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犬のフィラリア予防はいつまで?|秋の訪れが遅い2026年に確かめたい最終投薬の時期と、飲み忘れ・翌春の検査

対象の目安: 全ライフステージ

ツムギ・食事・健康担当
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犬のフィラリア予防はいつまで?|秋の訪れが遅い2026年に確かめたい最終投薬の時期と、飲み忘れ・翌春の検査

9月も半ばになると、動物病院で受け取った予防薬の箱が残り少なくなってきて、「もうそろそろやめてもいいのかな」と考え始める方も多いと思います。朝晩はいくらか過ごしやすくなっても、昼間はまだ半袖で、夕方の散歩では蚊が寄ってくる。今年はとくに、そんな「秋なのに夏のような日」が長く続くかもしれません。

気象庁が2026年8月25日に発表した3か月予報では、9月から11月の平均気温は全国的に平年より高い見込みとされ、日本気象協会の解説も「秋の訪れは遅い」と伝えています。フィラリア予防薬は、その仕組みから「最後の1回」がとても大切な薬です。蚊の季節が長引きそうな年だからこそ、やめ時を感覚で決めずに、かかりつけの動物病院と一緒に確かめておきたいところです。

この記事では、夏から予防を続けてきた子犬・成犬・シニア犬の飼い主さんに向けて、予防をいつ終えるかを考えるための材料を整理します。予防薬の種類の比較や、予防を始める時期の話は扱いません(夏の予防の基本はこちらの記事にまとめています)。投薬の終了時期や飲み忘れへの対応は、犬の状態や地域、使っている薬で変わります。最終的な判断は必ずかかりつけの動物病院にゆだねてください。

なぜ2026年は「いつまで」を丁寧に確かめたいのか

気象庁が2026年8月25日に発表した3か月予報(対象期間は9月から11月)では、3か月の平均気温が北日本・東日本で「高い」確率60%、西日本と沖縄・奄美で「高い」確率50%とされました。月ごとに見ても、10月は全国で、11月は北・東・西日本で「高い」確率50%と、秋を通して暖かい傾向が続く見通しです。

日本気象協会(tenki.jp)の気象予報士による解説では、この予報を「9月から11月も気温が高い状態続く 秋の訪れは遅い」とまとめ、10月も平年より高い所が多く30℃を超えるような日もあり、紅葉の色づきも遅れる可能性があること、11月も平年より高い所が多く、北海道などで雪の便りが遅れる可能性があることにも触れています。背景として、冬まで続く見込みのエルニーニョ現象や地球温暖化の影響で、熱帯域を中心に大気全体の温度が高いことが挙げられています。

さらに、9月10日に発表された1か月予報(9月12日から10月11日)でも、平均気温は北日本・西日本で「高い」確率60%、東日本で「高い」確率50%となっています。

3か月予報・1か月予報の確率は、気象庁「季節予報」ページで公開されている2026年8月25日発表の3か月予報と、2026年9月10日発表の1か月予報の内容に基づきます。季節予報は更新されるため、最新の見通しは気象庁のページで確認してください。「秋の訪れは遅い」という表現と月ごとの解説は、日本気象協会 tenki.jp の2026年8月25日の解説記事によります。

もちろん、季節予報は「平年と比べてどうなりそうか」という確率の話で、あなたの住む街で蚊がいつ消えるかを教えてくれるものではありません。ただ、暖かい秋は蚊が活動しやすく、後で説明するように蚊の体内でフィラリアの幼虫が育つ条件も長く続きやすくなります。「例年この月でやめていたから」という去年までの感覚が、今年もそのまま当てはまるとは限らない、というのが今年の注意点です。

予防薬は「後から駆除する薬」という仕組み

フィラリア(犬糸状虫)は蚊が媒介する寄生虫です。いわゆる「予防薬」について、埼玉県獣医師会は、投与した先の日々を予防してくれると思いがちだが、実際は蚊に刺されて犬の体内に入り、1か月たった感染子虫を退治していく駆除薬であり、1か月遅れて退治していくことになる、と説明しています。

