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人とペットの災害対策ガイドラインが8年ぶりに改訂へ|2026年8月時点で決まっていること、犬の飼い主が見直す備え

対象の目安: 全ライフステージ

アサヒ編集長 / お迎え・住環境担当
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人とペットの災害対策ガイドラインが8年ぶりに改訂へ|2026年8月時点で決まっていること、犬の飼い主が見直す備え

犬と暮らす家庭の防災は、この数年でずいぶん語られるようになりました。フードを何日分そろえるか、クレートに慣らしておくか、マイクロチップの登録は最新か。そうした「わが家の準備」の話は、たしかに大切です。

いっぽうで、避難所にたどり着いたあと何が起きるかは、わが家の努力だけでは決まりません。ペットを受け入れるのか、どこで飼養するのか、誰が判断するのか。その土台になっているのが、環境省が自治体向けに示している「人とペットの災害対策ガイドライン」です。そのガイドラインが、いま8年ぶりの改訂に向けて動いています。

この記事では、環境省の報道発表・検討会資料・改訂案の本文といった一次資料を突き合わせて、2026年8月時点で「決まっていること」と「まだ決まっていないこと」を分けて整理します。そのうえで、犬の飼い主が今日から見直せる備えに落とし込みます。基本の備蓄リストは別記事に譲り、ここでは改訂案が新たに踏み込んだ点を中心に見直します。

現在地の確認(2026年8月時点でどこまで進んでいるか)

制度の話は、「もう変わった」と「これから変わる」を取り違えると、いちばん混乱します。順を追って確認します。

現行版は平成30年3月発行のまま

環境省の資料ページに掲載されている「人とペットの災害対策ガイドライン」は、平成30年3月発行の版です。2026年8月12日時点で、このページに令和8年版は掲載されていません。改訂案の総説も、平成30年3月にガイドラインを改訂したこと、その際にペットの救護を第一義の目的とするのではなく、ペットと共に避難する飼い主の安全確保やペットに起因する社会のトラブルへの対応を主旨としてタイトルを「人とペットの災害対策ガイドライン」に変更したことを説明しています。

つまり、いま自治体が実務で参照しているのは、依然として平成30年3月版です。この記事で「改訂案では」と書いている内容は、確定した制度ではありません。

ここまでの経緯

時期できごと
平成25年6月東日本大震災を踏まえ「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」を策定
平成28年4月熊本地震が発生。避難所でのペット受入れや一時預かり、広域支援・受援のあり方に課題
平成30年3月熊本地震の検証を踏まえて改訂し、名称を「人とペットの災害対策ガイドライン」に変更(現行版)
令和6年1月能登半島地震が発生。避難所でのペット受入れに関する体制やルールが整わず混乱した事例が確認される
令和6年6月防災基本計画が修正され、ペットとの同行避難等に関する記載が拡充
令和7年10月29日改訂等に係る検討会 第1回
令和7年12月1日検討会 第2回
令和8年1月23日検討会 第3回
令和8年3月2日検討会 第4回(改訂版の台割案・原稿案・改訂のポイントを提示)
令和8年6月8日〜6月26日改訂案に係るパブリックコメント
2026年8月12日時点改訂版の公表は確認できず

経緯は環境省の報道発表「『人とペットの災害対策ガイドライン』の改訂案に係る意見の募集(パブリック・コメント)について」(令和8年6月8日)、添付資料1「意見募集要領」、改訂等に係る検討会のページ、および改訂案本文の総説1から作成しました。検討会の開催日は環境省の検討会ページの記載によります。

意見募集要領には「募集期間終了後、御意見の概要とそれについての考え方を取りまとめた上で公表する予定です」と書かれています。改訂版の公表は、この取りまとめのあとになるとみられます。

注意

この記事で紹介する改訂内容は、いずれも令和8年6月時点の改訂案にもとづくものです。パブリックコメントの結果を踏まえて表現や構成が変わる可能性があります。制度が既に変わったかのように受け取らず、確定情報は環境省の報道発表と資料ページで確認してください。

改訂案の総説には、検討会を設置したうえで「令和8年●月に『人とペットの災害対策ガイドライン』を改訂した」という一文があり、月の部分が伏せられたままになっています。公表時期が確定していないことが、資料そのものからも読み取れます。

なぜ改訂するのか(能登半島地震と防災基本計画)

改訂の理由は、環境省が第4回検討会に提出した参考資料1「改訂のポイント」に、明快にまとめられています。

改訂案の総説によれば、令和6年1月の能登半島地震では、発災直後に多くの避難者がペットと同行避難したものの、避難所でのペット受入れに関する体制やルールが整っておらず、混乱が生じた事例が確認されました。一部の避難所でペットの受入れが拒まれたり、避難所内でのペットの飼養をめぐって苦情が出されたりしたこと、そして防災部局と動物愛護管理部局との連携、実務担当者への情報の浸透、支援物資の保管や運搬手段についても検討すべき課題が指摘されたことが記されています。

