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ドッグフードの値上げが続く2026年、質を落とさずに愛犬の食事を続けるには

対象の目安: 全ライフステージ

ツムギ・食事・健康担当
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ドッグフードの値上げが続く2026年、質を落とさずに愛犬の食事を続けるには

行きつけの店で、いつものドッグフードを手に取る。値札を二度見して、「また上がってる」と小さくため息をつく——。2026年に入ってからも、ペットフードの価格改定のお知らせは途切れずに届いています。愛犬のごはんは削りたくない、でも家計は有限。その板ばさみは、多くの飼い主が抱えている悩みだと思います。

この記事では、まず「本当に上がっているのか、どれくらい上がっているのか」を公的な統計とメーカーの告知という一次情報で確かめます。そのうえで、質を落とさずに続けるための具体的な方法を、優先順位をつけて整理します。結論を先に言えば、削ってよいところと、絶対に削ってはいけないところがはっきり分かれます。フード選びの基本そのものはドッグフードの選び方の基本の記事にまとめているので、ここでは「値上げ局面でどう判断するか」に絞ります。

2026年、ドッグフードの値上げは本当に続いているのか

「気のせいではないか」という疑いを、まず数字で晴らしておきます。

物価全体の動き: 2026年8月時点

総務省統計局の消費者物価指数(CPI)は、2026年8月分から指数の基準年が2025年に改定されました(2026年9月18日公表)。この2026年8月分では、総合指数が2025年を100として102.2、前年同月比1.9%の上昇となっています。生鮮食品を除く総合指数は102.0で同1.7%の上昇です。

つまり、ペットフードだけが特別に上がっているわけではなく、暮らし全体が上昇局面にあるなかでペットフードも動いている、というのが前提です。

ペットフードは公的統計でも追われている品目

意外と知られていませんが、ドッグフードは国の物価統計の調査対象です。総務省統計局の小売物価統計調査(動向編)の「調査品目及び基本銘柄」を見ると、2026年9月調査時点で「ペットフード」という品目が設定されており、犬向けの基本銘柄は「ドッグフード、総合栄養食、ドライタイプ、袋入り(1.4〜1.5kg入り)」と具体的に指定されています。猫向けにはウェットタイプのパウチ(60g入り)が指定され、このほか「ペット美容院代」「ペットトイレ用品」「ペット保険料」も調査品目に入っています。

同じ総務省統計局が2019年3月に公開した「小売ミニトピックス No.4 ペット関連品目の状況」では、消費者物価指数(当時は2015年基準)で見たドッグフードの上昇率が、2012年から2018年にかけて20.7%だったと報告されています。値上げは2020年代に突然始まったものではなく、その前から続いてきた長い流れの延長線上にある、ということです。

物価全体の数値は総務省統計局「2025年基準 消費者物価指数 全国 2026年(令和8年)8月分」(2026年9月18日公表)、調査品目の内容は同局「小売物価統計調査(動向編) 調査品目及び基本銘柄 2026年9月」、2012年から2018年の上昇率は同局「小売ミニトピックス No.4」(2019年3月29日掲載)によります。本記事が独自に集計したものではありません。

「金額は増え、量は減る」という形

もっとも実態がよく見えるのは、一般社団法人ペットフード協会が毎年まとめ、農林水産省のサイトにも掲載されている「ペットフード産業実態調査」です。2025年9月に公表された2024(令和6)年度分の結果は次のとおりでした。

指標2024(令和6)年度対前年度比
出荷総額(全体)4,594億2,300万円105.6%(9年連続の増加)
出荷量(全体)567,724トン99.0%(3年連続の減少)
犬用の出荷額1,863億3,900万円104.0%
犬用の出荷量229,841トン97.7%(9年連続の減少)

金額は増えているのに、量は減っている。これは単価が上がっていることの何よりの証拠です。協会自身も資料のなかで、会員各社が「継続した付加価値の高い商品開発及び値上げの影響により」前年以上の出荷総額になったと説明しています。

市場調査の側から見ても方向は同じです。富士経済が2024年6月7日に発表したプレスリリースでは、2023年の国内ペットフード市場が前年比11.9%増の4,754億円となり、市場規模の大きいドッグフードとキャットフードは「単価の上昇率が高く、ともに二桁伸長して市場をけん引した」と分析されています。同リリースは2026年の市場を5,122億円(2023年比7.7%増)と予測していました。

