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犬の銅蓄積性肝炎(銅関連肝炎)とは|UC Davisがラブラドールで新研究。肝臓の数値が正常でも進む理由と、診断・治療・フードの銅をめぐる議論

対象の目安: 成犬〜シニア犬

ツムギ・食事・健康担当
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犬の銅蓄積性肝炎(銅関連肝炎)とは|UC Davisがラブラドールで新研究。肝臓の数値が正常でも進む理由と、診断・治療・フードの銅をめぐる議論

健康診断の結果を聞きに行ったら、「肝臓の数値が少し高いですね。また測りましょう」と言われた。元気も食欲もあるのに、と戸惑った経験のある方は少なくないと思います。肝臓の数値が上がる理由はたくさんあり、その多くは深刻なものではありません。ただ、そのなかには、症状がほとんど出ないまま少しずつ進む病気もあります。そのひとつが、肝臓に銅がたまって炎症を起こす「銅蓄積性肝炎」です。

2026年9月、米国カリフォルニア大学デービス校(UC Davis)の獣医学部が、ラブラドール・レトリーバーのこの病気について、原因を調べ、血液で見つける方法を探る研究を紹介し、参加する犬を募集していると発表しました。発表の中心にあったのは、「肝臓の数値がまったく正常で、元気に見える犬にも、肝臓に銅がたまっていることがある」という話です。

この記事では、このニュースをきっかけに、銅蓄積性肝炎がどんな病気か、どの犬種で多いとされているか、なぜ気づきにくいのか、どうやって診断し治療するのか、そしてドッグフードの銅をめぐって米国で続いてきた議論を、獣医学の専門資料をもとに整理します。最後に、健康診断で肝臓の数値が高いと言われたときの考え方と、動物病院での相談のしかたをまとめます。

メモ

この記事は、銅蓄積性肝炎という病気と、それをめぐる最新の研究や議論を知るための整理です。肝臓の数値が高い理由の判断、検査や治療、食事の変更は、必ず診察にもとづいて獣医師と相談しながら進めてください。

2026年9月、UC Davisがラブラドールの研究で参加犬を募集

UC Davisの獣医学部(Weill School of Veterinary Medicine)は2026年9月14日付のニュースで、ラブラドール・レトリーバーの銅関連肝障害(copper hepatopathy)の研究を紹介しました。米国ケネルクラブの犬の健康財団(AKC Canine Health Foundation)の助成を受けた研究で、血液を使った新しい技術で病気の成り立ちを調べ、体に負担の少ない(非侵襲的な)診断方法をつくることを目指しています。

同財団の研究紹介ページによると、研究の概要は次のとおりです。

項目内容
研究の名前ラブラドール・レトリーバーの銅関連肝障害の特徴づけ: マルチオミクス解析による研究
研究代表者タリニ・ウラル獣医師(UC Davis)
助成額・期間23万3,211ドル。2025年10月1日〜2028年9月30日
比べる3つのグループ(1) 銅関連肝障害のラブラドール、(2) 免疫が関わる慢性肝炎のラブラドール、(3) 健康なラブラドール
調べること遺伝子(DNA)、RNA、代謝物、銅と結びついたたんぱく質、遊離した銅の測定など
目指すこと血液検査で、銅関連肝障害を見つけ、免疫が関わる慢性肝炎と見分ける目印(バイオマーカー)を探す
飼い主にお願いすること症状の質問票への記入、ふだん食べているフードのサンプルの持参、血液と肝臓の採取への同意

UC Davisのニュースによると、研究への参加を後押しするため、参加する犬の肝生検の費用はまかなわれるとしています。

ニュースでは、エリーという若いラブラドールの例が紹介されています。飼い主は健康な対照グループとして研究に参加させたところ、ふつうの血液検査では肝臓の数値がまったく正常だったにもかかわらず、肝臓に過剰な銅の蓄積が見つかりました。飼い主は「思いがけず銅の病気が見つかり、いまは治療して健康を保てる」と話しています。

研究代表者のウラル獣医師は、「この病気はとても多く、そしてとても気づかれにくい。肝臓の数値がまったく正常で、体調もすっかり良いまま末期まで進み、そのときにはもう手遅れということがある」と述べ、遺伝なのか、環境や食事なのか、その両方なのかを突き止めること、そしてもっと効果的に見つけられるようにすることが必要だとしています。