同じ年の6月には、災害対策基本法にもとづく防災基本計画が修正され、能登半島地震の対応を踏まえてペットとの同行避難等に関する記載が拡充されました。内閣府の防災基本計画のページでも、令和6年6月の一部修正が「令和6年能登半島地震等災害対応の教訓、施策の進展等を踏まえた修正(各編)」と説明されています。

現行の防災基本計画に書かれていること

防災基本計画は毎年のように見直されており、内閣府のページによると最新は令和8年7月14日中央防災会議決定の版です。家庭動物に関する主な記述は次のとおりです。

場面防災基本計画の記述(要旨)
平常時の普及啓発住民への普及啓発事項として、飼い主による家庭動物との同行避難や指定避難所等での飼養についての準備を挙げている
防災知識の普及・訓練要配慮者や男女双方の視点への配慮に加えて、家庭動物の飼養の有無による被災時のニーズの違いに配慮するよう努める
避難の受入れ市町村は、指定緊急避難場所や避難所に家庭動物と同行避難した被災者について、適切に受け入れるとともに、避難所等における家庭動物の受入状況を含む避難状況等の把握に努める
避難所の運営市町村は、必要に応じ、被災者支援等の観点から指定避難所における家庭動物のための避難スペースの確保等に努めるとともに、獣医師会や動物取扱業者等から必要な支援が受けられるよう、連携に努める
応急仮設住宅市町村(都道府県)は、必要に応じて、応急仮設住宅における家庭動物の受入れに配慮する

内閣府「防災基本計画」(令和8年7月14日中央防災会議決定)の本文から、家庭動物に関する記述を抜き出して要約しました。いずれも市町村等の努力義務・配慮義務として書かれた規定であり、受入れを保証するものではありません。

ここは読み方に注意が必要です。「適切に受け入れる」と書かれてはいますが、努力義務としての規定です。実際にどの避難所がどこまで受け入れるかは、市区町村と各避難所の準備状況に委ねられています。だからこそ、飼い主の側で事前確認が必要になります。

改訂のポイントは5つ

環境省の参考資料1は、改訂のポイントを次の5点に整理しています。原文の表現に沿って並べます。

#改訂のポイント
1都道府県と基礎自治体、自治体内の動物担当部局と防災部局間の連携などに関する項目を追加・整理
2発災後に必要な対応を時系列毎に整理(ガイドライン中の関連記述へのアクセスのしやすさも工夫)
3避難所等におけるペットの飼養環境の整え方について具体例を交えて解説
4飼い主に向けた情報の拡充(多様な避難形態があること、飼い主による自助が前提であること等)
5同行避難、同伴避難など頻出する用語の定義を再整理

環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」の改訂等に係る検討会 第4回 参考資料1「改訂のポイント」の記載をそのまま引用しました。同資料は、本ガイドラインの位置付けについて、自治体が地域の状況に応じた対策を検討する際の指針であり、動物担当部局だけでなく防災担当部局や避難所運営管理者等との連携を意識したものであると説明しています。

飼い主に関係が深いのは3・4・5

1と2は、行政の内側の話です。都道府県と市区町村、動物担当部局と防災部局のあいだで情報や役割が途切れていた、という能登半島地震の反省が背景にあります。第4回検討会の台割案を見ると、「自治体が連携して行う災害対応(平常時から復興期まで)」という扉が新設され、防災部局と動物関係部局、動物関係部局と福祉部局、動物関係部局と住宅関係部局、都道府県と市区町村、自治体と民間企業・団体という5つの連携の切り口が並んでいます。

飼い主の暮らしに直結するのは、3から5です。3は避難所での飼養スペースの作り方が写真や事例つきで大幅に増えること、4は飼い主向けの章が独立して充実すること、5は用語の整理です。とくに5は、飼い主が自治体の説明を読み解くうえで効いてきます。

メモ

台割案では、これまで冊子の後半にあった「一般飼い主への啓発」の章が、総説の「飼い主の役割」の直後、本編の冒頭に移動する案になっています。自治体職員向けの冊子でありながら、飼い主に何を伝えるかを前に出す構成です。飼い主自身が読んでも役立つ資料になりそうです。

用語の整理(同行避難・同伴避難・分散避難)

改訂案でいちばん実務的な変化が、用語の再整理です。ここを外すと、自治体の案内を読み違えます。

同行避難と同伴避難は別のことば

用語改訂案の定義(要旨)何を指すか
同行避難災害発生時に、飼い主が飼養しているペットを同行し、安全な場所まで避難する「避難行動」のこと行動
同伴避難災害時に、避難所等で飼い主がペットを飼養管理すること(状態)状態

環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」改訂案 総説2の用語の解説より要約しました。改訂案は、同伴避難について「避難所等で飼い主とペットが同室で過ごすことを意味するものではなく、ペットの飼養環境は避難施設ごとに異なることに留意が必要である」と明記しています。

この区別自体は現行版にもあります。現行版は、内閣府の避難所運営に関するガイドラインで「同伴避難」という用語が使われていることに触れ、同行避難が避難行動を、同伴避難が避難所でペットを飼養管理する状態を指すと説明しています。