製薬会社の物産アニマルヘルスも、フィラリアが体内に入ってから心臓や肺の血管へ移動する準備が整うまでに2か月くらいかかり、皮膚の下で成長している間に全滅させるために「1か月に1度」というタイミングが定められている、と解説しています。米国犬糸状虫症学会(AHS)の飼い主向けページでも、予防薬は、過去1か月、あるいはそれより前にすでに感染したフィラリアを駆除することで働くため、決まった時期に毎回きちんと与える必要がある、とされています。

注意

この仕組みを知ると、「最後の1回」の意味が見えてきます。蚊を見かけなくなった時点で投薬をやめてしまうと、その直前の1か月ほどに体内へ入った幼虫を駆除する機会がなくなります。物産アニマルヘルスの解説でも、「蚊を見なくなった」「涼しくなった」と勝手に判断して投薬をやめてしまうことは、半年以上続けてきた予防の努力をムダにしてしまうとして、避けるべきこととされています。

予防薬が「1か月たった感染子虫を退治していく駆除薬」であることは埼玉県獣医師会「今さら?フィラリア予防Q&A」、体内移動の準備に2か月ほどかかることと月1回の理由、自己判断での中止を避けるべきことは物産アニマルヘルス「犬のフィラリア症の予防(投薬)について」、予防薬が過去1か月以上前の感染を治療する働きであることはAHS「Heartworm Prevention for Dogs」に基づきます。

終了の目安「蚊を見かけなくなってから約1か月後」

埼玉県獣医師会と物産アニマルヘルスは、どちらも予防の終了時期の目安を「蚊を見かけなくなってから1か月後」としています。あわせて、地域や気候によって時期は異なるため、かかりつけの動物病院へ相談するよう呼びかけています。埼玉県獣医師会は、蚊を見かけなくなると投与を忘れてしまう方が多い、とも注意しています。

ここで一つ、知っておくと判断が楽になる考え方があります。それが「HDU」です。

HDUは「蚊の体内で幼虫が育つための暖かさの貯金」

蚊が犬の血を吸ってフィラリアの子虫(ミクロフィラリア)を取り込んでも、すぐに次の犬へうつせるわけではありません。子虫は蚊の体内で成長し、感染できる段階(感染幼虫)になって初めて、次に刺した犬へうつります。この成長には一定の暖かさが必要です。

AHSのガイドラインでは、3種類の蚊について、気温がおよそ14℃を下回ると幼虫の成長が止まることが示されたとしています。また、気温27℃・湿度80%の条件では成長に約10日から14日かかり、涼しいほど長くかかるとされています。

この「成長に必要な暖かさの積み重ね」を数値にしたのがHDU(Heartworm Development heat Unit)です。物産アニマルヘルスが公開している算出方法は次のとおりです。

項目考え方
1日HDUその日の平均気温(最高気温と最低気温の平均)から14℃を引いた値。マイナスの日は0として数える
感染開始1日HDUを足していき、130を超えた日
感染終了直近30日の合計HDUが130を切った時点

米国の研究者らによる2012年の論文(Parasites & Vectors)でも、14℃を発育の閾値とし、感染幼虫になるまでに130の積算温度が必要という計算が紹介されています。一方、AHSのガイドラインは、こうした予測が媒介する蚊の寿命を1か月程度と仮定しているのに対し、蚊の種類によっては数か月生きるものもあると指摘しています。

HDUの算出式(14℃・130・直近30日)は物産アニマルヘルス「犬フィラリア症 HDU算出方法」、14℃未満で幼虫の成長が止まることと27℃・湿度80%で約10日から14日という数値はAHS Canine Guidelines(2024年改訂版)、閾値14℃と130という積算温度はBrownら(2012)の論文に基づきます。予測が蚊の寿命を1か月と仮定していることと、より長く生きる種類がいるという指摘もAHS Canine Guidelinesによります。

HDUで見る地域差

物産アニマルヘルスは、都道府県庁所在地(一部を除く)の気象台の1997年から2011年までの15年間の気温データをもとに、HDUから推定した地域ごとの感染期間を公開しています。いくつかの地点を抜き出すと、終わりの時期がこれほど違います。

地点推定感染期間(15年間の平均)15年間で最も遅い推定感染終了日
札幌6月28日から10月2日10月7日
東京5月15日から11月5日11月13日
大阪5月11日から11月9日11月17日
福岡5月11日から11月10日11月20日
鹿児島4月27日から11月21日12月3日
沖縄2月8日から12月29日12月31日(周年投薬とされている)