研究の目的・3つのグループ・調べる項目・助成額と期間・研究代表者・飼い主にお願いすることは、AKC Canine Health Foundationの研究参加案内ページと助成研究の概要ページ、エリーの事例・ウラル獣医師の発言・肝生検の費用の扱いは、UC Davis Weill School of Veterinary Medicineのニュース「Tackling a Hidden Threat: New Study Aims to Defeat Copper Hepatopathy in Labradors」(2026年9月14日)に基づきます。同ニュースは自動アクセスの制限により、この記事ではリンクを掲載していません(同じ内容は獣医師向けニュースサイトdvm360でも報じられています)。

ヒント

この研究は、米国カリフォルニア州の大学病院で行われている臨床研究です。血液で見分ける方法はまだ研究の段階で、いま日本の動物病院で受けられる検査が変わったわけではありません。ニュースから受け取りたいのは、「肝臓の数値が正常でも、銅がたまっていることがある」という事実と、それを見つけるための研究が進んでいるということです。

銅蓄積性肝炎とは、どんな病気か

銅は、体に欠かせないミネラルです。エネルギーをつくる酵素や、体を酸化から守る酵素、コラーゲンや毛の色素をつくる働きなどに使われます。足りなくても多すぎても体に害が出るため、ふだんは量がきっちり調整されています。

食事からとった銅は腸で吸収され、肝臓に運ばれます。余った銅は、肝臓から胆汁といっしょに腸へ出され、便として体の外に出ていきます。この「出す」しくみがうまく働かなかったり、入ってくる銅が多すぎたりすると、肝臓の細胞のなかに銅がたまっていきます。

たまりすぎた銅は、細胞を傷つける活性酸素を生み、細胞のなかの発電所であるミトコンドリアを傷め、肝臓の細胞を死なせます。そこから炎症が起き、長く続くと肝臓が硬くなる線維化、さらに肝硬変へと進むことがあります。これが犬の銅蓄積性肝炎です。

ACVIMのコンセンサス(専門医パネルによる診断と治療の指針、2019年)は、犬の慢性肝炎を起こす中毒性の原因のうち最も多いのが肝臓への銅の蓄積だとし、肝臓を傷める原因として多く、しかも治療できるものなので、肝生検ではすべて銅の異常を評価するべきだとしています。UC Davisの研究者らによる2025年の総説は、慢性肝炎の犬の3分の1が銅関連の慢性肝炎と推定されていると紹介しています。

銅の働き、肝臓での銅の処理と、たまった銅が肝臓を傷つけるしくみは、Ullalらの総説(Front Vet Sci 2025)に基づきます。最も多い中毒性の原因であることと、すべての肝生検で銅を評価すべきという点は、ACVIMのコンセンサス(Webster CRL, et al. J Vet Intern Med 2019)によります。

メモ

この病気は、資料によって「銅蓄積性肝障害」「銅関連(性)慢性肝炎」「銅関連肝障害」などと呼ばれ方が違います。英語でもcopper-associated hepatopathy(CAH)、copper-associated chronic hepatitis(CuCH)などの表記があります。この記事では、見出しなどでは「銅蓄積性肝炎」とし、出典の記述を紹介するときは出典の言い方に合わせています。

人のウィルソン病との違い

人にも、肝臓などに銅がたまる「ウィルソン病」という遺伝性の病気があります。前述の総説は、犬の銅関連慢性肝炎と人のウィルソン病を比べ、次のような違いを挙げています。

  • 人のウィルソン病は、銅を運ぶATP7Bという遺伝子の変異で起こる。犬では、遺伝子の変異の役割はより小さく、食事からとる銅の多さの影響が大きいかもしれない
  • 人では脳や目、腎臓、心臓などにも症状が出ることがあるが、犬の症状はおもに肝臓に限られる
  • 人で使われている、治療の効果を体に負担なく確かめる検査の多くが、犬ではまだ使えない
  • 治療は、どちらも銅を体の外に出す薬と、食事の銅の制限が中心。ただし人で行われる肝移植は、犬では選択肢にならない

最後の点は、同じ総説が「早く正確に診断して、すぐに治療を始めることが大切だ」と強調している理由でもあります。

Ullalらの総説「Comparative review of copper-associated chronic hepatitis in dogs and Wilson disease in humans」(Front Vet Sci 2025)の要旨と本文に基づきます。

好発犬種と、遺伝・食事の関係

ACVIMのコンセンサスは、銅関連の慢性肝炎は雑種を含むどの犬種にも起こりうるとしたうえで、ベドリントン・テリア、ダルメシアン、ラブラドール・レトリーバー、ドーベルマン、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアを好発犬種に挙げています。MSD(Merck)獣医マニュアルは、これらに加えてウェルシュ・コーギーやキースホンドなども挙げ、「この中毒から無縁の犬種はない」と書いています。