改訂案が踏み込んだのは、その先です。同伴避難を、避難所等でのペットの飼養環境の違いに応じて4つに分けて表記する案が示されています。

  • 同伴避難(同室飼養): 避難所等で飼い主がペットと同室で飼養管理する場合
  • 同伴避難(別室飼養): 避難所等で飼い主がペットと別室で飼養管理する場合
  • 同伴避難(屋外飼養): 避難所等でペットを屋外で飼養管理する場合
  • 同伴避難(ペットのみ車中飼養): 避難所等でペットを車中で飼養管理する場合

ヒント

この4区分は、自治体に問い合わせるときの共通語になります。「うちの避難所はペット可ですか」と聞くだけでは、答える側も「屋外につないでもらう形なら可」なのか「別室に飼養スペースがある」のかを言い分けにくい。「同室ですか、別室ですか、屋外ですか」と尋ねると、必要な準備が具体的に見えてきます。

改訂案には「同室避難のメリットと課題」というコラムも置かれています。メリットとして、飼い主とペット双方の避難生活の不安が和らぎ無駄吠えなどが少なくなることが期待できる、飼い主の目が届くので体調を崩したペットや介助が必要なペットの世話を行いやすい、糞尿の処理を迅速に行えて衛生管理がしやすい、といった点が挙げられています。課題としては、飼い主が不在になる際の一時預かりやデイケアの必要性、感染リスク、そしてペット飼養者に広いスペースが与えられることで厚遇と捉えられ避難者内の不和やトラブルに発展しうること、避難所閉鎖後に清掃や消毒が必要になることなどが並びます。

理想の形を1つ決めるのではなく、避難所ごとに条件が違うことを前提に整理する。この姿勢が、今回の改訂案の通奏低音です。

「分散避難」が新しく定義される

現行版の本文には「分散避難」という語は登場しません。改訂案では用語として定義され、本文でもたびたび使われます。

改訂案は分散避難を「指定緊急避難場所等への避難以外も含め様々な避難行動をとること、またこのような避難行動のあり方」と定義し、「避難」とは文字通り「難」を「避」けることであって、指定緊急避難場所等に行くことだけが避難ではない、と説明しています。安全な親戚・知人宅やホテル・旅館等への立退き避難、自らの判断による屋内安全確保も避難行動に含まれます。

そして、見落としやすい但し書きがあります。分散避難は避難所以外も含めた様々な避難先への避難行動を指すもので、避難時のペットの同行の有無は関係しない、と明記されています。分散避難という言葉は、ペットを置いていくことの言い換えではありません。

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日本獣医師会が指定公共機関に指定された

改訂案の台割には、総説の獣医師会の役割の箇所に「コラム: 指定公共機関としての日本獣医師会」を新設する案が入っています。これは制度の側で実際に起きた変化です。

日本獣医師会雑誌に掲載された同会の紹介記事によると、公益社団法人日本獣医師会は令和8年2月17日付け内閣府告示第6号により、災害対策基本法第2条第5号の規定にもとづき内閣総理大臣が指定する指定公共機関に指定されました。同年3月11日、内閣府防災担当大臣室で同会会長に指定通知書が交付されています。内閣府の防災情報のページに掲載されている指定公共機関の一覧(令和8年3月13日改正)にも、「その他の公益的事業を営む法人」として日本獣医師会が記載されています。

指定公共機関とは、災害対策基本法第2条第5号にもとづき、公共的機関および公益的事業を営む法人のうち、防災行政上重要な役割を有するものとして内閣総理大臣が指定する機関です。

なぜ指定されたのか

同記事によると、令和8年1月21日付けで内閣府から日本獣医師会に対し、発災時に被災した飼養動物の保護収容、飼い主等からの飼養動物の一時預かり要望への対応、動物伝染病予防等衛生管理を含めた災害時における動物の管理等について、被災都道府県等の関係行政機関・関係団体と連携して中核的機能を担うこと、という趣旨の指定理由が示され、同会は同月26日付けで指定を受ける旨を回答したとされています。

背景には防災基本計画の記載があります。同記事は、市町村が指定避難所における家庭動物のための避難スペースの確保等に努め、獣医師会や動物取扱業者等から必要な支援が受けられるよう連携に努めること、また被災した飼養動物の保護収容や一時預かり要望への対応等について獣医師会等と連携し必要な措置を講ずること、という防災基本計画の記述を引用しています。

期待しすぎないための注釈

同記事は、注意点も自ら明記しています。指定公共機関として指定を受けることで、何らかの優遇措置を受けられたり、会員である獣医師個人が被災地を訪れる際に便宜が図られたりするものではない、という点です。国や地域の防災対応のなかで、動物の専門家である獣医師が組織する団体として、その知見を活かして指定理由に記載された役割を果たすため、国や地方公共団体との連携のもと必要に応じて活動することが求められている、と説明されています。

メモ

飼い主の立場で受け止めるなら、「災害時に獣医師会が動くための位置づけが、国の制度のなかにはっきり置かれた」ということです。個々の動物病院が必ず開いている、という話ではありません。かかりつけの動物病院が被災時にどう動くか、持病がある子は災害時の投薬をどうするかは、平常時に相談しておく必要があります。