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2026年も個別の価格改定は続いている

統計は過去を映しますが、現在進行形の動きはメーカーの告知に表れます。2026年の例をいくつか挙げます。

  • いなば食品(いなばペットフード)は2026年7月10日、ペットフード製品の一部価格改定を発表しました。実施は2026年9月1日出荷分からで、同社の告知によれば対象は計624アイテムです。ただし内訳は「ちゅ〜る」シリーズ371アイテム、「クランキー」シリーズ44アイテム、「金のだし」シリーズ40アイテムなど猫用や間食が大半を占めており、犬用を含むペットフード全般の一部製品という位置づけです(食品新聞も同年7月15日付で報じています)。同社は理由として、主原料価格の高止まり、人件費・諸経費の上昇、地域紛争を背景とした包装資材等の高騰、為替変動による仕入れ価格の上昇を挙げています。
  • 国産ドッグフード「ZEN」を扱うUGペットは、2026年4月1日からの価格改定を告知しました。改定幅はシリーズによって約6%から18%程度で、最大は赤鶏シリーズの18.1%。理由として赤鶏肉・米・あずき・イモ類などの原料と包材、配送運賃の値上げ、ガス・電気価格・人件費の上昇を挙げ、企業努力で「補える範囲を超えて」いると説明しています。

金額や幅はブランドによってまちまちですが、挙げられている理由はほぼ共通しています。原材料、包装資材、エネルギー、物流、人件費、そして為替です。

メモ

価格改定の情報は、まとめサイトより各メーカーの公式なお知らせページを見るのが確実です。改定日・対象商品・改定率が明記されており、切り替えを検討するときの判断材料になります。愛用しているブランドの公式サイトを一度ブックマークしておくと、次の改定を前もって知ることができます。

値段の裏側にあるもの: 「値上げ=手抜き」ではない

ここで一度立ち止まっておきたいことがあります。値上げは家計にとって痛いものですが、「安くできるのにしていない」わけではない、という視点です。

ドッグフードの価格を構成しているのは、肉や穀類といった原材料だけではありません。日本で売られる犬猫用フードは、ペットフード安全法(愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律)の対象で、農林水産大臣と環境大臣が定めた成分規格・製造方法基準に合わないものは製造・輸入・販売ができません。名称、原材料名、賞味期限、製造業者等の名称・住所、原産国名の表示も義務づけられ、製造・輸入業者には届出と帳簿の備付けが求められます。有害物質が混入した場合には廃棄や回収の命令も行われます。

さらに「総合栄養食」と表示するには、ペットフード公正取引協議会の公正競争規約のもとで、分析試験または給与試験によって基準を満たすことを証明し、協議会に届け出る必要があります。こうした検査・記録・品質管理のコストは、そのまま価格に含まれています。

注意

極端に安いフードを見つけたときは、まず「総合栄養食か」「ライフステージの表示があるか」「原材料名と原産国名、賞味期限が読み取れるか」を確認してください。値段だけを理由に主食を替えると、栄養のバランスが崩れたり、体調をくずしたりすることがあります。

削ってはいけない2つの一線

家計を見直すときに、最初に決めておきたい線引きがあります。ここを越えてしまうと、節約したはずの金額が後から医療費として戻ってくることがあります。

(1) 主食は総合栄養食であること

ペットフード公正取引協議会の説明によれば、総合栄養食とは「毎日の主要な食事として給与することを目的とし、当該ペットフード及び水のみで指定された成長段階における健康を維持できるような栄養的にバランスのとれたもの」です。逆に言えば、それ以外の目的のフードは、単独で毎日の食事にすると栄養が足りません。

目的の表示位置づけ主食にできるか
総合栄養食これと水だけで、表示されたライフステージの健康を維持できるできる
間食(おやつ・スナック)コミュニケーションやごほうび。給与限度量の表示がある向かない
療法食特定の疾病や健康状態のペットの栄養学的サポート。獣医師の指導のもとで使う獣医師の指示による
その他の目的食(一般食・副食・栄養補完食など)嗜好増進や特定の栄養の補給。別途の栄養補給が必要向かない

値上げが続く局面では、「いつものフードは高いから、とりあえず安いウェットや一般食でつなごう」という発想になりがちです。ここだけは踏みとどまってください。栄養の土台が崩れると、あとから健康面でより大きなコストがかかることがあります。