犬種出典に書かれていること
ベドリントン・テリアこの病気が最初に見つかった犬種。COMMD1という遺伝子の一部が欠ける変異(常染色体劣性)が原因。肝臓の銅が乾燥重量1gあたり1万μgを超えることもある。遺伝子検査と計画的な繁殖で、この犬種の病気はほぼなくなったとされる
ラブラドール・レトリーバー銅の排出にかかわるATP7B遺伝子の変異が銅をためやすくし、ATP7A遺伝子の変異は逆に守る方向に働く可能性がある。メスに多い
ドーベルマンメスに多い。ATP7B遺伝子との関連も報告されている
ダルメシアン好発犬種とされる
ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア肝臓に銅がたまっても、全頭が肝炎になるわけではない。銅がとても多くても肝炎にならず、老衰で亡くなる犬もいるとされる

2022年の研究(米国コロラド州立大学の診断検査機関に2010〜2020年に届いた4,559頭の肝生検の解析)でも、ドーベルマン、ラブラドール、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアは、肝臓の銅が異常に高いことと関連していました。

好発犬種はACVIMのコンセンサス、ウェルシュ・コーギーやキースホンドを含む犬種の記述とウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアの特徴はMSD(Merck)獣医マニュアル「Canine Chronic Hepatitis」、ベドリントン・テリアのCOMMD1変異と繁殖による減少、ラブラドールのATP7B・ATP7Aの記述、メスに多い犬種はACVIMのコンセンサスとUllalらの総説(2025)、4,559頭の解析はUllalらの研究(J Vet Intern Med 2022)に基づきます。

遺伝子検査で「わかる」わけではない

ラブラドールのATP7B遺伝子の変異については、遺伝子検査が商業的に提供されていることにACVIMのコンセンサスも触れています。ただし同コンセンサスは、ベドリントン・テリアのCOMMD1検査には価値があるとする一方、ラブラドールの遺伝子検査の使い方について具体的な推奨をするには、まだ情報が足りないとしています。

2025年の総説も、この変異だけでは病気を予測も診断もできないと書いています。ある大学の検査データベースの調査では、健康なラブラドールの25%(28頭中7頭)がこの変異を持っていた一方、肝臓の銅が高いラブラドールの約半数(45頭中21頭)は変異を持っていませんでした。オランダのラブラドール235頭の研究では、肝臓の銅の量の遺伝的なばらつきのうち、この変異で説明できたのは8.3%だけでした。

食事の銅の影響

同じ総説は、食事などの環境の要因が肝臓の銅の量に影響していることを示す強い根拠があるとし、犬は同じ市販フードを毎日食べ続けるため、人より食事の影響が大きいのかもしれないと考察しています。ACVIMのコンセンサスも、食事からの銅のとりすぎは、好発犬種でもそうでない犬種でも、肝臓の銅の蓄積に強く影響するとしています。この点は、後半の「ドッグフードの銅をめぐる議論」で詳しく見ていきます。

遺伝子検査についての評価はACVIMのコンセンサス、変異の保有率と8.3%の数字、食事の影響についての考察はUllalらの総説(2025)に基づきます。

なぜ気づきにくいのか

銅蓄積性肝炎がやっかいなのは、かなり進むまで、飼い主が気づけるような症状がほとんど出ないことです。

ACVIMのコンセンサスは、慢性肝炎の初期の症状は「あいまいで、はっきりしない」とし、目立つ症状が出たときには、多くの場合すでに病気が進んだ段階の合併症によるものだとしています。慢性肝炎には長い「無症状の時期」があるようで、慢性肝炎の犬の最大20%は、症状がないまま肝酵素の値だけが上がっていたとも書かれています。2025年の総説は、銅関連の慢性肝炎の犬のおよそ4分の1は、症状が出ていない段階で見つかると紹介しています。

同じ総説は、症状を次のように分けています。

段階出典に挙げられている症状
はっきりしない症状(初期から)食欲が落ちる・食べない、元気がない、吐く、下痢、体重が減る
肝臓の病気に特有の症状(進んでから)黄疸(白目や歯ぐき、皮膚が黄色い)、腹水でお腹がふくらむ、肝性脳症による神経の症状(ふらつき、ぼんやりするなど)、水をたくさん飲みおしっこが増える、黒いタール状の便

そして、UC Davisのニュースが伝えたように、肝臓の数値が正常なまま銅がたまっていることもあります。ACVIMのコンセンサスを紹介した鳥取大学農学部附属動物医療センターの資料にも、「血清肝酵素の上昇がなくとも、組織病理学的にCHと診断される症例が存在する可能性もある」と訳されています(CHは慢性肝炎)。