分散避難を前提に、犬の備えを見直す

ここからは、改訂案の中身を飼い主の準備に翻訳します。改訂のポイント4に挙げられた「多様な避難形態があること」が、いちばん実生活に効く部分です。

改訂案の飼い主向けの章は、避難生活中のペットの飼養環境の選択肢を並べ、地域や災害の状況、発災からの時間の経過によって選べる環境が異なるため、被災者が自らの状況を踏まえて適切な環境を選択する、としています。犬と暮らす目線で整理すると次のようになります。

避難先犬にとっての利点注意すること
避難所支援物資と情報が集まる。飼い主同士で助け合える飼養環境は避難所ごとのルールに従う。同室とは限らない
自宅(在宅避難)環境が変わらずストレスが少ない建物の安全確認が前提。物資と情報を取りに指定避難所へ行く必要がある
車・テント避難所よりスペースを取りやすく、周囲に気を遣わずに済む熱中症と換気。人はエコノミークラス症候群にも注意
親戚・知人宅落ち着いた環境で過ごせる平常時からの取り決めが要る。支援情報が届きにくい
ペット可のホテル等飼養環境や物資がある程度整っている多くは有料。発災直後は施設自体が被災し予約困難なことも
一時預かり飼い主が世話をできない期間をしのげる条件・期間・費用を確認し、覚書などを取り交わす

環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」改訂案の飼い主向けの章(自分に合った避難行動を把握、在宅避難、避難中のペットの飼養環境)の記述をもとに、犬の飼い主向けに整理しました。改訂案は在宅避難について、飼い主も自宅に留まる場合と、飼い主は避難所で生活しペットは自宅で飼養して通って世話をする場合の両方に触れています。

在宅避難は「安全確認が済んでから」

改訂案は在宅避難を、地震などの発災後に自宅の安全性が確認され、自宅で継続して居住できると判断した場合に、避難所などではなく自宅で避難生活を送ることと定義しています。食事や入浴などの支援を避難所等で受けていても、生活の基盤が自宅にあれば在宅避難にあたる、という整理です。

改訂案は、猫のように係留飼養や小さなキャリーケース内での長期飼養が難しく、飼養環境が変わることでストレスを感じやすいペットを飼育している場合、在宅避難はペットへの負荷が少なくて済むメリットがある、としています。原文が主語に立てているのは猫ですが、環境の変化に弱い犬にも同じ考え方が当てはまると編集部では考えています。いっぽうで、在宅避難では支援物資や情報を入手する機会が避難所の生活者より少なくなるため、必要に応じて指定避難所などに行くことも必要になる、とも明記されています。

飼い主は避難所に行き、犬は自宅に置いて通って世話をする、という方法にも触れられていますが、家屋倒壊等の二次災害の危険がある場合はこの方法を避けて同行避難する、と条件がついています。

注意

在宅避難は「家にいれば安全」という意味ではありません。ハザードマップで浸水想定区域や土砂災害警戒区域に入っていないか、建物に損傷がないかを確認したうえでの選択肢です。危険が残る場所での自宅待機は、避難の先送りになります。

車中泊を選ぶなら、夏は特に慎重に

改訂案は車中飼養について、避難所内ではケージ等での飼養が基本になるところ、車内であればより広い飼養スペースが使え、他の避難者にあまり気を遣わずに済むというメリットを挙げています。そのうえで、夏場など気温の高い時期には車内での飼養は厳しいこと、ペットだけを車中に残すときは短期間とし車内の温度に常に注意して十分な飲み水を用意すること、長時間車を離れる場合は車内に残さず安全な飼養場所に移動させることを求めています。人の側には、手足を伸ばして眠れる状態を作り遮光や換気の対策をとるなど、エコノミークラス症候群や熱中症への対策が必要だとしています。

夏季の対策の章にも、車内飼養は厳しい旨が繰り返し書かれています。犬を車に残す判断は、季節と時間帯で結論が変わるということです。

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避難先は「3つ書き出す」

改訂案の飼い主向けの章には、一時預け先の確保という項目があり、指定避難所などでの飼養以外にも、親戚や友人など複数の一時預け先を探しておくことが望ましいとされています。多頭飼育のコラムでは、飼い主自身が同行避難できる頭数には限りがあることにも触れられています。

そこで、次の手順で家族と話し合っておくことをおすすめします。

  1. 1

    ハザードマップで自宅の条件を確認する

    浸水想定・土砂災害警戒区域・想定震度を確認します。ここで在宅避難が現実的かどうかがおおむね決まります。
  2. 2

    第1候補の避難所の受入れ形態を調べる

    市区町村の防災担当と動物担当の両方に確認します。ペット受入れの可否だけでなく、同室・別室・屋外・車中のどれになるのかを聞きます。
  3. 3

    第2候補として自宅または車を検討する

    在宅避難なら数日分の物資と情報収集の手段、車中泊なら季節ごとの温度対策を具体的に決めます。
  4. 4

    第3候補として預け先を確保する

    被災していない地域の親戚・知人、ペット可の宿泊施設、かかりつけの動物病院やペットホテルなど、地理的に離れた候補を持っておきます。条件・期間・費用は平常時に確認しておきます。
  5. 5