予防薬は感染期間が終わってから約1か月後まで続けるのが基本なので、たとえば東京の平均的な年にこの考え方をあてはめると、最後の投薬は12月上旬ごろが一つの目安になる計算です(実際の最終月は、使っている薬や地域の状況をふまえたかかりつけの指示に従ってください)。同じ関東でも、長野(平均の推定感染終了は10月15日)と千葉(同11月4日)では3週間近い差があります。

メモ

この表は、あくまで「過去の気温から推定した目安」です。物産アニマルヘルス自身も、HDUによる感染期間は目安であり、実際の投薬期間は獣医師の指導に基づくようにと明記しています。データは2011年までのものなので、近年の暑さや今年の暖かい秋はそのまま反映されていません。暖かい年ほど、表の日付より後ろにずれる可能性があると考えておくと安全です。

都市の「ヒートアイランド」と、冬を越す蚊

AHSのガイドラインは、HDUのような気候データによるモデル予測について、学術的には魅力的だが、局地的な気候(マイクロクライメート)や蚊の習性、蚊の寿命、気温の変動などを考慮できていないことが多い、と注意を促しています。

たとえば都市部では、建物や駐車場が昼間の熱をため込む「ヒートアイランド」によって、寒い時期にも蚊の体内で幼虫が育てる環境ができ、感染の季節が長くなりうるとされています。寒い時期に感染は減るものの、こうした都市部の局地的な環境を考えると感染のリスクはゼロにはならないと考えられる、としたうえで、成虫のまま冬を越す蚊の種類がいることにも触れています。マンションの植え込みや、雨水のたまった植木鉢の受け皿の近くで秋遅くまで蚊に刺されるという経験がある方は、ご自宅の周りの環境もかかりつけに伝えてみてください。

2026年の最終投薬を決めるときの進め方

では、今年はどう考えればよいのでしょうか。大切なのは、飼い主さんが自分で「何月まで」と決めることではなく、判断に必要な情報をそろえて、かかりつけの動物病院と一緒に決めることです。

  1. 1

    かかりつけが示した予定を確認する

    春に予防を始めたとき、多くの場合は「何月から何月まで」「全部で何回」という予定が示されています。お薬手帳や明細、薬の袋を見返し、予定の最終月がいつになっているかを確認しましょう。予定より早く手元の薬がなくなりそうなら、残り回数を数えて早めに連絡します。
  2. 2

    自己判断で早めに切り上げない

    「涼しくなった」「最近蚊を見ない」は、やめてよい合図にはなりません。先に説明したとおり、最後の投薬はその前の1か月ほどに入った幼虫を駆除するためのものです。予定より早くやめたいと思ったときは、その理由も含めて動物病院に相談してください。
  3. 3

    今年の天気と暮らしの変化を伝える

    暖かい秋が続いている、11月に入っても蚊に刺された、秋に暖かい地域へ旅行や帰省をする、といった情報は判断材料になります。物産アニマルヘルスは、寒い地域から暖かい地域へ移動した場合は投薬期間をのばす必要があるとしています。引っ越しや長期の滞在予定があれば必ず伝えましょう。
  4. 4

    病院の方針を聞き、最終投薬日を記録する

    地域の状況や犬の生活環境によって、終了時期の考え方や、通年での予防をすすめるかどうかは病院ごとに異なります。決まった最終投薬日はカレンダーやスマートフォンのリマインダーに入れ、家族とも共有しておきます。最後の月は忙しい年末に重なりやすく、うっかりが起きやすい時期です。
去年は11月に入ったら蚊を見なくなったので、残りの1回を飲ませるか迷いました。病院に聞いたら「最後の1回が一番大事」と言われて、12月分まで飲ませました。今年は最初から最終月をカレンダーに書いています。
東京近郊で成犬と暮らす飼い主

最終月の飲み忘れ・吐き戻し・体重の変化

シーズンの終わりは、投薬の習慣がゆるみやすい時期でもあります。困ったときにあわてないよう、基本の考え方を知っておきましょう。

飲み忘れ・投薬が遅れたとき

AHSは飼い主向けのページで、月1回の薬を1回飲み忘れたり、遅れて与えたりするだけでも、犬が守られていない状態になりうるとしています。ガイドラインでも、経口や滴下の予防薬は30日間隔で投与するよう表示されていて、その間隔を超えると体内で育った幼虫への効果が下がり、予測できなくなると説明されています。