加えて、血液中の銅の値は肝臓の銅の量と相関しないため、犬ではこの病気の診断に使われません。「銅の病気なら、血液で銅を測ればわかるのでは」と思いがちですが、そうはいかないのです。

初期症状があいまいで目立つ症状は進行期の合併症であることと、無症状で肝酵素だけが上がる犬が最大20%という点はACVIMのコンセンサス、約4分の1が無症状で見つかること・症状の分類・血清銅が診断に使えないことはUllalらの総説(2025)、肝酵素の上昇がなくても慢性肝炎と診断される症例がありうる点は鳥取大学農学部附属動物医療センター「topics vol.91」(ACVIMコンセンサスの一部紹介)に基づきます。症状の日本語の言い換え(白目や歯ぐきが黄色いなど)は編集部によるものです。

診断: 決め手は肝生検と銅の量の測定

銅蓄積性肝炎かどうかを確かめる方法について、ACVIMのコンセンサスははっきり書いています。どの犬種でも、確定診断には肝生検と銅の定量(量を測ること)が必要です。

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    問診・身体検査・血液検査・尿検査

    総説によると、まずは詳しい問診と身体検査、血球計算、血液生化学検査、尿検査から始めます。多くの場合、きっかけはALT(肝臓の細胞が傷むと血液中に増える酵素)などの上昇です。
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    腹部の超音波検査

    ACVIMのコンセンサスは、慢性肝炎が疑われる犬の最初の画像検査として超音波検査を勧めています。ほかの病気や合併症を見つけ、組織の採り方を決めるのに役立ちます。ただし初期の慢性肝炎では変化が少なく、超音波で異常がなくても、ほかの検査から疑わしければ肝生検をためらうべきではないとされています。
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    生検の前の血液凝固の検査

    肝臓の組織を採ると出血することがあるため、事前に血液の固まりやすさなどを調べます。
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    肝生検

    腹腔鏡(お腹に小さな穴をあけてカメラを入れる方法)、開腹手術、または超音波で見ながら太めの針で組織を採る方法があります。ACVIMのコンセンサスは、慢性肝炎が疑われる犬の肝生検には腹腔鏡が最適としています。細い針で細胞を吸い取るだけの検査(細胞診)では、慢性肝炎の確定診断はできないとされています。
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    組織の検査と銅の定量

    採った組織を顕微鏡で調べ、銅を染める特殊な染色で銅がどこにたまっているかを見ます。あわせて、組織に含まれる銅の量を機械で測ります。

ACVIMのコンセンサスは、健康な犬の肝臓の銅を乾燥重量1gあたり120〜400μgとし、銅関連の慢性肝炎の犬ではふつう1,000μgを超えるとしています。ただし、どのくらいの量で肝炎が起こるかは犬によって大きく違い、1,000μgを超えても肝臓が傷んでいない犬もいれば、それ以下でも強く傷んでいる犬もいると書かれています。数字だけで決まるわけではなく、組織の変化とあわせて判断されます。

確定診断に肝生検と銅の定量が必要な点、超音波検査の位置づけ、肝生検の方法と腹腔鏡が最適とされる点、細胞診では確定診断ができない点、正常値と1,000μgの目安、個体差はACVIMのコンセンサスと、その一部を紹介した鳥取大学農学部附属動物医療センター「topics vol.91」、最初の検査の流れはUllalらの総説(2025)に基づきます。

肝生検で「銅が高い」犬は、どのくらいいるのか

2022年のウラル獣医師らの研究では、2010〜2020年に米国コロラド州立大学の診断検査機関へ肝臓の組織と銅の測定が依頼された4,559頭のうち、50%で肝臓の銅が乾燥重量1gあたり400μgを超え、19%で1,000μgを超えていました。

ただし、この数字を「犬の半分に銅がたまっている」と読むのは誤りです。著者ら自身が、対象はもともと肝臓の病気が疑われて生検を受けた犬であり、この割合は銅関連肝障害の本当の発生率や有病率を表すものではないと書いています。同時に、症状がなく血液検査も正常な犬は生検を受けにくいため、そうした犬の実態はこのデータには表れていない、とも指摘しています。

Ullal TV, et al. J Vet Intern Med 2022(PMC9708449)の結果と考察に基づきます。

ヒント

肝生検は、麻酔や出血のリスクを伴う検査です。「数値が少し高いから、すぐに生検」とはならないのがふつうで、再検査や画像検査で経過を見ながら、必要性を獣医師と相談して決めていきます。大学病院や二次診療施設を紹介されることもあります。

治療の概略

治療は、診断の結果と犬の状態に合わせて、獣医師が組み立てます。ここでは、専門資料に書かれている治療の考え方の大枠だけを紹介します。薬の種類や量、食事の内容は、必ず主治医の指示に従ってください。