    犬を連れて実際に歩いてみる

    避難所までのルートを、リードと荷物を持った状態で歩きます。所要時間、段差、犬が怖がる場所が見えてきます。
  6. 6

    家族で役割を決めて紙に書く

    誰が犬を連れるか、誰が荷物を持つか、留守中に発災したらどうするかを決め、連絡方法と集合場所とあわせて書き出しておきます。
避難所に行くつもりでいたのですが、問い合わせてみたら、近所の指定避難所はペットは屋外という案内でした。うちは寒がりの小型犬なので、そこで初めて「在宅避難できる家かどうか」を真剣に考えました。避難先が1つしかない前提で準備していたのが、いちばんの盲点でした。
防災を見直した小型犬の飼い主

自治体に事前確認しておくこと

改訂案は、飼い主の平常時の備えとして、避難所でのペット受入れ状況の確認を実施項目に挙げています。ここでいう「確認」は、思っているより具体的に踏み込む必要があります。

参考になるのが、内閣府(防災担当)の「避難所運営等避難生活支援のためのガイドライン(チェックリスト)」(平成28年4月、令和6年12月改定)です。同ガイドラインの「18. ペットへの対応」は、避難所ごとの避難スペースや施設ごとの事情等を踏まえ、事前にペット同伴避難のルールを決めておくことが重要だとしたうえで、そのルールの区分を「同居可、同居はできないが飼育スペースあり、動物を連れての避難は不可等の別」と例示しています。

つまり、避難所の運営側は、この3区分のどれかを決めておくことが想定されています。飼い主が問い合わせるべきは、まさにこの点です。なお、先に紹介した同室・別室・屋外・車中の4区分は環境省の改訂案が示すもので、こちらは内閣府のガイドラインの区分です。出典が別で粒度も違いますが、避難所側が手元に持っている区分はこの3つであることが多いので、両方の言い方を用意しておくと話が早くなります。

市区町村・避難所に確認しておきたいこと

  • 最寄りの指定避難所はペットを受け入れるか。受け入れないなら、受け入れる避難所はどこか
  • 受け入れる場合の形態は、同室か、別室の飼養スペースか、屋外か、車中か
  • ケージやクレートは持参が前提か、避難所側に備蓄があるか
  • 受入れにあたって事前登録や同行避難動物登録票のような手続きがあるか
  • 犬のワクチン接種歴や鑑札の提示を求められるか
  • ペット用の物資支援はどこで受け取れるか。在宅避難の場合の受け取り方法は
  • 動物担当の相談窓口(保健所・動物愛護センター等)の連絡先
  • ペットの一時預かりの仕組みがあるか。どこに申し込むか
  • 応急仮設住宅や災害公営住宅でのペット飼養の扱い
  • 地域防災計画にペット対策がどう書かれているか(自治体サイトで公開されていることが多い)

ヒント

問い合わせ先は1か所とは限りません。ペットの受入れ形態は避難所を所管する防災担当部局、飼養に関する指導や物資は動物愛護管理を所管する部局(都道府県・指定都市・中核市)が担うのが基本です。改訂案が部局間連携を柱に据えているのは、この分かれ目で情報が途切れやすいからです。片方で「わからない」と言われたら、もう片方にも聞いてみてください。

なお、身体障害者補助犬(盲導犬・介助犬・聴導犬)は、このガイドラインが対象とするペットとは扱いが異なります。改訂案のコラムは、身体障害者補助犬法にもとづき、災害時に身体障害者が避難所などへ補助犬を同伴して避難した場合には拒んではならないことが法律で定められており、原則として身体障害者と補助犬を分離せず受け入れるべきだと説明しています。

クレートに慣らすことが、いちばん効く準備

改訂案の飼い主向けの章は、しつけと健康管理の必要性を繰り返し述べています。避難所でのペットの飼養においては、人や他の動物を怖がったりむやみに吠えたりしないこと、ケージやキャリーバッグに慣れていること、決められた場所で排泄ができることなどが必要になる、という記述です。社会化やしつけは他人への迷惑となる行動を防ぐだけでなく、ペット自身のストレスも軽減することにつながる、とも書かれています。

ここは精神論ではありません。改訂案の避難所の飼養スペースに関する記述には、こんな現状認識があります。犬は体の大きさに関わらず大半の場合リードにつながれて同行避難してくるが、大型犬の場合にはケージ類を持参して避難してくる飼い主は少ない、というものです。そしてケージがない場合には段ボール等を用いて即席のハウスを作って対応する、という運用が紹介されています。

段ボールのハウスで落ち着いて過ごせるかどうかは、平常時に「囲まれた狭い場所は安心できる場所だ」と学習しているかどうかで大きく変わります。クレートトレーニングは、避難所での犬の居心地そのものを左右します。