セール品を見つけて数か月それだけにしていたら、毛のつやが落ちてきた気がして不安になりました。よく見たら総合栄養食ではなく副食タイプ。表示をちゃんと読んでいなかった自分が情けなかったです。
4歳の中型犬と暮らす飼い主

(2) 療法食は自己判断で替えない

腎臓や心臓、消化器、皮膚、尿石症などで療法食を続けている場合、そこは節約の対象にしないでください。

ペットフード公正取引協議会は、療法食について「獣医療において獣医師の指導のもとで食事管理に使用されることを意図したもの」であり、「その栄養特性は一般的な健康維持食(総合栄養食)とは異なるため、長期間の不適切な使用は健康を脅かすリスクもある」と明記しています。環境省の「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」も、療法食などは「かかりつけの獣医師の指導のもとで与えるべきです」としています。

負担が重いと感じたら、こっそり別の製品に替えるのではなく、かかりつけの動物病院に率直に相談するのが正解です。同系統で容量の大きいサイズがある、同じ設計思想の別メーカー品がある、ウェットからドライへ比率を変えられる、定期便や病院経由の取り寄せで単価が下がる、といった選択肢を提案してもらえることがあります。「お金が厳しい」と言いにくい気持ちはよくわかりますが、黙って中断するほうが結果的に高くつきます。

ヒント

相談するときは、現在の製品名・1日の給与量・1か月にかかっている金額をメモして持っていくと話が早く進みます。数字があると、獣医師も現実的な代替案を出しやすくなります。

比べるのは袋の値段ではなく「1日あたりの実コスト」

ここからが本題の節約術です。いちばん効果が大きく、しかも質をまったく落とさないのが、比較の物差しを変えることです。

袋の値段で比べると、内容量とカロリー密度の違いが見えません。ドライフードは製品によって100gあたり330kcal前後のものから400kcalを超えるものまであり、カロリーが高いフードは1日に与える量が少なくて済みます。つまり「1袋が高い=割高」とは限らないのです。

  1. 1

    そのフードの総カロリーを出す

    内容量(g)×100gあたりのkcal÷100。たとえば1.5kgで360kcal/100gなら、1500×360÷100=5,400kcalです。
  2. 2

    1kcalあたりの単価を出す

    税込価格÷総カロリー。3,300円÷5,400kcal=約0.61円/kcalです。
  3. 3

    愛犬の1日必要カロリーをかける

    体重5kgの成犬でおよそ441kcalなら、0.61×441=約269円が1日あたりの食費になります。
  4. 4

    候補どうしを同じ条件で並べる

    1日あたりの金額と、1袋が何日もつかを並べて書き出します。ここで初めて、本当の高い安いが見えます。

例として2つのフードを比べてみます(数値は計算方法を示すための架空の例です)。

項目フードAフードB
内容量と税込価格1.5kg / 3,300円3.0kg / 5,500円
カロリー密度360kcal/100g340kcal/100g
1袋の総カロリー5,400kcal10,200kcal
1kcalあたり約0.61円約0.54円
体重5kg・441kcal/日での1日あたり約269円約238円
1袋がもつ日数約12日約23日

袋の値段はBのほうが2,200円高いのに、1日あたりではBが約31円安く、1か月で約950円、1年では1万円以上の差になります。逆に、カロリー密度の低いフードや水分の多いウェットを主食にすると、袋が安くても1日あたりでは高くつくことがあります。

カロリー表示がないときは

ペットフードの成分表示として公正競争規約で定められているのは、たんぱく質・脂質・粗繊維・灰分・水分の保証分析値です。カロリー(代謝エネルギー)の表示は必須項目ではないため、パッケージに書かれていない製品もあります。その場合はメーカーの公式サイトやお客様相談窓口で確認できます。WSAVAの飼い主向け資料も、表示がないときは製造元に問い合わせるようすすめています。

ヒント

スマートフォンのメモアプリに「製品名・内容量・税込価格・kcal/100g・1kcal単価」の5項目を並べた表を作っておくと、店頭でもオンラインでも即座に比較できます。一度作れば、次の価格改定のときにそのまま使えます。

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給与量と適正体重の見直しは、家計にも健康にも効く

「実は多めに与えていた」というケースは珍しくありません。ここを正すと、フードの消費量が下がり、同時に肥満のリスクも下がります。一石二鳥の節約です。

1日に必要なカロリーの目安

環境省の「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」は、犬の1日のカロリー必要量を「体重(kg)の0.75乗に、ステージごとの係数(離乳期274、成長中期200、成犬期132)をかける」方法で示しています。同ガイドラインの参考値では、成犬で体重5kgなら441kcal、10kgなら742kcal、20kgなら1,248kcalです。