ACVIMのコンセンサスは、銅関連の慢性肝炎の治療を、次の3つを組み合わせる「多角的な方法」としています。

  • 食事の銅を制限する
  • キレート剤と呼ばれる、銅と結びついて尿に出す薬で、肝臓から銅を取り除く(資料では、D-ペニシラミンという薬が代表的なものとして挙げられています)
  • 抗酸化の治療を加える

2025年の総説によると、最初の少なくとも6か月は、銅を制限した食事とキレート剤を組み合わせて肝臓の銅を減らします。その後、キレート剤は中止したり減らしたりできることがありますが、食事の銅の制限は生涯続ける治療とされています。食事だけで銅が再びたまらない犬もいれば、たまってしまうため薬を長く続ける必要がある犬もいます。治療の効果について、ACVIMのコンセンサスは血液検査のALTの推移が代わりの目安として役立つとしています。一方で総説は、血液検査の数値は組織の改善を敏感には反映しないため、確実に確かめるには、治療開始からおよそ6か月で再び肝生検をして銅を測ることが必要だとしています。

キレート剤は、吐き気や食欲不振、下痢などの副作用が比較的よく見られ、頻度は低いものの、皮膚や腎臓、血液への副作用や、銅の欠乏が起こることもあります。そのため治療中は、効果とあわせて副作用のチェックも欠かせません。

見通しについて、総説は、治療を早く始めれば予後はおおむね良好から非常に良好だとし、急性の肝不全や肝硬変になっている場合は悪くなりやすいとしています。

3つを組み合わせる治療とALTの推移を目安にする点はACVIMのコンセンサス、6か月の導入期間、食事の制限が生涯続くこと、再生検の時期、キレート剤の副作用、予後はUllalらの総説(2025)に基づきます。

家庭での食事や水について、資料に書かれていること

診断された犬では、食事の銅を減らすことが治療の柱になります。ACVIMのコンセンサスは、肝臓の銅が一定以上ある犬に銅を制限した食事を勧め、そうした食事の多くはたんぱく質もやや控えめなため、ほとんどの慢性肝炎の犬には、たんぱく質を補うことを勧めています。市販の療法食を食べない場合は、臨床栄養の専門家が手作り食を組み立てる方法もあるとしています。

同コンセンサスは、飲み水の銅にも触れています。銅の配管を使っている場合は、水を5分ほど流してから使うと銅が除かれ、ボトルの水を使うなら蒸留水にするよう書かれています。

注意

ここで紹介した食事や水の管理は、銅蓄積性肝炎と診断された犬の治療として書かれたものです。健康な犬や、診断がついていない犬に、飼い主の判断で当てはめないでください。

  • 銅は必須のミネラルで、極端に減らすと欠乏症を起こすことがあります。手作り食で銅を減らそうとするのは、専門家の設計なしにはおすすめしません
  • 「銅の吸収を抑える」とされる亜鉛のサプリメントを自己判断で与えないでください。総説は、亜鉛は治療で使われるとしても、血液中の濃度が高くなりすぎると赤血球が壊れる(溶血)ことがあり、濃度の確認が必要だとしています
  • 肝臓の数値が高いと言われて、自己判断で肝臓のサプリメントを始める前に、まず主治医に相談を。ACVIMのコンセンサスは、ウルソデオキシコール酸やSAMe、ビタミンEといった肝臓を守るとされる成分について、犬の慢性肝炎で効果を裏づける獣医学の根拠は多くないとしつつ、安全性などから補助的に使われているとしています

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銅を制限した食事とたんぱく質の補い方、手作り食、飲み水の扱い、肝臓を守るとされる成分の評価はACVIMのコンセンサス、亜鉛の注意点はUllalらの総説(2025)に基づきます。

ドッグフードの銅をめぐる議論

銅蓄積性肝炎の話で、飼い主がいちばん気になるのは「いま食べているフードは大丈夫なのか」だと思います。ここでは、米国でこの数年続いてきた議論を、時系列で整理します。

「フードの銅が増えたことが、病気の増加に関係しているのでは」という指摘

ACVIMのコンセンサスは、1990年代後半から慢性肝炎の症例が増えてきた時期が、市販ドッグフードに銅を加える原料が、吸収されにくい酸化銅から吸収されやすい形(キレート銅など)へ切り替わった時期と重なると指摘しています。専門医パネルは、栄養基準のあり方と吸収されやすい銅への切り替えが、犬の肝臓の銅の蓄積の増加に結びついていると考えている、と書いています。市販フードの銅は、米国学術研究会議(NRC)の推奨を2〜4倍以上上回ることが多いともしています。