物産アニマルヘルスの解説では、数日のずれは許容範囲としつつ、遅れても確実に飲ませるよう呼びかけています。ただし、どのくらいの遅れなら問題ないか、次の投薬をどうするかは、使っている薬や遅れた期間によって変わります。気づいた時点で動物病院に連絡し、指示を受けてください。

1回の飲み忘れや遅れでも守られていない状態になりうることはAHS「Heartworm Basics」、経口・滴下の予防薬が30日間隔で表示され、それを超えると効果が下がり予測できなくなることはAHS Canine Guidelines(2024年改訂版)、数日のずれは許容範囲としつつ遅れても確実に飲ませるよう呼びかけていることは物産アニマルヘルス「犬のフィラリア症の予防(投薬)について」に基づきます。

注意

飲み忘れに気づいても、自己判断で2回分をまとめて与えたりせず、いつ・どの薬を与えるかは動物病院の指示を受けてからにしてください。また埼玉県獣医師会は、飲み忘れがあった場合でも、感染子虫が成虫になるまでに6か月かかるため、飲み忘れた月から6か月以上たたないと検査で感染を確認できないと説明し、その後も残りの予防期間の投与は続けるべきとしています。「どうせ検査できないなら」と途中でやめず、残りの予定を守ることが大切です。

吐いた・吐き出したとき

物産アニマルヘルスは、内服薬を飼い主の見ていないところでごくまれに吐き出すことがあり、吐き出した場合は予防の効果が見込めないため、投薬後しばらくは気をつけるよう呼びかけています。

  • 与えたあとは、しばらく様子を見られるタイミングで投薬する。
  • 床やクレートの中に薬のかけらが落ちていないか確認する。
  • 投薬後に吐いたときは、吐いた時間と、薬の形が残っていたかをメモして動物病院に連絡する。
  • もう1回分を自己判断で与えない。

薬を嫌がって吐き出してしまう子には、飲ませ方の工夫で解決できることもあります。

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体重が変わったとき(子犬・シニア犬は特に)

予防薬は体重に応じた量で処方されます。AHSのガイドラインでも、経口薬は処方された体重の範囲ごとに包装されていると説明されています。春に処方を受けたときと比べて体重が大きく変わっていると、手元の薬の量が今の体に合っていない可能性があります。

  • 子犬: 成長期は数か月で体重が大きく増えることがあります。春に処方された薬のサイズのまま秋を迎えていないか、残りの薬を使う前に動物病院で体重を測ってもらいましょう。
  • 成犬: 夏に食欲が落ちてやせた、あるいは秋に食欲が増えて体重が増えた、という変化も伝えておくと安心です。
  • シニア犬: 体重の減少や持病、ほかに飲んでいる薬があるときは、最終月の投薬の前に一度相談を。体調を崩しているときの投薬も、自己判断せず確認してください。

体重を家で正確に把握する方法やBCS(ボディコンディションスコア)の見方は、次の記事で紹介しています。

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米国は通年予防を推奨、日本は季節投与の考え方が一般的

AHSは2024年改訂版のガイドラインで、米国食品医薬品局(FDA)が承認した予防薬を、感染を防ぐためと飲ませ忘れを減らすために一年を通して投与するよう獣医師に推奨しています。理由として、次のような点が挙げられています。

  • 1回の飲み忘れや遅れでも感染しうるため、通年で続けることは、うっかり投薬が遅れたり抜けたりしたときの部分的な安全策になる。
  • 都市部のヒートアイランドや冬を越す蚊などにより、寒い時期でも感染のリスクがゼロにはならないと考えられる。
  • 予防薬への耐性をもつフィラリアの集団が確認されており、確実な投与の重要性が増している。

一方、日本の獣医師会や製薬会社の飼い主向け解説では、蚊の時期に合わせて投薬を始め、蚊がいなくなってから約1か月後に終える季節投与の考え方が紹介されています。HDUによる地域別の目安も、この季節投与を前提にしたものです。ただし、同じ日本でも沖縄のように周年投薬とされている地域があり、動物病院によって方針は異なります。

