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子どもと犬が安全に暮らすために|夏休みに増える接触と咬傷事故を防ぐ接し方・環境づくり

対象の目安: 全ライフステージ

カエデしつけ・散歩担当
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子どもと犬が安全に暮らすために|夏休みに増える接触と咬傷事故を防ぐ接し方・環境づくり

夏休みは、家族が家にいる時間や来客・きょうだいの友だちが遊びに来る機会が増え、子どもと犬の距離がぐっと近くなる季節です。仲良く過ごせる一方で、いつもと違う生活リズムや騒がしさは犬にとって負担になりやすく、「ふだんは穏やかな子なのに」という場面での咬傷(こうしょう)事故も起きやすくなります。大切なのは、犬をしつけで我慢させることでも、犬を悪者にすることでもありません。この記事では、事故が起きやすい場面と犬のサインの読み方、そして親が今日から用意できる環境づくりを整理します。

注意

この記事は、家庭で今日からできる予防の考え方をまとめたものです。すでに歯を当てた・うなりが増えた・特定の場面で強く反応するなど気になる様子があるときは、自己流で叱って抑え込まず、かかりつけの動物病院や、犬にやさしい方法を用いるドッグトレーナー・行動診療科に早めに相談してください。叱責は不安を強め、かえって咬傷のリスクを上げることがあります。

なぜ夏休みは接触と事故が増えるのか

犬が人を噛む背景には、たいてい「理由」があります。体のどこかが痛い、怖い、逃げ場がない、大切なもの(ごはんやおもちゃ)を守りたい、しつこくされて限界がきた——。夏休みは、この引き金が一度に増える時期です。子どもの在宅時間が長くなり、生活音や動きが増え、来客も多くなります。犬にとっては休まる時間が減り、我慢が積み重なりやすい環境になります。

咬傷事故は決してめずらしいものではありません。自治体には毎年多くの飼い犬による咬傷事故が届け出られており、たとえば岐阜県では令和7年度に116件の報告があったと公表されています。大型犬だけの問題でもなく、体の小さな犬でも起こります。だからこそ、「うちの子は噛まないから大丈夫」ではなく、どんな犬でも状況が重なれば起こりうる、という前提で環境を整えておくことが、子どもと犬の両方を守ります。

咬傷事故の届け出件数は岐阜県(生活衛生課)「飼い犬による咬傷事故が多発しています!」の公表値を参照しました。件数や割合は自治体・年度により異なります。犬が噛む背景に理由があるという考え方は、東京都動物愛護相談センターおよび環境省の啓発資料をもとにしています。

事故が起きやすい5つの場面

まず、どんなときに手を出さない・近づかないかを家族で共有しておきましょう。次の場面は、犬が「守りたい」「触られたくない」と感じやすい代表例です。

場面犬の気持ち家庭でのルール
食事中・おやつやガムに夢中なとき大切な食べ物を守りたい食事の場所には近づかない。食器やガムに手を出さない
寝ているとき・休んでいるとき急に触られると驚く・怖い寝ている犬は起こさない。呼んで自分から来たら触れる
おもちゃで遊んでいるとき取り上げられたくない口にくわえた物を無理に引っぱらない
しっぽ・耳・足・顔を触られたとき敏感な場所で不快・痛いことも抱きつき・またがり・引っぱりはしない
追いかけられた・追い詰められたとき逃げられず身を守るしかない追いかけっこをしない。犬の逃げ道をふさがない

メモ

これらは「犬がわがまま」なのではなく、生き物として自然な反応です。子どもには「ダメでしょ」と犬を叱らせるのではなく、「今はそっとしておこうね」と大人が場面ごとに声をかけて離すほうが、犬も子どもも安心して過ごせます。

噛む前のサインを読む(カーミングシグナル)

犬は、いきなり噛むわけではありません。その前に「これ以上は困る」という気持ちを、体の動きで何度も伝えてくれています。これをカーミングシグナルと呼びます。ストレスを感じたときに自分を落ち着けたり、相手に「落ち着いて」と伝えたりするしぐさです。これを大人が読めるようになると、噛む一歩手前で止められます。