2025年の総説は、米国飼料検査官協会(AAFCO)が1997年に酸化銅の使用をやめる方向を勧め、2007年には成犬の維持用フードの銅の上限値がなくなったと説明し、これが銅関連肝障害の増加に関わった可能性があると書いています。MSD(Merck)獣医マニュアルで慢性肝炎の項を執筆したコーネル大学のシャロン・センター獣医師は、北米では銅関連肝障害がいまや犬の慢性の壊死性炎症性肝疾患の主な原因だとし、食事の推奨が見直されない限り、この問題は続くとまで書いています。

2021年2月には、センター獣医師を筆頭著者とする獣医師らが米国獣医師会誌(JAVMA)に、ドッグフードの銅の上限を設け直すことや、銅の添加に使う原料を制限することをAAFCOに求める論説を発表しました。

AAFCOの判断: 「現時点では上限を設けない」

この論説を受けて、AAFCOは13人の専門家パネルを立ち上げました。米国獣医師会(AVMA)のニュースによると、パネルは2021年5月から2022年7月にかけて4回会合を開き、2022年8月1日に報告書を提出しました。結論は、ドッグフードの銅に上限を設けないことを勧めるというものでした。

理由として報告書は、全米科学アカデミーの小委員会が、健康な犬の安全な上限を決めるだけのデータは不十分だと判断していることなどを挙げ、「根拠なく上限を決めると、それ以下は安全、それ以上は危険と示すことになるが、どちらも証明されていない」と書いています。ただし全員一致ではなく、2人のメンバーは何らかの上限を設けるべきだと考えていました。AAFCOはこれを受け、2023年3月に、現時点では銅の基準は適切に定められているとする立場を示しました。

その後、パネルの提案をもとに、上限を義務にするのではなく、銅を一定以下に抑えたフードに任意でつけられる「controlled copper(銅を管理した)」という表示を設ける案が検討されました。案は、乾物1kgあたり15mg以下、かつ代謝エネルギー1,000kcalあたり3.75mg以下というものです。検討した作業部会は賛成6、反対4で新設を勧めましたが、反対した側は、その範囲が銅関連肝障害の犬や、なりやすい犬に役立つという根拠がないこと、飼い主が獣医師に相談せずにこの表示でフードを選んでしまうおそれがあること、必須の栄養素である銅そのものを悪者扱いすることになることなどを挙げていました。

2024年5月30日、AAFCOのペットフード委員会はこの表示の新設を否決しました。AAFCOは、今後も新しい研究を注視し、データがそろえば改めて検討する可能性があるとしています。

時期出来事
1997年AAFCOが酸化銅の使用をやめ、より吸収されやすい形へ移る方向を勧める(総説による)
2007年成犬の維持用フードの銅の上限値がなくなる(総説による)
2019年ACVIMのコンセンサスが、フードの銅と肝臓の銅の蓄積の増加との関連を指摘
2021年2月獣医師らがJAVMAの論説で、銅の上限の再設定などをAAFCOに求める
2022年8月AAFCOの専門家パネルが「上限を設ける根拠は不十分」と報告
2023年12月作業部会が、任意の「controlled copper」表示の新設を6対4で勧める
2024年5月30日AAFCOのペットフード委員会が同表示の新設を否決
2025年10月UC Davisの、ラブラドールの銅関連肝障害の原因と血液での診断法を探る研究の助成期間が始まる(2028年9月まで)

1990年代後半からの増加とフードの銅の関係、NRC推奨との比較はACVIMのコンセンサス、1997年と2007年の経緯はUllalらの総説(2025)、北米で主な原因になっているという記述と食事の推奨についての見解はMSD(Merck)獣医マニュアル「Canine Chronic Hepatitis」(Sharon A. Center、2023年8月全面改訂・2024年9月更新)、2021年の論説の筆頭著者がセンター獣医師である点はAVMAのニュース「Cornell scientists warn of excess copper in dog diets」(2022年3月17日)、論説を受けた専門家パネルの経緯・結論はAVMAのニュース「AAFCO reaffirms guideline on copper levels in dog food」(2023年4月17日)、「controlled copper」表示の案と賛否の理由はAAFCOのCopper Claim Workgroup最終報告書、否決はAAFCOの発表に基づきます。年表は、これらの出典をもとに編集部が整理したものです。

日本の飼い主は、どう受け止めればいいか

日本のペットフード公正取引協議会は、「総合栄養食」の基準はAAFCOの基準を元にしていると説明しています。米国での議論は、日本で売られているフードとも無関係ではありません。ただし、日本の基準のなかで銅がどう扱われているかの細部までは、この記事では確認できていません。

