・顔が大きく腫れる・繰り返し吐くなどの異変があれば、すぐに動物病院に連絡してください。

当日と前後の過ごし方

ワクチン接種の前後チェック

  • 接種当日は体調が良いことを確認する(発熱・下痢・食欲不振などがあれば見送りを相談)
  • 接種後30分〜数時間は、急な反応が出ないか特に注意して観察する
  • 当日は安静に過ごし、激しい運動・長時間の外出は控える
  • 接種当日のシャンプーやトリミングは避ける
  • 狂犬病ワクチンと混合ワクチンは同日に打たず、間隔をあける(時期は動物病院の指示に従う)
  • 過去に副反応が出たことがある場合は、必ず事前に獣医師へ伝える

体調が万全でないときの接種は避け、持病がある子や過去に副反応が出た子は、事前に必ず獣医師へ相談しましょう。狂犬病ワクチンと混合ワクチンを同時に接種すると、副反応が出たときにどちらが原因か分かりにくくなるため、一般には日をあけて接種します。あける期間は病院の方針によるため、指示に従ってください。

健康診断はどのくらいの頻度で受ける?

ワクチンとあわせて習慣にしたいのが、定期的な健康診断です。犬は人よりも早く年をとり、体調の不調を言葉で訴えられません。病気を早く見つけて対処するために、元気なうちから定期的にチェックすることが大切です。

一般的な目安として、成犬期(おおむね1〜7歳)は年1回、シニア期(7歳以降)は年2回(半年に1回)の健康診断がすすめられています。シニア期は病気のリスクが高まり、体の変化も出やすくなるため、より短い間隔でチェックするのが望ましいとされています。狂犬病や混合ワクチンの時期にあわせて受けると、通院の負担も減らせます。

ライフステージ健康診断の頻度の目安
子犬(〜1歳)迎えたときの初回健診+ワクチン時などの体調確認
成犬(1〜7歳)年1回
シニア(7歳〜)年2回(半年に1回)

メモ

頻度はあくまで一般的な目安で、犬種・体格・持病の有無によって最適な間隔は変わります。もともと持病がある子や、シニアでも体調が変わりやすい子は、獣医師のすすめる間隔でこまめに診てもらいましょう。健診の内容(身体検査・血液検査・尿検査・画像検査など)も、年齢や気になる点に応じて相談して決めるとよいでしょう。

成犬は年1回、シニア(7歳以降)は年2回という健康診断の頻度の目安は、獣医師監修・保険会社の解説(アニコム損保「犬との暮らし大百科」ほか)に基づく一般的な目安です。最適な頻度・検査内容は個々の犬の状態で異なります。

よくある質問

室内飼いでも狂犬病ワクチンは必要ですか。
必要です。狂犬病ワクチンは狂犬病予防法による義務で、飼育環境による例外はありません。生後91日以上の犬は市区町村への登録と年1回の予防注射、鑑札・注射済票の装着が求められ、違反には20万円以下の罰金が科される可能性があります。体調などで接種が難しい事情がある場合は、動物病院に相談してください。
混合ワクチンは毎年打たないといけませんか。
混合ワクチンは任意接種で、間隔には毎年・3年ごと・抗体検査で判断するといった複数の考え方があります。近年はコアワクチンについて3年以上ごとでよいとする考え方や、抗体検査で追加接種の要否を判断する選択肢も広がっています。ただしノンコアは毎年必要とされることが多いなど、種類やその子の状況で変わります。回数を自己判断で減らさず、獣医師と相談して決めてください。
狂犬病ワクチンと混合ワクチンは同じ日に打てますか。
一般には日をあけて接種します。同日に打つと、副反応が出たときにどちらが原因か分かりにくくなるためです。あける期間は病院の方針によるため、かかりつけの獣医師の指示に従ってください。
接種のあと、気をつけることはありますか。
当日は安静に過ごし、激しい運動やシャンプー・トリミングは避けましょう。接種後しばらくはアレルギー反応(顔の腫れ・じんましん・嘔吐・下痢など)に注意し、ぐったりする・呼吸が苦しそうといった異変があればすぐ動物病院へ。急変に備え、午前中や平日など再受診しやすいタイミングでの接種がおすすめです。
健康診断はどのくらいの頻度で受ければいいですか。
一般的な目安は、成犬(1〜7歳)で年1回、シニア(7歳以降)で年2回(半年に1回)です。ただし犬種や持病の有無で最適な間隔は変わるため、かかりつけの獣医師のすすめる頻度で受けてください。ワクチンの時期にあわせると通院の負担も減らせます。

まとめ

犬のワクチンは、法律で義務づけられた狂犬病ワクチン(生後91日以上・年1回・登録と鑑札や注射済票の装着)と、任意で行う混合ワクチン(コア・ノンコアの考え方)の2本立てです。狂犬病の接種時期は「4〜6月」から通年へ移行する見直しが進んでいますが、年1回接種する義務は変わりません。混合ワクチンは子犬期に複数回接種し、成犬以降は毎年・3年ごと・抗体検査といった選択肢の中から、その子の年齢・健康・生活環境・地域に合わせて獣医師と決めていきます。

接種の前後は体調の確認とアレルギー反応への注意を忘れず、当日は安静に過ごしましょう。あわせて、成犬は年1回、シニアは年2回を目安に健康診断を習慣にすると、病気の早期発見につながります。数値や制度はここで挙げた目安に縛られすぎず、最新の情報とその子の状態をもとに、かかりつけの動物病院と一緒に無理のない計画を立てていきましょう。ノミ・マダニ・フィラリアなどの寄生虫予防とあわせて、年間の予防プランとして考えると管理しやすくなります。

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出典・参考

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