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犬のごはんは1日何回?量は何グラム?|給与量の計算式とライフステージ別の食事回数

対象の目安: 全ライフステージ

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犬のごはんは1日何回?量は何グラム?|給与量の計算式とライフステージ別の食事回数

「うちの子、1日何回あげるのが正解なんだろう」「袋に書いてある量って、本当にこれでいいの?」——犬と暮らしていて、いちばん頻繁に、いちばん長く続く疑問がこの2つだと思います。フードの種類を決めたあとも、体重が変わるたび、季節が変わるたび、年齢が上がるたびに、同じ問いが戻ってきます。

この記事では、答えを一発で出す魔法の数字ではなく、自分で決められるようになるための手順を扱います。出発点はパッケージの給与量表。そこから計算式で裏を取り、最後は体重とボディコンディションで答え合わせをする。この3段構えを、原典の数式と係数つきで整理します。

メモ

この記事は一般的な考え方の整理です。持病がある子、療法食を使っている子、妊娠授乳中の子、極端に痩せている・太っている子の給与量は、ここでの計算式ではなく、かかりつけの動物病院の指示に従ってください。

まず、パッケージの給与量表から始める

いきなり計算式に行く前に、いま手元にある袋の裏を見てください。そこに書かれている表が、いちばん現実的な出発点です。

給与方法の表示は、業界ルールで義務づけられている

日本で売られている犬猫用のペットフードには、2つの制度が重なっています。

ひとつは法律で、正式には「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」、通称ペットフード安全法です。環境省と農林水産省の共管で2009年6月1日に施行され、犬用と猫用のペットフードを対象に、製造方法や表示の基準、成分の規格を定め、それに合わないものの製造・輸入・販売を禁止しています。ただしこの法律が求める表示は、名称・原材料名・賞味期限・事業者名・原産国名という安全確保のための項目が中心です。

もうひとつが業界の自主ルールで、消費者庁長官と公正取引委員会の認定を受けた「ペットフードの表示に関する公正競争規約」です。こちらの第4条が必要表示事項として挙げているのは、名称・目的・内容量・給与方法・賞味期限・成分・原材料名・原産国名・事業者名の9項目。給与方法(給与量)は、法律ではなくこの公正競争規約の側で求められている項目です。

ペットフード公正取引協議会は、給与方法の表示について「ペットフードの目的や、年齢、体重によって1日に与える量や回数も異なるので、文章、表、図などを組み合わせてわかりやすく表示する」としています。袋の裏にある「体重◯kgの成犬:1日◯g」という表は、この規定にもとづいて載っているわけです。

総合栄養食かどうかを、先に確かめる

給与量表を読む前提として、そのフードが総合栄養食かどうかを確認します。公正競争規約第3条は総合栄養食を、こう定義しています。

この規約において「総合栄養食」とは、毎日の主要な食事として給与することを目的とし、当該ペットフード及び水のみで指定された成長段階における健康を維持できるような栄養的にバランスのとれたものであって、ペットフードの表示に関する公正競争規約施行規則に定める栄養成分等に関する運用基準を常に満たすものをいう

ポイントは「当該ペットフード及び水のみで」という部分です。総合栄養食の給与量表は、そのフードと水だけで1日の栄養を満たす前提の量が書かれています。逆に言えば、間食や「その他の目的食(副食・栄養補完食)」の袋に書かれた量は、主食の量ではありません。ここを取り違えると、計算の前提が崩れます。

総合栄養食には、対象となる成長段階(哺乳期/幼犬期・成長期/成犬期・維持期/妊娠期・授乳期、あるいは全成長段階)の表示も義務づけられています。手元のフードがどの段階向けかを、まず見ておきましょう。

ペットフード安全法の枠組みは環境省・農林水産省の解説ページ、表示区分と給与方法の表示規定はペットフード公正取引協議会の「ペットフードの表示に関する公正競争規約・施行規則」および同協議会の解説ページを参照しました。総合栄養食の定義は規約第3条第2項の原文からの引用です。

同じ体重でも、給与量表の数字は製品ごとに違う

給与量表は目安であって、絶対値ではありません。この点は、獣医栄養学の側からかなりはっきり指摘されています。

米国動物病院協会(AAHA)の2021年版の栄養・体重管理ガイドラインは、こう書いています。市販のペットフードには給与量の表示が義務づけられているが、AAFCO(米国飼料検査官協会)はこの算出プロセスを標準化していないため、理想を言えば飼い主は表示だけに頼らずRER/MERの計算を行うほうがよい。そして、多くの飼い主は表示どおりに与えるので、動物病院のチームが体重・BCS(ボディコンディションスコア)・MCS(マッスルコンディションスコア)を定期的に評価する必要がある、と続けています。

タフツ大学の獣医栄養学者Lisa Freeman氏(DVM, PhD, DACVIM)は、成犬用のドライフード8製品の給与量表を、Pet Nutrition Allianceのカロリー計算機の値と突き合わせた記事を公開しています。全体重域で計算値と一致したのは8製品中2製品だけ。4製品は小型・中型犬では妥当だが大型犬で過剰なカロリーになり、これとは別に1製品は全体重域で過剰で、必要量より最大61%多い量を推奨していたと報告しています。