なお、AHSのガイドラインは、季節投与を選ぶ場合について、感染の季節が始まる少なくとも1か月前には投与を始め、使う製品によっては表示の要件を満たすために、感染が通常おさまった後も最大6か月続ける必要がある場合がある、とも記しています。これは米国の製品についての記述ですが、「最後はいつか」が使っている薬によっても変わりうることを示しています。最終投薬の時期は、薬の説明とかかりつけの指示で確認しましょう。

どちらが正しいというより、住んでいる地域の気候や感染の状況、犬の生活環境、飼い主さんが毎月の投薬を続けやすいかどうかによって、合う方法が変わると考えるのがよさそうです。「うちの子は通年のほうがいいのか」「季節投与で十分か」は、かかりつけの獣医師に聞いてみてください。

通年予防の推奨、1回の飲み忘れや遅れでも感染しうること、通年投与が投与の遅れや抜けへの部分的な安全策になること、ヒートアイランドや越冬する蚊によって冬もリスクがゼロにならないと考えられること、耐性をもつ集団が確認されていること、季節投与を選ぶ場合の開始時期と製品によって最大6か月の継続が必要な場合があることは、AHS Canine Guidelines(2024年改訂版)に基づきます。米国の予防薬や承認制度を前提にした内容で、日本で使われている薬の用法をそのまま示すものではありません。

翌春の投薬前検査にはどんな意味があるのか

予防を終えて冬を越し、翌年また予防を始めるとき、多くの動物病院では投薬前に血液検査をすすめます。「去年ちゃんと飲ませたのに、なぜ毎年?」と思うかもしれませんが、この検査には秋冬の予防とつながる大切な意味があります。

秋の終わりの感染は、翌春まで見つけにくい

MSD獣医マニュアルの飼い主向け解説では、抗原検査は雌の成虫しか検出できないため、感染の初期は見つけられないとしています。そのうえで、7か月齢以上の犬で予防を始める場合は、感染していないことを確かめる抗原検査をし、フィラリアの発育に約6か月かかることから、6か月から7か月後にもう一度検査することがすすめられています。

つまり、もし秋の終わりに最後の投薬が抜けたり、吐き出していたりして感染していた場合、それが検査でわかるようになるのは早くても翌年の春から初夏ごろ、ということになります。翌春の検査は、前のシーズンの予防がきちんと最後まで効いていたかを確かめる「答え合わせ」の役割を持っています。ただし、飲み忘れや吐き出しがあった時期から検査までの期間が短いと、感染していても検査で見つけられないことがあります。そうした心当たりがある場合は、検査の時期や再検査の必要性についても動物病院に相談してください。

感染したまま予防薬を飲むリスク

埼玉県獣医師会は、前の年の予防薬が残っているということは予防が不十分で感染している可能性があるとして、必ず検査を受けて感染していないことを確認してから投与するよう求めています。そして、感染した状態で予防薬を飲むとショック症状を起こし、最悪の場合は亡くなってしまうこともあると注意しています。AHSのガイドラインも、感染の有無を確かめる検査をせずに予防薬を処方・投与することは推奨しないとし、年1回の抗原検査とミクロフィラリア検査を推奨しています。

注意

今年余った予防薬を、翌春に検査を受けずに自己判断で飲ませるのはやめましょう。薬には使用期限もあり、体重が変わっていれば量も合わなくなります。残った薬があることは、翌春の受診時に伝えてください。

翌春の検査で動物病院に伝えたいこと

  • 今シーズンの最終投薬日と、使った薬の名前
  • 飲み忘れや投薬の遅れ、吐き出しがあった月
  • 秋冬に暖かい地域へ旅行・帰省・引っ越しをしたか
  • 11月以降に蚊に刺された、家の周りで蚊を見たか
  • 体重の変化、持病や新しく始めた薬
  • 手元に残っている予防薬の数

