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犬の肛門腺絞り|必要な子・いらない子、頻度とやり方、炎症・破裂のサイン

対象の目安: 全ライフステージ

ツムギ食事・健康担当
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犬の肛門腺絞り|必要な子・いらない子、頻度とやり方、炎症・破裂のサイン

「お尻を床にこすりつけて歩く」「お尻ばかり気にして舐める」——そんな様子を見て、肛門腺絞りが必要なのかな、と気になっている方は多いと思います。肛門腺のケアは大切ですが、実はすべての犬に必要なわけではありません。この記事では、肛門腺とは何か、なぜ絞るのか、絞ったほうがよい子とそうでない子の違い、頻度の目安と自宅でのやり方、そして動物病院に相談したいサインまでを、獣医療や保険会社の情報をもとに整理します。過度に不安にならず、その子に合ったケアを見つける助けにしてください。

肛門腺(肛門嚢)とは?なぜ絞るの?

肛門腺(肛門嚢)は、肛門の左右、時計でいう4時と8時の方向にある一対の袋です。中には独特のにおいのある分泌液がたまっていて、犬同士のにおいによる個体識別(いわゆる「名刺代わり」)や、マーキングに関わるとされています。

多くの犬は、うんちをするときに肛門周りの筋肉が肛門嚢を圧迫し、分泌液を便と一緒に自然に押し出しています。つまり本来は、飼い主が絞らなくても自力で排出できる仕組みです。ところが何らかの理由でうまく出せないと、分泌液がたまり続け、においや不快感、さらには炎症の原因になります。そこで、自力で出せない子には人の手で絞ってあげるケアが必要になります。

肛門腺(肛門嚢)の位置や役割、排便時に自然に排出される仕組みは、アニコム損保「みんなのどうぶつ病気大百科」およびペトコト(獣医師監修)の解説を参考にしています。

すべての犬に必要なわけではない

肛門腺絞りは「全頭に必須のケア」ではありません。うんちと一緒に分泌液を自然に出せている子は、無理に絞る必要はなく、数か月〜半年絞らなくても問題ない子もいます。一方で、自力で出しにくく、こまめなケアが必要な子もいます。傾向としては次のとおりです。

溜まりにくい・不要なことが多い溜まりやすい・ケアが必要なことが多い
大型犬(排便時に一緒に出せていることが多い)小型犬(チワワ・トイプードルなど)
便がしっかりしていて排便が順調な子肥満気味の子、運動不足の子
若く筋力のある成犬子犬(括約筋が未発達)・シニア犬(筋力低下)

大型犬でも溜まる子はいますし、小型犬でも自力で出せる子はいます。大切なのは犬種や体格の一般論だけで決めず、その子の様子(後述のサイン)を見て判断することです。

メモ

「小型犬だから毎月絞らなきゃ」と決めつける必要はありません。逆に「大型犬だから一生不要」とも限りません。溜まっているサインが出ているか、絞ったときに分泌液が出るかを目安に、その子のペースを見つけていきましょう。

溜まっているサインと頻度の目安

肛門腺がたまってくると、犬は不快感からお尻を気にするしぐさを見せます。次のような様子が続くときは、たまっているサインかもしれません。

肛門腺が溜まっているサイン

  • お尻を床にこすりつけて歩く(スリスリ・スクート)
  • 肛門のあたりをしつこく舐める・噛む
  • お尻を気にして振り返る、座り方を気にする
  • 肛門の周りがにおう、お尻まわりが汚れる

これらは肛門腺以外(寄生虫や皮膚トラブルなど)が原因のこともあるため、サイン=必ず肛門腺、とは限りません。あくまで「気にかけるきっかけ」として捉えてください。

頻度の目安は、溜まりやすい子でおおむね月1回程度とされることが多いですが、個体差がとても大きい部分です。2週間に1回のケアが必要な子もいれば、数か月に1回でよい子、ほとんど不要な子もいます。まずは月1回を目安に絞ってみて、毎回しっかり出るなら継続、ほとんど出ないなら間隔をあける、という形でその子のペースを探るとよいでしょう。

溜まっているサイン(お尻を引きずる・舐める等)や、月1回程度を目安としつつ個体差が大きいこと、小型犬・肥満・子犬・シニアで溜まりやすい傾向は、アニコム損保・第一アイペット・ペトコト(獣医師監修)の解説に基づく一般的な目安です。適切な頻度は個々の犬で異なります。

自宅での絞り方

自宅で絞る場合の基本的な手順です。分泌液は飛び散ることがあり、においも強いので、汚れてもよい場所やお風呂場で行うのがおすすめです。爪が長いと犬を傷つけたりうまくつかめなかったりするため、短く整えてから行いましょう。

  1. 1

    犬を落ち着かせて尾を持ち上げる

    立った姿勢で、片手で尾の付け根を持ち、真上にぐっと持ち上げます。こうすると肛門が上に向き、肛門嚢の位置がつかみやすくなります。嫌がる子は誰かに支えてもらうと安心です。
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    4時・8時の位置に指を当てる

    もう片方の手の親指と人差し指を、肛門の下側、時計の4時と8時の方向に当てます。皮膚の少し奥に、しこりのような膨らみ(肛門嚢)を感じられることがあります。
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    下から上へ押し上げるように絞る