WSAVA(世界小動物獣医師会)が公開している成犬用のカロリー早見表も、はじめから幅を持たせた作りになっています。

体重WSAVAの早見表が示す1日のカロリー
2kg140〜177kcal
5kg280〜351kcal
10kg470〜590kcal
20kg790〜993kcal
30kg1,080〜1,346kcal
40kg1,340〜1,670kcal

同じ10kgの成犬で、下限と上限に120kcalの差があります。この表の注記にはこう書かれています。「これらの推奨はあくまで手引きである。犬は個体であり、理想的で引き締まった体型を保つために、より多くの、あるいはより少ないカロリーを必要とする子もいる」。参照した計算式としては、NRC(米国研究評議会)2006年版の犬の1日維持エネルギー要求量、活動的な成犬は130 × 体重(kg)の0.75乗、不活発な成犬は95 × 体重(kg)の0.75乗が挙げられています(表の数値自体は、この式をそのまま当てはめた値より1〜2割低く置かれています。式はあくまで参照した計算であり、表の値と一対一で対応するものではありません)。

ヒント

給与量表を読むときのチェックポイントは3つです。1つめ、そこに書かれた体重は「いまの体重」なのか「目標体重」なのか。太っている子にいまの体重の量を与え続けると、太った状態が固定されます。2つめ、その数字は1日分なのか1回分なのか。3つめ、100gあたりのkcal(代謝エネルギー・ME)がどこかに書かれていないか。この3つめが、次の章の計算で効いてきます。

計算してみる。RERとDERの2段階

給与量表が目安だとすると、その目安が自分の犬に合っているかを確かめる物差しが要ります。それがRERとDERです。

第1段階:RER(安静時エネルギー要求量)を出す

RERはResting Energy Requirementの略で、消化・呼吸・心臓・脳といった生命維持のためだけに必要なエネルギーです。運動も成長も含まない、いわば基礎代謝にあたる部分です。

MSD(Merck)獣医マニュアルは、RERの式を2つ挙げています。

RER = 70 × 体重(kg)の0.75乗

これがすべての体重に使える指数式です。もうひとつ、体重2〜45kgの範囲に限って使える簡易な直線式もあります。

RER = 30 × 体重(kg) + 70

オハイオ州立大学獣医教育病院も同じ指数式を採用し、「体重10kg(22ポンド)の去勢済みの健康な成犬なら、RER = 70 × 10の0.75乗 で約400kcal/日」という例を挙げています。

0.75乗は電卓でも出せます。Today's Veterinary Nurseが紹介している手順は単純で、体重を3回かけあわせて(体重 × 体重 × 体重)、そこにルートキーを2回押し、最後に70をかけるだけです。表計算ソフトなら「=70*体重^0.75」で済みます。

体重ごとのRERは次のとおりです。

体重RER(kcal/日)体重RER(kcal/日)
2kg約11815kg約534
3kg約16020kg約662
4kg約19825kg約783
5kg約23430kg約897
7kg約30135kg約1,007
10kg約39440kg約1,113
12kg約45150kg約1,316

第2段階:係数をかけてDER(1日あたりのエネルギー要求量)にする

RERはあくまで安静時の値なので、実際に必要な量はここに係数をかけて求めます。オハイオ州立大学が公開している表(Table 1)は次のとおりです。

状態係数
去勢・避妊済みの成犬1.6 × RER
未去勢・未避妊の成犬1.8 × RER
不活発・肥満になりやすい犬1.2〜1.4 × RER
減量中1.0 × RER(理想体重で計算)
増量中1.2〜1.8 × RER(理想体重で計算)
活動的な犬・使役犬2.0〜5.0 × RER
子犬(生後0〜4か月)3.0 × RER
子犬(生後4か月〜成犬になるまで)2.0 × RER

MSD獣医マニュアルもほぼ同じで、未去勢・未避妊の成犬1.8倍、去勢・避妊済みの成犬1.6倍、肥満になりやすい犬1.4倍、生後4か月未満の子犬3倍、生後4か月以上の子犬2倍としています。

日本語で読める資料としては、アニコム損保の「犬との暮らし大百科」(獣医師監修)が同じ枠組みを紹介しており、成長期をさらに細かく分けています。生後4か月未満で3、4〜9か月未満で2.5、9〜12か月未満で2。高齢では1.1〜1.4、減量では1.0。Today's Veterinary Nurseが挙げる表も、高齢犬1.1〜1.4という点で一致しています。

避妊去勢によって必要量が下がるという点は、AAHAの2021年ガイドラインも「不妊手術後はエネルギー要求量が減少するため、摂取量を減らす必要がある」と明記しています。手術後に体重が増えやすいのは体質の問題だけではなく、同じ量を与え続けていることが理由になっている場合があります。

環境省のガイドラインは、別の方式で書いている

環境省の「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」は、係数をかける方式ではなく、ステージごとの係数を直接かける形で示しています。

犬の場合には、体重(kg)の0.75乗に各ステージにおける係数(離乳期では274、成長中期では200、成犬期では132)をかけることで計算します

つまり成犬期は 132 × 体重(kg)の0.75乗。体重10kgなら約742kcalです。同じガイドラインには体重別の参考値の表も載っていて、10kgの成犬で742kcal、20kgで1,248kcal、30kgで1,692kcalとなっています。