投薬前検査やワクチンと合わせた健康診断の考え方は、次の記事もあわせてどうぞ。

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よくある質問

蚊を見なくなりました。もう予防薬をやめてもいいですか。
蚊を見なくなったことは、やめてよい合図にはなりません。予防薬はその前の1か月ほどに体内へ入った幼虫を後から駆除する薬なので、埼玉県獣医師会などは終了の目安を蚊を見かけなくなってから約1か月後としています。最終月は地域や今年の気候によって変わるため、かかりつけの動物病院に確認してください。
2026年は秋が暖かいそうですが、投薬を1か月延ばしたほうがいいですか。
気象庁の3か月予報(2026年8月25日発表)では9月から11月の平均気温が全国的に平年より高い見込みで、蚊の季節が長引く可能性はあります。ただし、何月まで続けるかは住んでいる地域の状況や病院の方針、犬の生活環境で決まります。自己判断で延ばしたり短くしたりせず、今年の天気や蚊に刺された経験を伝えたうえで動物病院に相談してください。
最後の月の薬を飲ませ忘れました。どうすればいいですか。
2回分をまとめて与えたりせず、気づいた時点で動物病院に連絡して指示を受けてください。対応は使っている薬や遅れた期間によって変わります。感染していたかどうかは、感染子虫が成虫になるまで約6か月かかるため、すぐには検査でわかりません。翌春の検査のときに、飲み忘れがあったことを必ず伝えましょう。
投薬のあとに吐いてしまいました。もう1回飲ませるべきですか。
自己判断でもう1回分を与えるのは避けてください。吐き出した場合は予防の効果が見込めないと説明されていますが、吐いたタイミングや薬が形のまま出たかによって対応が変わります。吐いた時間と様子をメモして、動物病院に相談してください。何度も吐く、元気がないなど体調の変化があるときは早めの受診を。
余った予防薬は来年の春に使えますか。
検査を受けずに自己判断で使うのはやめましょう。埼玉県獣医師会は、残った薬を使う場合も必ず検査で感染していないことを確認してからにするよう求めています。感染した状態で予防薬を飲むとショック症状を起こすことがあるためです。使用期限や、体重の変化で量が合わなくなることもあるので、翌春の受診時に残っていることを伝えてください。
室内で過ごす時間が長いシニア犬でも、最後まで続ける必要がありますか。
蚊は室内にも入ってくるため、室内中心の暮らしでも感染の可能性はあります。一方で、シニア犬は持病やほかの薬、体重の減少などで配慮が必要なこともあります。やめるかどうかを自分で決めるのではなく、今の体調を伝えたうえで、最終月までの投薬をどうするか動物病院と相談してください。

最終投薬までのチェックリスト

  • かかりつけが示した予防の最終月と、残りの回数を確認した
  • 最終投薬日をカレンダーやリマインダーに入れ、家族と共有した
  • 暖かい秋が続いていることや、秋に蚊に刺されたことを病院に伝えた
  • 秋冬の旅行・帰省・引っ越しの予定があれば相談した
  • 子犬の成長やシニア犬の体重減少など、体重の変化を確認した
  • 投薬後しばらく様子を見て、吐き出していないか確認している
  • 飲み忘れや吐き戻しがあったら、2回分を与えず病院に連絡すると決めている
  • 翌春の投薬前検査で伝えることをメモした

まとめ

フィラリア予防薬は、蚊に刺されて体内に入った幼虫を約1か月後にまとめて駆除する薬です。だからこそ、シーズンの終わりの1回が、それまでの予防を完成させる大切な1回になります。終了の目安は「蚊を見かけなくなってから約1か月後」とされ、HDUによる推定では、その時期は札幌と鹿児島で1か月半以上、札幌と沖縄ではおよそ3か月違います。

2026年は、気象庁の3か月予報で9月から11月も全国的に平年より暖かい見込みとされ、例年の感覚でやめ時を決めると、蚊の季節の終わりと合わなくなるかもしれません。最終月は自己判断で切り上げず、地域の状況とかかりつけの方針をもとに決めましょう。最後の月に飲み忘れや吐き戻し、体重の変化があったときは、2回分を与えたりせず、まず動物病院へ連絡を。そして翌春の投薬前検査は、今年の予防が最後まで効いていたかを確かめる答え合わせです。

この記事の内容は一般的な情報で、診断や治療、個別の投薬計画に代わるものではありません。咳が出る、運動をすぐ嫌がる、呼吸が苦しそうなど気になる様子があるときや、予防の続け方に迷ったときは、かかりつけの動物病院に相談してください。

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出典・参考

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