災害を想定したクレート慣らしの到達点

  • 扉を開けた状態で、自分から入って伏せられる
  • 中でごはんやおやつを食べられる
  • 扉を閉めて数十分、静かに過ごせる
  • 持ち上げて移動させても、パニックにならない
  • 家族以外の人が周りを通っても、吠え続けない
  • 屋外や見知らぬ場所でも、クレートの中で休める

メモ

いきなり長時間を目指さないでください。扉を閉める前に、まず「入ると良いことがある」を積み重ねます。怖がる子に無理やり入れて閉じ込めると、クレートが嫌な場所として記憶され、逆効果になります。うまくいかないときは、かかりつけの動物病院やドッグトレーナーに相談してみてください。

改訂案は、避難訓練についても現実的な提案をしています。飼い主向けの解説では、実際に家族単位でペットを連れて指定緊急避難場所へ行く訓練を行い、非常持ち出し品の準備、避難場所までの所要時間、危険な場所、複数の避難ルートなどをチェックしておくことで、より安全に避難できるとしています。犬の場合は、散歩を兼ねて家族単位で実施し、避難所の場所や待ち合わせ場所を確認しておくのが現実的です。

同じコラムには、ペット同行避難訓練は必ずしも生体を伴って実施する必要はない、という一文も置かれています。ぬいぐるみを利用した例のほか、室内飼養で外出の習慣がない猫などについては、過重なストレスをかけて避難所に連れていくよりも、キャリーケースに体重と同じ重さの水入りペットボトルを入れて自宅から避難所まで歩いてみる方法が紹介されています。避難ルートや重さへの対策、避難用品の運び方を確かめるための代替手段という位置づけで、外に出ることに慣れている犬にそのまま当てはめる趣旨のものではありません。

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備蓄・健康管理・迷子対策は「更新」が肝心

備蓄の目安そのものは、現行版から変わっていません。改訂案も現行版も、指定避難所などにペット用の支援物資が届くまでには時間がかかることがあるため、少なくとも5日分、できれば7日分以上を持ち出し用品として用意しておくとよい、としています。療法食などの特別食を必要とするペットの場合は、さらに長期間分の用意が必要だとも書かれています。

見落とされがちなのは、その次の一文です。支援物資は普段使用しているペットフードと同じ物が手に入るとは限らないため、ペットが好き嫌いなく支援物資を利用できるように日頃から備えておくことも飼い主に求められる、という記述です。1銘柄だけに固定せず、体調を崩さない範囲で複数のフードを食べられるようにしておく、という発想です。

備蓄品はローリングストック方式で備蓄し、優先順位をつけて、優先度の高いものは避難時にすぐ持ち出せるように人の避難用品とともに保管する、という方針も示されています。重い物や大きな物は避難の妨げになるため、いったん避難したあとで安全を確認してから持ち出せるよう、屋外倉庫や駐車場など保管場所を工夫するという記述もあります。

「情報」が優先順位の2番目に置かれている

改訂案の優先順位の付け方は、示唆に富みます。優先順位1が動物の健康や命に関わるもの(療法食・薬、フードと水、キャリーケースやケージ、予備の首輪とリード、ペットシーツ、排泄物の処理用具、食器)、優先順位2が情報、優先順位3がペット用品、という並びです。

優先順位2の情報には、飼い主の連絡先とペットに関する飼い主以外の緊急連絡先・預け先などの情報、ペットの写真(印刷物とともにスマートフォンなどに画像を保存することも有効)、ワクチン接種状況、既往症、投薬中の薬情報、検査結果、健康状態、かかりつけの動物病院などの情報が挙げられています。

タオルやブラシ、おもちゃより先に、記録です。避難所で健康管理の相談をするときも、預け先に犬を託すときも、この情報がないと話が始まりません。

犬の記録として持ち出せるようにしておくもの

  • ワクチン接種証明書・狂犬病予防注射済票の控え
  • ノミ・ダニ・フィラリア予防の直近の実施時期
  • 持病名、処方されている薬の名前と量、直近の検査結果
  • かかりつけの動物病院の名称・電話番号・住所
  • マイクロチップの15桁の識別番号と登録証明書
  • 飼い主と犬が一緒に写った写真(紙とスマートフォンの両方)
  • 体重・年齢・性別・不妊去勢の有無
  • 苦手なもの、咬みつきや怖がりの傾向など、他人に預けるときに必要な情報

マイクロチップは「登録証明書を持ち出す」段階へ

改訂案のマイクロチップのコラムには、現行版にはない実務的な一文が加わっています。避難が長期化して住所等の変更が生じる可能性を考慮し、避難の際にはマイクロチップの登録証明書を持っていくか、スマートフォン等に保存しておくこと、という記述です。

登録情報の変更手続きには登録証明書に記載された暗証記号が必要になるため、避難先で住所が変わったときに手元にないと手続きが止まりがちです(暗証記号がわからない場合は、指定登録機関のよくある質問によると、マイクロチップの識別番号と登録済みのメールアドレスで暗証記号の再送付を無料で受けられます)。マイクロチップを装着している犬は、登録証明書をスマートフォンで撮影して保存しておくだけでも、いざというときの動きが変わります。