ただし、同ガイドラインは「同じ量のご飯を食べても太らない人や太ってしまう人がいるように、犬や猫も個体によって必要なカロリー量が違う場合があります」とし、目安だけに頼らず運動量や体調を観察して調節するよう促しています。避妊・去勢後、シニア期、運動量の少ない生活では必要量が下がることも多く、パッケージの給与量そのままだと過剰になることがあります。

体型で答え合わせをする

数字より確かなのは、実際の体つきです。環境省のガイドラインもボディ・コンディション・スコア(BCS)による評価を紹介しています。上から見て腰のくびれがあるか、横から見て腹部が吊り上がっているか、肋骨が薄い脂肪の下に触れるか。この3点を週に1回、同じタイミングで確認する習慣をつけると、体重計がなくても変化に気づけます。

なお、同ガイドラインは軽度から中度の肥満の場合に「与えるフードの量を通常の30〜40%減らして」1週間で体重が1〜3%減るくらいのペースで進めることを示しつつ、本格的なダイエットは獣医師の指導の下で行う必要があるとしています。40%以上減らすような急激な減量は体に悪影響を与える危険があると明記されているので、自己流で一気に減らさないでください。

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おやつの比率を見直す

意外と大きいのがここです。環境省のガイドラインは、間食について「1日あたりに必要なカロリーの20%以内に抑えることが大切です」としています。一方、WSAVA(世界小動物獣医師会)が2025年11月に公開した飼い主向け資料「Feeding treats to your dog」は、おやつは「常に1日の摂取カロリーの10%未満に」とし、おやつが食事の代わりになることは決してないと述べています。

数字に幅はありますが、方向は同じです。体重5kg・441kcal/日の犬なら、10%で44kcal、20%で88kcal。市販のジャーキー数本で簡単に届いてしまう量です。おやつを減らすと出費が減るだけでなく、主食の給与量も適正に戻せます。

ヒント

おやつを完全にやめる必要はありません。1回分を半分や1/3に割る、主食のドライフードを数粒取り分けてごほうびに使う、遊びやにおい探しの時間に置き換える。この3つだけでも、カロリーと出費は目に見えて下がります。

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まとめ買いと保存: 安さと鮮度のトレードオフ

大容量や複数袋のまとめ買いは、1kcalあたりの単価を下げる有効な手段です。ただし、開封してから使い切るまでの時間が延びるほど、酸化や湿気、カビのリスクは上がります。

環境省のガイドラインは、未開封のドライフードは直射日光が当たらない温度変化の少ない場所で保存し、賞味期限内に使い切ること、開封後は袋の封をしっかりして直射日光が当たらず温度や湿度が低い場所で保存することをすすめています。そして「冷蔵庫での保存は、フードを与えるときの出し入れの際に、フードの表面に結露を生じ、カビ等の発生原因となることがありますので、常温で保存しましょう」と、冷蔵保存を明確に否定しています。

ただし、この「冷蔵庫に入れない」はドライフードについての記述です。同じガイドラインは缶詰・レトルトフード・手作りフードについては別に項目を立て、開封後に余った場合は「別の容器に移しかえて冷蔵庫で保管して、出来るだけその日のうちに使い切る」こと、1日以上保管するなら冷凍して都度解凍する方法もよいことを示しています。ウェットを併用している家庭は、ドライとウェットで保存の作法が違う点に注意してください。

値上げ局面のまとめ買いチェック

  • 開封後どれくらいで使い切れるかを、1日の給与量から逆算した(目安として1か月以内で使い切れるサイズを選ぶ)
  • 保管場所は直射日光が当たらず、温度と湿度が低い常温の場所を確保できている
  • ドライフードは冷蔵庫に入れない。夏場は室温が上がりすぎない部屋を選ぶ(開封後に余った缶詰・レトルトは別の容器に移して冷蔵し、その日のうちに使い切る。1日以上なら冷凍)
  • 袋のまま密閉するか、袋ごと容器に入れる。中身だけ移し替えると賞味期限やロット番号がわからなくなる
  • 複数袋を買う場合、未開封分は封を切らずに保管し、1袋ずつ開ける
  • 賞味期限が近い特価品は、使い切れる量かどうかを確認してから買う
  • フードボウルに出したまま長時間放置しない