早めの「そっとしてほしい」サイン

  • あくびをする(眠くない場面でのあくび)
  • 鼻や口のまわりをペロッとなめる
  • 顔や体をそむける・視線をそらす
  • 体をブルブルッと振る(濡れていないのに)
  • その場から離れようとする

はっきりした「やめて」のサイン

  • 白目が見える(顔は正面のまま目だけ動かし、白目が三日月形に見える)
  • 動きが固まる・体がこわばる
  • 低くうなる、歯を見せる

注意

うなりは「悪い癖」ではなく、噛む前の大切な警告です。うなったことを叱って黙らせると、犬は警告を出さずにいきなり噛むようになってしまうことがあります。うなりが出たら、叱るのではなく、その原因(近づきすぎ・触りすぎなど)を取り除いて距離をとってください。早めのサインの段階で離れれば、犬は「サインを出せば分かってもらえる」と学び、穏やかでいられます。

カーミングシグナルの具体例(あくび・鼻なめ・顔そむけ・体を振る・白目など)は、いぬのきもちWEB MAGAZINEの解説を参考にしています。しぐさの意味は状況や個体によって幅があり、複数のサインと前後の文脈をあわせて読むことが大切です。

触り方のルールを子どもと共有する

犬とのふれあいは禁止する必要はありません。「正しい触り方」を子どもと一緒に練習すれば、犬にとっても心地よい時間になります。低学年までの子には、大人が手を添えて教えるのがおすすめです。

  1. 1

    まず犬に選ばせる

    犬の前にそっと立ち、犬が自分から近づいてきたら触ってよい合図。近づいてこない・離れるときは「今はそっとしておこう」。子どもから追いかけない。
  2. 2

    頭の上からではなく、あご下や胸を

    上から手をかぶせるように頭をなでられるのを苦手とする犬は多いです。あごの下や胸のあたりを、下からやさしくなでます。
  3. 3

    短く・そっと・数回まで

    長く触り続けず、数回なでたら手を止めます。犬がもっと寄ってきたら続け、離れたら終わり。犬に「終わらせる自由」を残します。
  4. 4

    やってはいけないことを先に伝える

    抱きつく・またがる・しっぽや耳を引っぱる・顔を近づける・大声を出して追いかける、はしない。乗ったり寝ころんだりも危険。
  5. 5

    ふれあいのあとは手を洗う

    犬とふれあったあとは石けんで手を洗う習慣を。衛生面のケアもあわせて教えます。
「なでていい?」と犬に聞いてから、あご下をそっと——を合言葉にしています。子ども自身が犬のあくびや顔そむけに気づいて『今はそっとしておくね』と離れられるようになり、犬も前より子どもに寄っていくようになりました。
小学生と犬と暮らす飼い主

子どもと犬だけにしない・逃げ場をつくる

接し方のルール以上に大切なのが環境づくりです。子どもは大人の予想を超えた動きをしますし、犬にも機嫌の波があります。ルールを完璧に守らせることは不可能だからこそ、物理的な仕組みで事故の芽を先に摘んでおきます。

今日から整えたい環境チェック

  • 乳幼児〜低学年の子どもと犬を、短時間でも二者だけにしない(トイレや来客対応で目を離すときは、どちらかを別室・サークル・ハウスへ)
  • 犬がいつでも一人になれる逃げ場(ハウス/クレート/サークル)を静かな場所に用意する
  • 逃げ場に入った犬には家族の誰も近づかない・手を入れない、と全員で約束する
  • ベビーゲートやサークルで、必要なときに犬と子どもの生活空間を分けられるようにする
  • 犬の食事・寝床・おもちゃの時間と場所を、子どもの動線と重ならないようにする
  • 来客や子どもの友だちが来る日は、あらかじめ犬をハウスや別室で休ませる

逃げ場は「閉じ込める罰の場所」ではなく、犬が自分から安心して入れる「巣」にするのがポイントです。ふだんから扉を開けておやつや落ち着ける寝床を置き、そこに入ったらそっとしておく、を徹底します。「ハウス」の合図で自分から入る練習をしておくと、来客時や子どもたちに囲まれそうなときに、さっと安全な場所へ避難させられます。