同じ10kgの犬で、数字はここまで違う

ここまでの式を、体重10kgの成犬に当てはめて並べてみます。

出典・条件1日のエネルギー量
減量中(1.0 × RER)約394kcal
WSAVAの早見表(下限)470kcal
不活発・肥満になりやすい(1.2〜1.4 × RER)約472〜551kcal
WSAVAの早見表(上限)590kcal
去勢・避妊済みの成犬(1.6 × RER)約630kcal
未去勢・未避妊の成犬(1.8 × RER)約709kcal
環境省ガイドライン 成犬期(132 × 体重の0.75乗)約742kcal

下は394kcal、上は742kcal。ほぼ2倍の開きです。これは計算を間違えているのではなく、「同じ体重の犬」という条件だけでは必要量が決まらないということを示しています。

MSD獣医マニュアルは、この幅について正直に書いています。「人と同じように、同じ体重の動物でも、理想体重を維持するために必要なエネルギー量には差がある。ある個体は、同じ体重の別の個体より30%多く、あるいは30%少ないカロリーを必要とすることがある」。オハイオ州立大学はさらに幅を広く見ていて、「個体の必要量は計算値から最大50%ずれることがあるので、これらは1日に与える量を見積もるための出発点にすぎない」「あくまで大まかな、郵便番号レベルの見積もりしか与えられない」と述べ、同じ体格でも活発なジャック・ラッセル・テリアとおっとりしたミニチュア・プードルでは必要量がまったく違う、という例を挙げています。

注意

数字が2倍近くぶれるからといって、計算が無意味なのではありません。いま与えている量が、この幅のどのあたりにいるのかを知るために計算します。上限を大きく超えているなら減らす方向、下限を大きく下回っているなら増やす方向、というアタリがつく。それが計算の役目です。

kcalをグラムに直す

エネルギー量が出たら、次はグラムです。ここで使うのが、袋に書かれている100gあたりのkcal(代謝エネルギー・ME)です。

1日の給与量(g) = DER(kcal) ÷ ME(kcal/100g) × 100

  1. 1

    体重を量る

    できれば同じ体重計で、同じタイミング(朝の食事前など)に量ります。小型犬は、抱いて乗った値から自分の体重を引く方法で構いません。
  2. 2

    RERを出す

    70 × 体重(kg)の0.75乗。体重10kgなら約394kcalです。
  3. 3

    係数をかけてDERにする

    去勢避妊済みで運動量が普通なら1.6倍。394 × 1.6 = 約630kcalです。
  4. 4

    袋のkcal表示で割る

    100gあたり360kcalのドライフードなら、630 ÷ 360 × 100 = 約175g。これが1日分です。
  5. 5

    回数で割る

    1日2回なら1回あたり約88g。ここまで出したら、いまパッケージの表で与えている量と見比べます。

体重別に、去勢避妊済みの成犬(1.6 × RER)を想定した早見を作るとこうなります。

体重DER(1.6×RER)360kcal/100gのフードなら400kcal/100gのフードなら
3kg約255kcal約71g約64g
5kg約374kcal約104g約94g
10kg約630kcal約175g約157g
20kg約1,059kcal約294g約265g
30kg約1,436kcal約399g約359g

同じ体重でも、フードのカロリー密度が違えばグラムは変わります。フードを変えたときにグラムをそのまま引き継ぐと、知らないうちにカロリーが増減しているのはこのためです。

計量カップより、キッチンスケール

もうひとつ、地味ですが効く話があります。リバプール大学のAlexander German氏らが2011年に発表した研究は、計量カップでドライフードを量ったときの精度を12の実験で検証しています。結果は、被験者内・被験者間の変動係数がそれぞれ2〜13%、2〜28%。正確さのばらつきはさらに大きく、実際の量に対して18%少なく見積もる例から、80%多く見積もる例までありました。ポーションが小さいほど誤差が大きくなる傾向も示されています。著者らは、こうした誤差が積み重なることで、じわじわとした体重増加や、減量プログラムの失敗につながりうると結論づけています。

小型犬ほど1回の量が少なく、誤差の影響が大きくなります。1,000円前後のデジタルキッチンスケールを1つ食器棚に置いておくだけで、この誤差はほぼ消えます。

ずっと付属のスプーンで「だいたいこのくらい」でやっていました。試しにスケールで量ってみたら、思っていたより2割多かった。体重が少しずつ増えていた理由が分かった気がします。

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計算は出発点。答え合わせは体重とBCSで

ここまでが「決め方」です。でも、実際に正しかったかどうかは、犬の体が教えてくれます。

WSAVAは栄養評価を体温・脈拍・呼吸・疼痛評価に次ぐ「5番目のバイタルサイン」と位置づけ、すべての患者にすべての来院時で行うべきものとしています。家庭でも同じ考え方が使えます。

見るのは2つ、体重の推移とボディコンディション

体重は数字なので分かりやすい一方、その数字が適正かどうかまでは教えてくれません。そこで併せて見るのがBCS(ボディコンディションスコア)です。

環境省のガイドラインは5段階のBCSを載せていて、理想の「BCS3」をこう説明しています。「過剰な脂肪の沈着なしに、肋骨が触れる。上から見て肋骨の後ろに腰のくびれが見られる。横から見て腹部の吊り上がりが見られる」。WSAVAは9段階のチャートを公開していて、そちらでは4〜5が理想です。段階の数は違いますが、見るところは同じ、肋骨・腰のくびれ・腹部の吊り上がりの3点です。