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季節も関係します。気温と湿度が高い時期は劣化が早まるため、夏場だけは小さい袋に戻す、という使い分けも現実的です。夏の保存の注意点は夏のドッグフードの保存と食中毒の記事にまとめています。

フードを替えるなら: 選び方と切り替え方

一線を守ったうえで、それでも別の製品を検討する場面はあります。そのときに見るべきところと、進め方を整理します。

PB・国産・輸入をどう考えるか

プライベートブランド(PB)や、これまで選んでこなかった価格帯を検討する場面もあると思います。判断の軸は「安いかどうか」ではなく、次の点で揃っているかどうかです。

  • 総合栄養食であり、愛犬のライフステージに合った表示があるか
  • 原材料名、原産国名、賞味期限、製造業者等の情報が読み取れるか(ペットフード安全法で表示が義務づけられている項目です)
  • カロリー(kcal/100g)がわかるか。書かれていなければメーカーに確認できるか
  • 問い合わせ窓口があり、質問に答えてもらえるか

これらが満たされていれば、PBだから劣る、輸入品だから優れている、といった単純な優劣はつけられません。なお、ペットフード協会の2024(令和6)年度産業実態調査では、出荷量ベースで国内生産品が318,781トン(構成比56.2%)、輸入品が248,942トン(同43.8%)で、輸入品は対前年度比101.6%と増加しています。輸入比率が小さくないぶん、為替の動きが価格に響きやすい構造だということも押さえておくとよいでしょう。

注意

切り替えを検討してよいのは、健康で食事制限のない犬の場合です。アレルギーや持病がある、療法食を食べている、シニアで体調の変動が大きい、といった場合は、必ず先にかかりつけの獣医師に相談してください。

切り替えは7〜10日かけて、記録を取りながら

新しいフードに替えると決めたら、急がないことが最大の節約になります。下痢や嘔吐で受診すれば、節約できた金額はあっという間に吹き飛びます。

環境省のガイドラインは「ある年齢になったからといって、急にその年齢用のフードに切替えるのはあまり良いことではありません」「状態を見ながら、1週間くらいかけて新しいフードの割合を徐々に増やしましょう」としています。同ガイドラインのQ&Aでは、慣れた食餌に少しずつ混ぜて1〜2週間かけて徐々に切り替えることをすすめる記載もあります。

  1. 1

    1〜2日目: 新しいフードを25%

    これまでのフード75%に対して新しいフード25%。量は普段と同じで、割合だけ変えます。
  2. 2

    3〜4日目: 50%

    半々にします。便がゆるくなったら、前の割合に戻して数日ようすを見ます。
  3. 3

    5〜7日目: 75%

    新しいフードを多めに。食いつきや便の状態、皮膚のかゆみなどを記録します。
  4. 4

    8〜10日目: 100%

    完全に切り替えます。体重は切り替え前と2週間後に測り、変化がないかを確認します。

記録は、スマートフォンのメモに日付・便の状態・食べ残しの有無を1行書くだけで十分です。もし合わなかったときに「何日目から崩れたか」がわかると、次の判断がしやすくなります。

注意

切り替え中に下痢や嘔吐が続く、元気や食欲がない、便に血が混じる、体重が落ちるといった変化があれば、切り替えを中断して動物病院に相談してください。値上げ対策より、体調のほうが優先です。

経済的に苦しいときの、相談という選択肢

最後に、どうしても厳しいときの話をしておきます。

ペットフード協会の「令和7年(2025年)全国犬猫飼育実態調査」では、現在犬を飼っておらず今後の飼育意向がある人(n=692)に飼っていない理由を複数回答でたずねたところ、「世話をするのにお金がかかるから」が27.0%で最も多く挙がりました。同じ項目は2021年調査では21.1%で、数値は上昇しています。つまり、これは個人の努力不足ではなく、多くの家庭が直面している構造的な問題です。ひとりで抱え込まないでください。