そのうえで、ここまでの資料から編集部として整理すると、次のようになります。

  • 「フードの銅が増えたことが病気の増加に関係している」という見方は、獣医の専門家のあいだで有力だが、フードの規制を変えるだけの根拠がそろったとは、米国の基準をつくる側はまだ判断していない
  • 特定のフードやメーカーが危ない、という話ではない。銅はどの総合栄養食にも必要な量が含まれている
  • 健康な犬のフードを、飼い主の判断で「低銅」を目指して切り替えるべきだという推奨は、今回確認した資料のなかにはない
  • 好発犬種と暮らしていて心配なときは、フード選びを自己判断で変えるより先に、健康診断で肝臓の数値を定期的に確認し、変化があれば相談するほうが、確実な備えになる

家庭で意識しやすいこともあります。獣医栄養学の専門医であるトレス=ヘンダーソン獣医師は、太っている犬は余分なカロリーといっしょに銅も多くとっていることを、太りすぎのラブラドールの例で計算して示しています。適正な体重を保つことは、銅に限らず、体のためになることです。また、アニコム損保の「みんなのどうぶつ病気大百科」は、レバーや貝類は銅の含有量が多いとし、肝障害が疑われる場合、とくに銅蓄積性肝障害がみられやすい犬種では、与えてもよいか事前にかかりつけ医に相談すると安心だと書いています。レバーを使ったおやつやトッピングをよく与えている場合は、健診のときに伝えておくとよいでしょう。

総合栄養食の基準がAAFCOの基準を元にしている点はペットフード公正取引協議会「表示に関するQ&A」、太りすぎの犬の銅の摂取量の計算例はToday's Veterinary Practice掲載のトレス=ヘンダーソン獣医師の解説(2025年)、レバーや貝類についての注意はアニコム損保「みんなのどうぶつ病気大百科」の犬の肝臓病の解説に基づきます。箇条書きの整理は、これらの出典をもとにした編集部の見解です。

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健康診断で「肝臓の数値(ALT)が高い」と言われたら

ここからは、多くの飼い主が実際に出会う場面、健康診断で肝臓の数値が高いと言われたときの考え方です。

数値が高い=肝臓の病気、とは限らない

MSD(Merck)獣医マニュアルは、肝臓の病気はしばしば健康診断の肝酵素の上昇で初めて疑われるとしたうえで、肝臓以外のさまざまな病気でも肝酵素は変化するため、肝酵素が高い犬の数は、実際に肝臓の病気がある犬の数よりずっと多いと書いています。ALTは肝臓に多い酵素ですが、筋肉が傷ついたときや、激しい運動のあとにも上がることがあるとされています。アニコム損保の解説も、若い犬でも健康診断や手術前の検査で偶然、肝酵素の上昇が見つかることはよくあり、症状がないことや原因がはっきりしないことも多いとしています。

一方で、ACVIMのコンセンサスは、原因のわからないALTの上昇が2か月を超えて続くことを、慢性肝炎を早く見つけるための、現時点で最良のスクリーニング検査としています。1回の数値で一喜一憂するより、「続いているか」「上がり続けているか」を追っていくことが大切だということです。

肝酵素の上昇と肝臓の病気の関係、ALTが筋肉の損傷や激しい運動でも上がる点はMSD(Merck)獣医マニュアル「Enzyme Activity in Hepatic Disease in Small Animals」、健診で偶然見つかることが多い点はアニコム損保「みんなのどうぶつ病気大百科」、2か月を超えるALTの上昇についてはACVIMのコンセンサスと鳥取大学農学部附属動物医療センター「topics vol.91」に基づきます。

相談の進め方

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    どの数値が、どのくらい高いのかを聞く

    ALTだけなのか、ALPやGGT、ビリルビンなども高いのか。基準値からどのくらい離れているのか。結果の用紙をもらい、保管しておきます。
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    思い当たることを伝える

    飲んでいる薬やサプリメント、最近変えたフードやおやつ(レバー系のものを含む)、検査前の激しい運動、吐いた・下痢をした、などの出来事を伝えます。
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    再検査の時期を決める

    「また今度」ではなく、何週間後・何か月後に測り直すのかを具体的に決めておきます。
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    必要なら画像検査やほかの検査へ

    アニコム損保の解説は、肝酵素の上昇が見つかったら、食事療法や内科治療、再検査、エコーなどの画像検査の必要性を相談するとよいとしています。
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    上昇が続くなら、肝生検の必要性を相談する