改訂案は所有者明示について、外から見えて誰でもすぐにわかる迷子札などをつけるとともに、脱落のおそれがなく確実な証明となるマイクロチップを装着し、環境省のデータベースに飼い主等の情報の登録および更新を行っておくことで返還の可能性を高められる、としています。犬の場合は狂犬病予防法にもとづく鑑札と狂犬病予防注射済票の装着義務があること、自治体によっては特例制度によりマイクロチップが鑑札とみなされ鑑札の交付を受ける必要がない場合もあることにも触れています。

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避難所でのマナーとアレルギー配慮

改訂案は、避難所や応急仮設住宅では様々な人が集まって共同生活をするため、動物との暮らしが苦手な方、病気や障害等でペットと共に居られない方、動物アレルギーの方もいることを認識しなければならない、と述べています。これまでの災害では、ペットがいることがつらい避難生活のなかでの心の安らぎや支えになったという声がある一方で、咬傷事故や鳴き声への苦情、被毛や糞尿処理など衛生面でトラブルになることもあった、という両面が記されています。

動物アレルギーについては、改訂案に独立したコラムが置かれる案になっています。アレルゲンとしては食べ物や花粉、ハウスダストがよく知られているが、動物の毛やフケ、糞、尿などが原因となる場合もあり、犬や猫、ウサギ、ハムスター、インコなどがアレルゲンの原因として知られている、という説明です。症状は鼻水やくしゃみ、目や皮膚のかゆみなどで、重症の場合には呼吸困難を引き起こすこともあるとされています。

そのうえでコラムは、動物アレルギーへの配慮ではアレルギーを持つ方とペットが近づきすぎないことが基本であるとし、同行避難したペットを敷地内や建物内に入れさせないといった極端な対応をしなくても、十分な距離が取れていれば問題ない場合がほとんどだと述べています。学校の校舎や体育館のように壁や扉で室内空間を区切れる環境であれば、居住スペースを分けることで受入れは十分に可能だ、という整理です。

飼い主の側の実践としては、改訂案は次の点を求めています。避難所や応急仮設住宅ではペットの飼養管理は飼い主が責任を持って行うこと、衛生的に飼養管理するとともに飼い主同士などで周りの人に配慮したルールを作ること。そして、アレルギーを持つ方やペットを飼っていない方の居室へのペットの入室は禁止し、ペットは別室で管理するなどのルールの徹底が求められる、としています。

注意

「うちの子はおとなしいから」「アレルギーの人がいないか聞いてみるから」という個別判断は避けてください。動物アレルギーには重篤な方もいます。居室にペットを連れて入らない、決められた飼養スペース以外に犬を出さない、というルールは、犬連れの避難者が受け入れられ続けるための最低線です。

避難所での飼養スペースは、犬の場合、空いている教室や特別教室、自転車置き場、渡り廊下など、屋根や壁があり係留できる柱などがある場所を利用して設定される例が改訂案に紹介されています。過去の災害では、教室や空いている部屋の床面にブルーシートを敷いてペットの飼養スペースとし、原状復帰をしやすくした対応も行われてきました。避難所を出たあとに清掃や消毒が必要になるという課題も、改訂案は明記しています。使わせてもらう側として、掃除まで含めて考えておきたいところです。

改訂版が出たあと、何を見ればよいか

最後に、これからの追い方を整理します。

環境省の意見募集要領は、募集期間終了後に意見の概要とそれについての考え方を取りまとめたうえで公表する予定だとしています。改訂版の公表は、その後になる見込みです。公表されたら、環境省の報道発表資料と、資料ページ「人とペットの災害対策ガイドライン」の掲載内容が入れ替わることになります。

ただし、国のガイドラインが変わっても、お住まいの自治体の運用がその日から変わるわけではありません。自治体は、国の防災基本計画や環境省の防災業務計画、動物愛護管理基本指針、そしてこのガイドライン等を参考にして地域防災計画を修正していきます。動物愛護管理法にもとづく都道府県の動物愛護管理推進計画にも、災害時対策を定めることになっています。地域への反映には時間がかかると考えておくのが現実的です。

改訂を追いかけるためのブックマーク

  • 環境省 ペットの災害対策(動物の愛護と適切な管理)
  • 環境省 「人とペットの災害対策ガイドライン」の改訂等に係る検討会
  • 環境省 報道発表資料(動物愛護管理室からの発表がここに出る)
  • 内閣府 防災情報のページ 防災基本計画
  • お住まいの都道府県・市区町村の地域防災計画と動物愛護管理推進計画のページ

ヒント

制度が動いている時期は、SNSなどで断片的な情報が「決定事項」として広がりやすくなります。「ペットとの同室避難が義務化された」といった話を見かけたら、まず環境省の報道発表と資料ページにあたってください。改訂案の段階と、公表された改訂版とでは、意味がまったく違います。