    2本の指で肛門嚢を軽くつまみ、肛門に向かって下から上へ押し上げるようにゆっくり圧をかけます。飛び散り防止に、肛門にティッシュやウェットティッシュをかぶせておくと安心です。分泌液が出れば成功です。
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    拭き取って清潔にする

    出た分泌液を拭き取り、お尻まわりを清潔にします。お風呂場なら、そのまま洗い流してシャンプーの前に行うと後片付けが楽です。終わったらしっかりほめてあげましょう。

注意

強く押しすぎたり、何度も繰り返したりすると、かえって肛門周りを傷めたり炎症の原因になることがあります。うまく出ないときは無理をせず中断してください。位置や力加減がわからない、絞っても出ている手応えがないというときは、動物病院やトリミングサロンで教われば、次からの自宅ケアもぐっとやりやすくなります。
最初は位置がわからず、こわごわやっていました。トリミングのときにトリマーさんに一度見せてもらってから、お風呂ついでに絞れるようになりました。無理せずプロに頼るのも一つだと思います。
トイプードルの飼い主

うまくできない・嫌がるとき、そして受診の目安

自宅でのケアが難しくても、まったく問題ありません。肛門腺絞りは、多くの動物病院やトリミングサロンでお願いできます。特に、指がうまく届かない、犬が激しく嫌がる、絞っても出ているのかわからないというときは、無理をせずプロに任せましょう。定期的なトリミングやシャンプーのタイミングで一緒にお願いするのも、続けやすい方法です。

一方で、次のようなサインがあるときは、単なる「溜まり」ではなく肛門嚢炎や破裂などのトラブルの可能性があります。ケアの範囲を超えているので、早めに動物病院を受診してください。

危険

お尻(肛門の横)が赤く腫れている・しこりがある、肛門から膿や血が出ている・皮膚が破れている、強く痛がって触らせない・座れない・急に怒りっぽくなる、といったときは自宅で絞ろうとせず、すぐ動物病院へ相談してください。分泌液がうまく排出できずに炎症・化膿が進むと、肛門の皮膚が破れて膿や血が出る「肛門嚢破裂」に至ることがあります。

肛門嚢炎は、下痢や便秘、加齢、肥満などで分泌液の排出がうまくいかず、細菌感染が加わって起こるとされています。初期であれば内服薬で治療できることが多いですが、膿がたまって痛みが強い場合は、切開して膿を出す処置が必要になることもあります。早く気づいて相談するほど、犬の負担も軽くなります。

肛門嚢炎・肛門嚢破裂の症状(腫れ・排膿・痛み)や原因(排出不良・細菌感染)、初期は内服・重症は切開処置という一般的な流れは、アニコム損保「みんなのどうぶつ病気大百科(肛門嚢炎)」および夕やけの丘動物病院の獣医師解説を参考にしています。診断・治療は動物病院の判断によります。

よくある質問

肛門腺絞りは全部の犬に必要ですか。
いいえ。うんちと一緒に分泌液を自然に出せている子は、無理に絞る必要はありません。大型犬や排便が順調な子は不要なことも多いです。一方、小型犬・肥満気味・子犬・シニアなどは溜まりやすい傾向があり、ケアが必要なことがあります。お尻を気にするサインが出るか、絞って出るかを目安に判断しましょう。
どのくらいの頻度で絞ればいいですか。
溜まりやすい子で月1回程度が一つの目安ですが、個体差がとても大きいです。2週に1回必要な子も、数か月に1回でよい子もいます。まず月1回試して、毎回しっかり出るなら継続、ほとんど出ないなら間隔をあける、と様子を見て調整してください。
絞らないとどうなりますか。
自力で出せない子で放置すると、分泌液がたまり続けて炎症や化膿を起こし、悪化すると肛門の皮膚が破れる肛門嚢破裂に至ることがあります。ただし自力で出せている子まで無理に絞る必要はありません。サインを見て、必要な子に必要なケアをするのが基本です。
自分で絞るのが怖いです。やらないとダメですか。
無理に自宅でやる必要はありません。動物病院やトリミングサロンで絞ってもらえます。シャンプーやトリミングのついでにお願いすると続けやすいです。一度プロにやり方を見せてもらうと、自宅ケアのハードルも下がります。
お尻をこすりつけるのは必ず肛門腺のせいですか。
必ずしもそうとは限りません。寄生虫や皮膚トラブル、便の付着などでも似たしぐさが出ます。肛門腺を絞っても改善しない、腫れや出血・強い痛みがあるといった場合は、ほかの原因も考えられるため動物病院に相談してください。

まとめ

肛門腺(肛門嚢)は肛門の左右にある分泌液の袋で、多くの犬は排便時に自然に出せています。だからこそ、肛門腺絞りはすべての犬に必要なケアではありません。うんちと一緒に出せている子は無理に絞らず、小型犬・肥満気味・子犬・シニアなど溜まりやすい子には、サインを見ながらケアをしてあげましょう。頻度は月1回程度が目安ですが個体差が大きく、その子のペースを探ることが大切です。

自宅で絞るときは、尾を持ち上げて4時・8時の位置を下から上へ押し上げるのが基本。うまくできない・嫌がるときは無理をせず、動物病院やサロンに頼って構いません。そして、お尻の腫れ・出血・強い痛みなど、肛門嚢炎や破裂を思わせるサインがあれば、早めに動物病院を受診してください。気になることがあれば、まずはかかりつけの獣医師に相談するのが安心です。

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