ヒント

クレートやハウスに慣らす手順は、無理に押し込むのではなく、おやつを使って少しずつ「いいことがある場所」にしていくのが基本です。具体的な慣らし方は、クレート・ハウスの記事もあわせて参考にしてください。

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子犬の甘噛み・噛み癖のしつけ|理由といつまで続くか、やめさせるコツ

赤ちゃん・未就園児がいる家庭で特に気をつけたいこと

言葉でルールを理解できない乳幼児と犬は、大人がすべての接触を仲立ちします。ハイハイやよちよち歩きの赤ちゃんは、犬の寝床やしっぽに突然近づいたり、体を支えようと毛や耳をつかんだりします。犬にとっては予測できない動きで、驚いた反応が事故につながります。ベビーゲートで生活空間をゆるやかに分け、ふれあいは大人が抱っこして間に入りながら短時間だけ、が安心です。

赤ちゃんを迎える前から犬に新しいルールや寝床の位置を少しずつ教えておくと、環境の変化によるストレスをやわらげられます。犬が赤ちゃんに近づいたときに叱ってばかりだと、「赤ちゃん=いやなことが起きる」と学んでしまうこともあります。犬が落ち着いているときにほめる・良い関係づくりを心がけましょう。

注意

犬にひっかかれた・噛まれたときは、傷が小さく見えても、まず流水と石けんでよく洗い、必要に応じて医療機関(人の傷は医師、犬の状態は動物病院)を受診してください。犬に噛まれたことは自治体の窓口へ届け出が必要な場合があります。お住まいの保健所・動物愛護担当課の案内も確認しましょう。

よくある質問

うちの犬はとても穏やかで、子どもが大好きです。それでも子どもと犬だけにしてはいけませんか。
はい、短時間でも避けるのが安全です。これは犬を信用していないからではなく、子どもの予測できない動きに対するリスク管理です。穏やかな犬でも、痛いところを急に触られたり、寝ているところに乗られたりすれば、とっさに反応することがあります。大人が間に入って見守れないときは、犬をハウスへ、または生活空間を分けてください。
犬がうなったら叱ってやめさせるべきですか。
叱らないでください。うなりは『これ以上は困る』という警告のサインで、噛む前に気持ちを伝えてくれている大切なコミュニケーションです。叱って黙らせると、警告なしにいきなり噛むようになることがあります。うなりが出たら、その原因(近づきすぎ・触りすぎ・食べ物を守りたいなど)を取り除いて距離をとり、繰り返すようなら専門家に相談しましょう。
子どもにはどう説明すればいいですか。
『犬にも、そっとしてほしい時間があるよ』と、犬の気持ちの側から伝えるのがおすすめです。ごはん中・寝ているとき・おもちゃに夢中なときは近づかない、なでるときは『なでていい?』と聞いてあご下をそっと、あくびや顔そむけが出たら離れる——を、大人が一緒に実演しながら教えると身につきやすいです。
犬が子どもを避けて逃げてばかりです。仲良くさせた方がいいですか。
無理に近づけないでください。逃げるのは『今は関わりたくない』というサインで、その気持ちを尊重することが信頼につながります。逃げ場を確保し、犬のペースで距離が縮まるのを待ちます。落ち着いて一緒の空間にいられたらほめる、を積み重ねましょう。避け方が急に強まった・体に触れると嫌がるなど気になるときは、痛みが隠れていることもあるため動物病院に相談を。

まとめ

夏休みは子どもと犬の距離が近づく分、犬が休まらず我慢が積み重なりやすい季節です。事故を防ぐ鍵は、犬をしつけで我慢させることではなく、大人が「理由」を減らし、環境を整えることにあります。食事中・睡眠中・おもちゃに夢中なとき・敏感な場所を触られたとき・追いかけられたときは手を出さない。あくびや顔そむけ、白目、うなりといったサインを読み、早めに離れる。そして、乳幼児〜低学年の子どもとは犬だけにせず、犬がいつでも逃げ込めるハウスを用意して家族で約束を共有する——。この積み重ねが、子どもと犬の両方を守り、犬を悪者にしない暮らしにつながります。気になる様子があれば、早めにかかりつけの動物病院や専門家に相談してください。

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