AAHAの2021年ガイドラインは、9段階のBCSでは1段階上がるごとに体脂肪率が約5%増え、BCSが5を超えると1段階につき理想体重より約10%重い状態にあたるとしています。つまり「ちょっと太ったかな」の1段階は、体重にすると1割です。

給与量の答え合わせの手順

  • 与える量を決めたら、まず2〜4週間そのまま続ける(毎日変えると何が効いたか分からなくなる)
  • 体重は週1回、同じ体重計・同じタイミングで量って記録する
  • BCSは月1回、肋骨・腰のくびれ・お腹の吊り上がりの3点で確認する
  • 体重が増え続けている、BCSが上がってきたなら、1日量を10%程度減らして再び2〜4週間見る
  • 痩せてきている、あばらが浮いてきたなら、10%程度増やして同じように様子を見る
  • 一度に3割も4割も動かさない。10%ずつが安全

メモ

大きく減量する必要がある場合は、自己流で進めないほうが安全です。環境省のガイドラインは「本格的なダイエットは、獣医師の指導の下で行う必要があります」としたうえで、軽度から中度の肥満では通常の30〜40%減で1週間に体重の1〜3%ずつ落とすのが適当、40%以上減らす急激なダイエットは体に悪影響を与える危険があると書いています。減量中は空腹感を抑えるため1日量を3〜4回に分けるという工夫も紹介されています。

体重管理そのものの価値は、思っている以上に大きいかもしれません。ラブラドール・レトリーバー48頭を生涯にわたって追跡したKealyらの2002年の研究では、片方に25%少ない量を与え続けた群で、生存期間の中央値が対照群より1.8年長くなりました。AAHAの2019年犬ライフステージガイドラインも、この研究を引いて「ライフステージを通じて理想体重を維持した犬は、平均して15%長く生きた」と紹介しています。

1日何回あげる? ライフステージ別に

量の次は回数です。ここは「正解が1つ」ではなく、年齢と体格で変わります。

子犬:回数を多く、少量ずつ

MSD獣医マニュアルは、離乳から生後6か月までの子犬は1日3回、生後6〜12か月の子犬は1日2回としています。環境省のガイドラインは「子犬の場合は、1回に食べられる量が少ないため、4回程度に分けて与えましょう」と書いていて、こちらのほうがやや回数が多めです。どちらも趣旨は同じで、胃が小さいので、1回に入る量が限られるということです。

VCA Animal Hospitalsも、子犬について「1日3〜4回の食事は、1日分のフードを子犬の小さなお腹に合わせた少量に分けられるので有用」と説明しています。

より回数が要るのが、超小型犬・トイ種の子犬です。VIN(Veterinary Information Network)のVeterinary Partnerは、生後3か月未満の子犬、とくにチワワ、ヨークシャー・テリア、マルチーズ、トイ・プードル、ポメラニアンといったトイ種・ミニチュア種では血糖の調節機能が十分に育っておらず、**低血糖(ハイポグリセミア)**を起こしやすいと解説しています。予防のためには、子犬のうちは1日4〜6回に分けて与える必要があることもあるとされています。

注意

子犬がぐったりする、ふらつく、体が冷たい、けいれんするといった様子が出たときは、低血糖の可能性があります。様子見をせず、すぐに動物病院に連絡してください。とくに超小型犬の幼犬、迎えたばかりで環境が変わった直後、下痢や嘔吐で食べられていないときは注意が要ります。

大型犬の子犬には、別の注意点があります。MSD獣医マニュアルは、成長期の過給与は成長速度を上げるが、それは適切な骨格の発達と両立せず、のちの肥満にもつながるため望ましくないとしています。速い成長より、ゆっくりした成長のほうが好ましいという考え方です。同マニュアルは、大型犬の子犬の給餌について、成長用の総合栄養食を1日2〜3回に分けて適量ずつ与える形であれば成長を妨げる心配はほとんどないとし、同腹子の自由採食量の50〜70%で育てた大型犬の子犬でも成犬時の体高・体長・骨量・筋量は落ちず、減ったのは体脂肪だけだったという報告を紹介しています。VCAも自由採食について、若齢期の肥満、早食いの習慣化、整形外科的な問題や糖尿病につながりうると注意を促しています。

ヒント

大型犬・超大型犬の子犬には、その体格向けに設計された成長期用の総合栄養食を選び、量は表示と計算にもとづいて決める。「まだ成長期だから好きなだけ」は、この年齢層ではむしろリスクになります。

成犬:1日2回が基本

環境省のガイドラインは、成犬についてこう書いています。

犬は、1回で1日分の量のフードを食べることが出来るほど大きい胃を持っていますが、1日分のフードを1回で与えるというやり方はあまり好ましくありません。与える回数が1日1回だけの場合は、慌てて飲み込んでのどに詰まらせたり、肥満になりやすいともいわれることから、成犬では1日分を2回に分けて与えましょう。

VCA Animal Hospitalsも「最も一般的な推奨は、1日に少なくとも2回与えること」とし、その理由として犬の胃は数時間で空になり、空になってから8〜10時間ほど経つと脳に空腹のシグナルが送られるためだと説明しています。朝だけ、夜だけという与え方だと、食間が長くなりすぎるわけです。

MSD獣医マニュアルは成犬について、決まった時間に量を決めた2回の食事を与えるポーションコントロールを基本とし、自由採食でも太らずにいられる成犬もいるが「ほとんどはそうはいかない」としています。