よくある質問

「人とペットの災害対策ガイドライン」の改訂版は、もう公表されていますか。
2026年8月12日時点では公表が確認できません。環境省の資料ページに掲載されているのは平成30年3月発行の現行版です。改訂案は令和8年6月8日から6月26日までパブリックコメントにかけられ、環境省は意見の概要と考え方を取りまとめたうえで公表する予定だとしています。改訂案の総説にも公表月が伏せられたままの箇所があり、時期は確定していないと読み取れます。
改訂で「同行避難」の意味は変わりますか。
意味そのものは変わりません。改訂案でも同行避難は、飼い主がペットを同行して安全な場所まで避難する避難行動を指す言葉と定義されています。変わるのは同伴避難の書き分けです。改訂案は避難所等での飼養環境の違いに応じて、同伴避難を同室飼養・別室飼養・屋外飼養・ペットのみ車中飼養の4つに分けて表記する案を示しています。
「同行避難できる避難所」と案内されていれば、犬と同じ部屋で過ごせますか。
そうとは限りません。同行避難は避難行動を指す言葉なので、避難所内での過ごし方までは示していません。避難所での飼養状態は同伴避難と呼ばれ、同室・別室・屋外・車中のいずれになるかは避難所ごとに異なります。内閣府の避難所運営に関するガイドラインも、ルールの区分として同居可、同居はできないが飼育スペースあり、動物を連れての避難は不可等の別を例示しています。事前に形態まで確認してください。
改訂の背景になった能登半島地震では、何が課題になったのですか。
環境省の改訂案の総説によると、発災直後に多くの避難者がペットと同行避難したものの、避難所でのペット受入れに関する体制やルールが整っておらず混乱が生じた事例が確認されました。一部の避難所で受入れが拒まれたり、避難所内での飼養をめぐって苦情が出されたりしたこと、防災部局と動物愛護管理部局の連携、実務担当者への情報の浸透、支援物資の保管や運搬手段にも課題が指摘されたと記されています。
「分散避難」とは、犬を置いて避難することですか。
違います。改訂案は分散避難を、指定緊急避難場所等への避難以外も含めた様々な避難行動をとることと定義したうえで、分散避難は避難時のペットの同行の有無とは関係しないと明記しています。親戚・知人宅やペット可の宿泊施設への立退き避難、安全が確認できた自宅での在宅避難も避難行動に含まれる、という趣旨です。
日本獣医師会が指定公共機関になると、災害時に何か変わりますか。
日本獣医師会は令和8年2月17日付け内閣府告示第6号により、災害対策基本法第2条第5号にもとづく指定公共機関に指定されました。同会は、指定によって優遇措置を受けられたり会員である獣医師個人が被災地を訪れる際に便宜が図られたりするものではないと自ら説明しており、国や地方公共団体との連携のもとで役割を果たすことが求められる位置づけです。飼い主としては、かかりつけの動物病院が被災時にどう動くかを平常時に確認しておくことが引き続き大切です。
備蓄の日数の目安は、改訂で変わりましたか。
変わっていません。現行版も改訂案も、指定避難所などにペット用の支援物資が届くまでには時間がかかることがあるため、少なくとも5日分、できれば7日分以上を用意しておくとよいとしています。療法食などの特別食が必要な場合は、さらに長期間分の用意が必要とされています。支援物資が普段のフードと同じとは限らない点にも触れられています。
改訂版が出たら、自治体の対応もすぐ変わりますか。
すぐには変わらないと考えておくのが現実的です。自治体は国の防災基本計画や環境省の防災業務計画、動物愛護管理基本指針、このガイドライン等を参考に地域防災計画を修正していきます。都道府県の動物愛護管理推進計画にも災害時対策を定めることになっています。改訂版の公表後も、お住まいの自治体の運用は個別に確認してください。

まとめ

制度の話を、最後に暮らしの言葉に戻します。

いま起きているのは、国が自治体に示す「人とペットの災害対策」の設計図が、能登半島地震の反省を踏まえて描き直されている、ということです。2026年8月12日時点では改訂案の段階で、パブリックコメントを経て公表を待っています。現行版は平成30年3月発行のままです。

改訂案の方向は、はっきりしています。避難所の理想形を1つ決めるのではなく、同行避難と同伴避難を分け、同伴避難を同室・別室・屋外・車中に書き分け、分散避難という言葉を定義し、行政の側の部局間連携を組み直す。要するに「避難の形は1つではない」という前提を、制度の言葉として整えようとしています。

飼い主の側でこれに対応するなら、やることは3つです。1つ目は、最寄りの避難所の受入れ形態を、同室か別室か屋外かというレベルまで確認すること。2つ目は、避難先の候補を避難所だけにせず、自宅・車・預け先まで含めて3つ持つこと。3つ目は、どの避難先を選んでも効いてくる準備、つまりクレートに慣らすことと、記録を持ち出せる形にしておくことです。

ガイドラインが改訂されても、災害の日にあなたの犬のそばにいるのは、あなたです。制度は、その自助を支えるためにあります。改訂版が公表されたら、まずはお住まいの自治体の窓口に一本電話を入れてみてください。それが、いちばん確実な備えの更新になります。

出典・参考

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