  • かかりつけの動物病院に相談する。療法食の代替案、給与量の適正化、通院の頻度や検査の優先順位など、費用を含めた現実的な提案を受けられることがあります。
  • お住まいの自治体の動物愛護センターや保健所に問い合わせる。地域によっては、飼育に困っている人向けの相談窓口や、地域団体の情報を案内してもらえます。
  • 地域の動物愛護団体やペットフードバンク、フードドライブの取り組みを調べる。寄付されたフードを、経済的に困難な状況の飼い主や一時預かり家庭に無償で届ける活動が各地にあります。運営主体や対象条件は団体ごとに異なるため、申し込み前に条件を確認してください。
  • ペット保険や貯蓄の見直しをする。医療費の備えは、フード代とは別枠で考えたほうが整理しやすくなります。
療法食の負担が重くて、正直に先生に話しました。同じ成分設計で容量の大きいサイズがあること、検査の間隔を少し空けても大丈夫なことを教えてもらえて、気持ちがずいぶん楽になりました。もっと早く言えばよかったです。
シニア犬と暮らす飼い主

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よくある質問

値上げが続くなら、今のうちに大量に買いだめしたほうが得ですか?
1kcalあたりの単価は下がりますが、開封後の酸化や湿気によるリスクが増えます。環境省のガイドラインは、ドライフードについて、未開封でも賞味期限内に使い切ること、開封後は直射日光が当たらず温度・湿度の低い常温の場所で保存することをすすめています。目安として、開封したものを1か月程度で使い切れる量にとどめ、残りは未開封のまま保管するのが現実的です。
総合栄養食ではない安いフードに、栄養のあるトッピングを足せば主食にできますか?
おすすめできません。総合栄養食は、それと水だけでそのライフステージの健康を維持できるよう栄養バランスが設計されたものです。家庭で足し算をしても、必要な栄養素の量や比率を狙いどおりに整えるのは難しく、不足や過剰が起こりえます。主食は総合栄養食を選び、トッピングは風味づけの範囲にとどめてください。
療法食が高いので、似た名前の市販フードに替えてもよいですか?
自己判断での変更は避けてください。ペットフード公正取引協議会は、療法食は獣医師の指導のもとで食事管理に使うもので、栄養特性が総合栄養食とは異なるため長期間の不適切な使用は健康を脅かすリスクがあるとしています。名前や見た目が似ていても設計は別物です。費用が負担であることも含めて、かかりつけの獣医師に相談してください。
おやつは1日にどれくらいまでなら大丈夫ですか?
環境省の飼い主のためのペットフード・ガイドラインは1日あたりに必要なカロリーの20%以内、WSAVAの飼い主向け資料は10%未満を目安としています。数字に幅はありますが、いずれも主食の代わりにはならないという点は共通しています。おやつを与えた分は主食を減らす、という調整もあわせて行ってください。
カロリーがパッケージに書かれていないフードは避けたほうがよいですか?
表示がないこと自体は規約違反ではありません。公正競争規約で表示が定められている成分はたんぱく質・脂質・粗繊維・灰分・水分の保証分析値で、カロリーは必須項目ではないためです。ただし1日あたりのコストや給与量を計算するにはカロリーが必要なので、メーカーの公式サイトや相談窓口で確認できるかどうかを、選ぶときの判断材料にするとよいでしょう。
フードを替えたら便がゆるくなりました。どうすればよいですか?
まず前の割合に戻し、数日ようすを見てから、より小さい刻みで進め直します。それでも下痢が続く、嘔吐がある、元気や食欲がない、便に血が混じる、体重が減るといった場合は、切り替えを中断して動物病院に相談してください。切り替えのペースは犬によって差があり、7〜10日でも早すぎる子がいます。
値上げを機にウェットからドライへ全部替えても大丈夫ですか?
健康で食事制限がなければ選択肢になりますが、水分摂取量が減る点に注意が必要です。ウェットタイプは水分含量が75%程度、ドライタイプは10%程度とされており、切り替えると飲水量が変わります。新鮮な水をいつでも飲めるようにし、飲水量や尿の量・色の変化を見てください。泌尿器のトラブルがある犬は、事前に獣医師に相談を。

おわりに

値上げのニュースを見るたびに、愛犬に申し訳ないような気持ちになる方もいると思います。でも、この記事で見てきたとおり、家計を守る余地は「安いフードに替える」以外のところにたくさんあります。

1日あたりの実コストで比べ直す。給与量とおやつの比率を適正に戻す。保存の仕方を整えて捨てる量を減らす。そのうえでどうしても厳しければ、隠さずに相談する。どれも、愛犬の健康を犠牲にしない方法です。

犬には個体差があり、必要なカロリーも、合うフードも、この記事の数字どおりとは限りません。体重や便の状態、毛づやや元気さといった日々のサインを見ながら、その子に合ったところを探してください。気になる変化があるときは、早めにかかりつけの動物病院に相談することをおすすめします。

出典・参考

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