シニア:回数はむしろ増やす選択もある

高齢期の係数は1.1〜1.4と、成犬期より低めに置かれています。活動量が落ち、除脂肪体重も減っていくためです。ただし、これは「一律に減らす」という意味ではありません。シニアでは逆に痩せてくる子も多く、AAHAのガイドラインはこの時期こそMCS(マッスルコンディションスコア)の評価が重要になると強調しています。BCSが変わらなくても筋肉が落ちていることがあるからです。

回数の面では、一度にたくさん食べられなくなってきた子、食後に吐き戻しやすい子では、1日量を3回に分けるほうが楽なことがあります。回数を増やしても1日の総量が変わらなければ、カロリーは増えません。

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大型犬・胸の深い犬種:胃拡張胃捻転(GDV)という論点

回数の話でどうしても外せないのが、胃拡張胃捻転症候群(GDV)です。胸郭が深い大型・超大型犬で起きやすく、短時間でショックに至る緊急疾患です。

パデュー大学のGlickmanらが1997年に発表した症例対照研究(GDVを起こした犬101頭と対照101頭)では、GDVのリスクを上げる要因(この論文は有意水準を0.10に設定しています)として、オスであること、痩せていること、1日1回の食事、早食い、怖がりの気質が挙げられました。逆にリスクを下げた要因は「機嫌のよい」気質と、ドライフード中心の食事にテーブルフードが含まれていることでした。急性のエピソードを誘発する要因として特定されたのはストレスのみとされています。

同じグループが2000年にJAVMAで発表した前向きコホート研究(秋田犬、ブラッドハウンド、コリー、グレート・デーン、アイリッシュ・セター、アイリッシュ・ウルフハウンド、ニューファンドランド、ロットワイラー、セント・バーナード、スタンダード・プードル、ワイマラナーの1,637頭)では、GDVの累積発生率は6%。リスクを上げる要因として、加齢、第一度近親にGDVの既往があること、食べる速さが速いこと、そして高い位置に置いた食器が特定されました。高い位置の食器に起因すると推定されたのは、大型犬で約20%、超大型犬で約52%のGDV症例でした。

2006年のRaghavanらの研究では、ドライフードの上位4原材料に油脂(ひまわり油や動物性脂肪など)が含まれる製品を食べていた犬で、GDVリスクが2.4倍だったという結果が報告されています。

米国獣医外科専門医協会(ACVS)は、GDVと関連する要因として「1日1回、大量の食事を与えられている」ことを挙げています。また、GDVの手術を受けた犬のその後の食事管理としては、1回の大量給餌ではなく1日2〜3回の少量の食事になることが多いとしています。

注意

お腹が張って苦しそう、えずくのに何も出ない、よだれが多い、落ち着かずうろうろする——胸の深い大型犬でこれらが出たら、GDVを疑ってすぐに動物病院へ向かってください。時間との勝負になる病気です。詳しい食器の選び方は早食い防止食器の記事もあわせてご覧ください。

なお、早食いとGDVの関係については、まだ結論が出ていないという見方もあります。Veterinary Evidence誌に掲載されたBuckleyの2016年のナレッジサマリーは、既存文献の限界と信頼性の問題から「どちらとも結論できるだけの証拠はない」としつつ、食べる速さを落とすことがGDVリスクを上げることはなく、下げる可能性はあると述べています。

「1日1回のほうがいい」という研究を、どう読むか

ここ数年、飼い主のあいだで話題になっているのが、Dog Aging Projectの報告です。誤読されやすいテーマなので、原典に沿って整理します。

何が報告されたのか

Brayらが2022年にGeroScience誌に発表した論文は、Dog Aging Projectの横断データを使って、給餌回数と認知機能(10,474頭)および9つの健康カテゴリー(24,238頭)の関連を調べたものです。性別・年齢・犬種などの交絡要因を調整したうえで、1日1回給餌の犬は、それより頻繁に与えられている犬に比べ、認知機能障害スケールの平均スコアが低く、消化器・歯科口腔・整形外科・腎泌尿器・肝膵の疾患を持つオッズが低かったと報告されています。

見出しだけを取れば「1日1回のほうが健康」に読めます。ただ、論文本文には慎重な但し書きが並んでいます。

著者自身が書いている限界

考察の冒頭で、著者らはこう書いています。「この研究が因果関係を示すものではないことに留意することが重要である」。

さらに限界として、これが横断研究であること、各犬の給餌回数がその犬の人生のある程度の期間ずっと同じだったと暗黙に仮定していることを挙げ、こう続けます。「飼い主が健康上の問題に反応して給餌回数を増やした可能性を否定できず、観察された関連は全部または一部が逆因果によるものかもしれない。これはとくに、関連がもっとも強く観察された2つのカテゴリーである消化器疾患と肝疾患で懸念される」。

つまり「1日1回だから健康になった」ではなく「体調を崩したから回数を増やした」という順序かもしれない、ということです。加えて、この研究にはカロリー摂取量のデータがないため、1日1回のほうが総摂取カロリーが少なくなりがちで、観察された関連が実はカロリーによるものかどうかを分析できない、とも述べています。研究チームは今後の縦断データで検証すると書いています。

では、どうすればいいのか

現時点で分かっていることを並べると、こうなります。

論点分かっていること
1日1回と健康指標横断研究で関連あり。因果は示されていない。逆因果の可能性を著者が明記
1日1回とGDV症例対照研究で危険因子として報告。ACVSも「1日1回、大量の食事」を関連要因に挙げる
日本の公的ガイドライン環境省は成犬で1日2回を推奨。1日1回は「あまり好ましくない」
子犬回数を減らす選択肢がない。低血糖と胃の容量の問題があるため

メモ

興味深い研究ではありますが、いま1日2回でうまくいっている成犬を、この報告を理由に1日1回へ変える根拠にはならないというのが穏当な読み方だと思います。とくに胸の深い大型犬、子犬、シニア、糖尿病など食事のタイミングが治療に関わる持病のある子では、回数を変える前にかかりつけの獣医師に相談してください。

おやつは1日の10%以内。その分、主食を引く

給与量の話でいちばん抜け落ちやすいのが、おやつです。

AAHAの2021年ガイドラインは、摂取カロリーが適切かを判断する手順のなかで「完全でバランスのとれた栄養の主たる供給源が総摂取量の90%以上を占め、おやつやその他の食品が10%以下であることを確認する」と書いています。さらに別の箇所では、完全・バランスでない食品のカロリーが1日の摂取カロリーの10%を超えると必須栄養素が希釈され、余分なカロリーになるとして、飼い主には主食以外を総摂取カロリーの10%以下に保つよう助言すべきだとしています。

タフツ大学のPetfoodologyも「おやつを与えたいなら、推奨カロリーの10%をおやつに取っておける。それ以外の90%は完全でバランスのとれたペットフードから摂るべき」と、同じ数字を挙げています。

一方、環境省のガイドラインは間食について「1日あたりに必要なカロリーの20%以内に抑えることが大切です」としています。10%と20%で数字が違いますが、これは矛盾というより立ち位置の違いです。栄養バランスを崩さない安全側の線が10%、超えてはいけない上限として示されているのが20%、と理解しておくとよいと思います。

そして、より大事なのは引き算です。環境省のガイドラインも「カロリー表示を確かめて、これらを与えた分だけフードを減らすなどの注意が必要です」と書いています。

  1. 1

    1日のDERを確認する

    たとえば10kgの去勢済み成犬で630kcal。
  2. 2

    おやつの上限を出す

    10%なら63kcal、20%なら126kcalです。
  3. 3

    実際に与えているおやつのkcalを合計する

    袋に1本あたりのkcalが書かれていればそれを使います。しつけのごほうびに使う小さなかけらも積み上げると意外な量になります。
  4. 4

    その分を主食から引く

    おやつで50kcal与えたなら、主食は580kcal分にします。100gあたり360kcalのフードなら、175gから161gへ、14g減らす計算です。
  5. 5

    計量カップに新しい目盛りを付けておく

    毎回計算し直すのは続かないので、決まった量のところに油性ペンで線を引いておくと運用が楽になります。

ヒント

歯みがきガムやデンタルチューは、しつけのおやつよりカロリーが高いことがあります。毎日1本使うなら、それは立派に食事の一部です。カロリー表示を確認して、主食側で引き算しておきましょう。

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時間・置き餌・水・食後の運動・多頭飼い

量と回数が決まったら、残りは運用です。

与える時間

1日2回なら、朝と夕方に分けて食間が空きすぎないようにするのが基本です。VCAが挙げていた「胃が空になって8〜10時間で空腹のシグナルが出る」という説明を踏まえると、朝7時と夜7時のように12時間おきよりも、生活に合わせて少し前倒しするくらいがちょうどよい場合もあります。

食間が長すぎると、空腹時に黄色い液(胆汁)を吐くことがあります。回数を増やす、あるいは夜の食事を少し遅らせることで落ち着く場合がありますが、繰り返すようなら別の原因も考えられるので受診してください。

時間を毎日ほぼ一定にしておくメリットは、体調の変化に気づきやすくなることです。VCAも、決まった時間の食事のほうが「食べない」ことに気づきやすく、病気の早期発見につながると述べています。

置き餌はどうか

環境省のガイドラインは、犬について自由採食をすすめていません。「犬は、目の前にある食べ物をお腹一杯になるまで食べてしまいます」という説明があり、猫については置き餌の選択肢を認めている一方で、犬には同じ記述がありません。

衛生の面からも制限が要ります。同ガイドラインは、缶詰・レトルト・手作りのフードは、器に出したあとの酸化・腐敗・有害微生物の繁殖がドライより早いとして「出しっぱなしは避けましょう。給与時間は20分程度を目安にしてください」としています。ウェットやトッピングを使う日は、20分で下げるという運用が現実的です。

水

環境省のガイドラインは、健康な成犬が快適な温度で暮らしているときの飲水量を、フードの乾物量(水分を除いた重量)のおよそ2.5倍としています。参考値として、フードから摂る水分を含む1日の必要水分量の表も載っています。

体重1日の必要水分量(mL・フードからの水分を含む)
2kg190
5kg370
10kg630
20kg1,060
30kg1,440
40kg1,780

ドライフードは水分約10%、ウェットは約75%なので、ドライ中心の子ほど水入れから飲む量が多くなります。同ガイドラインは、気温や運動量にも大きく左右されるため「いつでも新鮮な水が飲めるようにしてください」としています。飲水量が急に増えた・減ったときは体調のサインになることがあるので、気になるときは飲水量の記事もあわせてご覧ください。

食後の運動

胸の深い大型犬では、「食後すぐの激しい運動は避ける」という助言が広く共有されています。ただし正確に言えば、パデュー大学の前向きコホート研究がGDVの危険因子として特定したのは、加齢・第一度近親の既往・食べる速さ・高い位置の食器であり、食後の運動はそのリストには入っていません。

つまりこれは、強いエビデンスに支えられた推奨というより、経験的な予防策という位置づけです。とはいえ、食後すぐの激しい運動を避けて困ることは基本的にありません。散歩は食前に行い、食後は落ち着いて休ませる、という順番にしておくのが無難でしょう。

多頭飼い

複数頭で暮らしていると、給与量の管理は一気に難しくなります。環境省のガイドラインは、ライフステージの違う犬を複数飼育する場合の工夫として、子犬はケージの中で食べさせる、食事の時間が終わったらすぐ片付ける、食事時間をずらす、食事を与える場所をそれぞれ変える、といった方法を挙げています。1頭だけ療法食を与える場合も同様に、時間や場所を分けて優先的に与えるとよいとしています。

犬と猫を一緒に飼っている場合の取り違えについても、「たまたま食べてしまう分には問題が生じることはありませんが、長期的には、特定の栄養素について過剰、不足が生じて健康上の問題を引き起こす可能性があります」として、時間や場所を分けることをすすめています。

メモ

多頭飼いで1頭だけ体重が落ちない・落ちすぎる場合、原因は給与量ではなく「盗み食い」や「譲ってしまう」ことにあるケースが少なくありません。数日でいいので、それぞれ別の部屋やクレートで食べさせて、実際に誰が何を食べているのかを確かめてみると答えが出ることがあります。

フードを切り替えるときは、日数をかける

量や回数を見直すタイミングは、フードを切り替えるタイミングと重なりがちです。

環境省のガイドラインは、療法食への切り替えについての回答のなかで、こう書いています。「急にフードを切替えると、犬や猫は慣れないフードに戸惑い食べないことがあります。また、嘔吐・下痢などの原因になる可能性がありますので、これまでのフードに少しずつ療法食を混ぜ、徐々にその量を増やしながら、1週間くらいかけて根気良く切替を行ってください」。療法食についての記述ですが、考え方は通常のフードでも同じです。

日数今までのフード新しいフード
1〜2日目31
3〜4日目11
5〜6日目13
7日目以降04(全量。体調・便に問題がなければ)

切り替え中は、便のかたさ、食欲、元気の様子を見ます。下痢や嘔吐が出たら、いったん前の割合に戻して、時間をかけ直します。

注意

切り替えのときは、グラムをそのまま引き継がないでください。100gあたりのkcalが違えば、同じグラムでもカロリーは変わります。新しいフードの表示を見て、1日のkcalから割り直しましょう。ここを見落とすと、切り替え後の1〜2か月で体重が動きます。

AAHAの2019年犬ライフステージガイドラインは、食物不耐性はどの年齢でも起こりうるため、飼い主は消化器や皮膚の異常が出たときに自己判断でフードを変える前に獣医師に相談するよう助言されるべきだとしています。「合わない気がするから変える」を繰り返すと、何が合わなかったのかが分からなくなります。

量を変えても改善しないとき、受診を考える目安

給与量の調整で解決することと、そうでないことがあります。

動物病院に相談したほうがよいサイン

  • 食べる量を変えていないのに、体重が2〜3か月で明らかに増えている、または減っている
  • 1日量を10%ずつ2回調整しても、体重の動きが止まらない
  • 急に食欲が落ちて、1〜2日以上ほとんど食べない
  • 逆に、急にがつがつ食べるようになった・水を飲む量が増えた
  • 繰り返し吐く、下痢が続く、便に粘液や血が混じる
  • お腹が張っていて、触ると痛がる
  • シニアで、体重は変わらないのに背中や後ろ足の筋肉が落ちてきた
  • 食べたそうにしているのに、食べ始めると口を気にする・落とす

環境省のガイドラインは日頃の体調管理の項で、「正常な犬でもフードを1〜2日間食べない個体もいますが、積極的に食べない場合には病気の前兆と考えて良いでしょう」としています。お腹が膨れていて触ると痛がる、数日にわたって嘔吐を繰り返す、といった項目も注意すべきサインとして挙げられています。

体重の増減、飲水量の変化、食欲の変化は、内分泌疾患や消化器疾患、腎臓の問題などのサインであることがあります。給与量の問題として片付けず、早めに相談してください。

よくある質問

パッケージの給与量と計算した量が違います。どちらを信じればいいですか。
どちらか一方を信じるのではなく、両方を「幅」として見てください。AAHAの2021年ガイドラインは、給与量表示の算出プロセスは標準化されていないため、理想を言えば計算も行うほうがよいとしています。2つの数字が大きく離れているなら、間をとって始め、2〜4週間の体重とボディコンディションの変化で調整するのが現実的です。持病がある場合や、どちらの数字も体型と合わない場合は動物病院で相談してください。
体重が理想より重い子は、いまの体重で計算しますか、目標体重で計算しますか。
減量が必要な場合は理想体重で計算します。オハイオ州立大学の表では、減量中は理想体重で計算したRERの1.0倍、増量中は理想体重で計算したRERの1.2〜1.8倍とされています。AAHAのガイドラインも、体重超過・肥満の場合は理想体重にもとづいて計算するとしています。ただし理想体重の見立て自体が難しいので、本格的な減量は獣医師と一緒に進めるほうが安全です。
避妊去勢の手術をしたら、量を減らすべきですか。
必要量は下がります。オハイオ州立大学とMSD獣医マニュアルの表では、未去勢・未避妊の成犬が1.8×RERなのに対し、去勢・避妊済みは1.6×RERです。単純計算で約11%の差になります。AAHAの2021年ガイドラインも、不妊手術後はエネルギー要求量が減るため摂取量を減らす必要があると明記しています。手術後は月1回のBCS確認を習慣にしておくと、増え始めに気づけます。
1日1回にしたほうが健康にいいと聞きました。
Dog Aging Projectの2022年の報告が元になっていると思われます。ただしこれは横断研究で、著者自身が「因果関係を示すものではない」と明記し、体調を崩した犬の飼い主が回数を増やした可能性(逆因果)を否定できないとしています。一方、1日1回の食事は胃拡張胃捻転(GDV)の危険因子として報告されており、ACVSもGDVと関連する要因のひとつに「1日1回、大量の食事」を挙げています(ACVSが1日2〜3回の少量給餌を挙げているのは、GDVの手術後の食事管理としてです)。環境省のガイドラインも成犬は1日2回としています。現時点で、うまくいっている2回を1回に変える根拠にはならないと考えるのが穏当です。
子犬はいつから1日2回に減らせばいいですか。
MSD獣医マニュアルは、離乳から生後6か月までは1日3回、生後6〜12か月は1日2回としています。ただし超小型犬やトイ種の幼犬は低血糖のリスクがあるため、回数を減らすタイミングは慎重に判断してください。体重の伸びが安定し、1回にしっかり食べられるようになってきたら、というのが目安です。迷うときはワクチン接種などで来院した際に相談してみてください。
置き餌にして、好きなときに食べさせるのはだめですか。
環境省のガイドラインは、犬について「目の前にある食べ物をお腹一杯になるまで食べてしまいます」として、猫のような置き餌の方法を紹介していません。MSD獣医マニュアルも、自由採食で太らずにいられる成犬もいるが「ほとんどはそうはいかない」としています。また衛生面から、ウェットや手作りフードは器に出したまま放置しないよう、給与時間20分程度が目安とされています。食べない子の対策として置き餌にすると、かえって食事のリズムが崩れることもあります。
計量カップではだめですか。
使ってはいけないわけではありませんが、誤差が大きいことは知っておいたほうがよいと思います。リバプール大学の2011年の研究では、計量カップでの計量は実際の量に対して18%少なく見積もる例から80%多く見積もる例まであり、量が少ないほど誤差が大きくなる傾向が示されました。小型犬ほど影響を受けます。デジタルキッチンスケールがあれば、この誤差はほぼなくなります。
手作りごはんの場合、量はどう決めればいいですか。
エネルギー量の考え方(RERと係数)は同じですが、手作り食は100gあたりのカロリーとその栄養バランスが分からないため、グラムに落とし込むところで行き詰まります。犬に必要な栄養を過不足なく満たす手作り食の設計は専門的な知識を要するので、続けたい場合は獣医師、できれば栄養の専門知識を持つ獣医師に相談したうえでレシピを組むことをおすすめします。主食は総合栄養食にして、手作りはトッピングとして10%程度に収める、という折衷案も現実的です。
季節によって量を変えたほうがいいですか。
必要量は活動量に大きく左右されるので、散歩の時間や強度が季節で変わる子では、結果として必要量も変わります。ただし「冬だから増やす」といった一律のルールで動かすのではなく、体重とボディコンディションの変化を見て、必要があれば10%ずつ調整するという手順は年間を通じて同じです。夏に食欲が落ちる場合は、量の問題ではなく暑さや体調の問題のことがあります。

まとめ

犬のごはんの量と回数は、次の順番で考えると迷いにくくなります。

  1. パッケージの給与量表を出発点にする。ただしそれは目安であり、製品ごとに幅がある
  2. RER = 70 × 体重(kg)の0.75乗 を出し、ライフステージ・避妊去勢・活動量の係数をかけてDERを出す。去勢避妊済みの成犬なら1.6倍が基準
  3. DERを袋の100gあたりkcalで割って、グラムに直す。計量はキッチンスケールで
  4. 2〜4週間続けて、体重とボディコンディションで答え合わせをする。ずれていたら10%ずつ動かす
  5. 回数は、成犬は1日2回が基本。子犬は3〜4回、超小型犬の幼犬はさらに多く。胸の深い大型犬では1回の量を大きくしない
  6. おやつは1日の10%以内に収め、与えた分は主食から引く

計算式は便利ですが、それ自体が正解を出してくれるわけではありません。MSD獣医マニュアルが同じ体重でも30%前後の個体差があると書き、オハイオ州立大学が最大50%ずれうると書いているとおり、式は出発点です。最終的に正しさを教えてくれるのは、毎週の体重計の数字と、肋骨に触れたときの手ざわりのほうです。

そして、量を調整しても体重の動きが止まらないとき、急に食欲や飲水量が変わったときは、ごはんの問題ではないかもしれません。そのときは早めに動物病院へ相談してください。

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出典・参考

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