    原因がわからないまま上昇が続くときは、肝生検を含めた詳しい検査について話し合います。好発犬種であることも、判断材料のひとつとして伝えましょう。

診察で聞いておきたいこと

  • 今回高かった数値と、基準値からの離れ具合
  • 前回の健診と比べて、上がっているのか・下がっているのか
  • 考えられる原因は何か(肝臓以外の原因も含めて)
  • 次に測り直すのはいつか
  • 超音波などの画像検査は必要か
  • 今のフードやおやつ、サプリメントを続けてよいか
  • うちの犬種は銅蓄積性肝炎の好発犬種にあたるか
  • どうなったら肝生検や、専門の病院への紹介を考えるか

相談の進め方とチェックリストは、ACVIMのコンセンサス、MSD(Merck)獣医マニュアル、アニコム損保の解説をもとに編集部が整理したものです。

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早めに受診したいサイン

肝臓の病気は、目立つ症状が出たときには進んでいることが多いとされます。健診の結果を待たず、次のようなときは早めに動物病院へ連絡してください。

早めに受診したいサイン

  • 白目や歯ぐき、お腹の皮膚が黄色っぽい(黄疸)
  • お腹がふくらんできた
  • 食欲が落ちた・食べない日が続く
  • 元気がなく、寝てばかりいる
  • 吐く、下痢をくり返す
  • 体重が減ってきた
  • 水を飲む量とおしっこの量が増えた
  • 黒いタール状の便が出た
  • ふらつく、ぼんやりしている、いつもと様子が違う

2025年のUllalらの総説と、ACVIMのコンセンサス(鳥取大学農学部附属動物医療センター「topics vol.91」の訳を含む)に挙げられている症状をもとに、編集部が整理したものです。ぐったりしている、意識がおかしいなどの場合は、夜間でも救急対応の動物病院に相談してください。

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健診のたびに「ALTが少し高め」と言われていて、元気だからと気にしていませんでした。何年分かの結果を並べてみたら、少しずつ上がっていたことに気づいて。今は測り直す時期を決めて、結果の用紙をファイルにまとめています。
ラブラドールと暮らす飼い主

よくある質問

好発犬種と暮らしています。今のフードを銅の少ないものに替えたほうがいいですか。
健康な犬について、飼い主の判断で銅の少ないフードに切り替えるべきだという推奨は、この記事で確認した資料のなかにはありません。米国のAAFCOも、フードの銅に上限を設ける根拠は現時点で不十分だとしています。銅は必須のミネラルで、極端に減らすことにも心配があります。肝臓の病気用の療法食は銅を減らしてありますが、たんぱく質なども調整された、診断を受けた犬のための食事です。心配なときは、フードを替える前に、健康診断で肝臓の数値を定期的に確認し、フード選びも含めてかかりつけの獣医師に相談してください。
遺伝子検査を受ければ、この病気になるかどうかわかりますか。
ベドリントン・テリアのCOMMD1の遺伝子検査は、ACVIMのコンセンサスでも価値があるとされています。一方、ラブラドールのATP7B遺伝子の検査については、同コンセンサスは使い方を具体的に推奨するには情報が足りないとしています。2025年の総説でも、健康なラブラドールの25%が変異を持ち、肝臓の銅が高いラブラドールの約半数は変異を持っていなかったというデータが紹介されています。遺伝子検査の結果だけで、なる・ならないを判断することはできません。
血液検査で銅の値を測ってもらえば、わかりますか。
犬では、血液中の銅の値は肝臓の銅の量と相関しないため、この病気の診断には使われません。確定診断には、肝生検で組織を調べ、銅の量を測ることが必要です。UC Davisの研究は、血液を使って見分ける方法をつくることを目指していますが、まだ研究の段階です。
レバーのおやつをよく与えています。やめたほうがいいですか。
アニコム損保の解説は、レバーや貝類は銅の含有量が多いとし、肝障害が疑われる場合、とくに銅蓄積性肝障害がみられやすい犬種では、与えてもよいか事前にかかりつけ医に相談すると安心だとしています。健康な犬で少量を与えることまで否定するものではありませんが、毎日のように与えている、好発犬種である、肝臓の数値を指摘されている、といった場合は、健診のときに獣医師に伝えて相談してください。
肝臓に良いというサプリメントで予防できますか。
銅蓄積性肝炎をサプリメントで予防できるという根拠は、この記事で確認した資料のなかにはありません。ACVIMのコンセンサスは、肝臓を守るとされる成分について、犬の慢性肝炎で効果を裏づける獣医学の根拠は多くないとしています。また、銅の吸収を抑えるとされる亜鉛は、濃度が高くなりすぎると赤血球が壊れることがあるため、自己判断で与えないでください。
銅蓄積性肝炎と診断されたら、治りますか。
2025年の総説は、治療を早く始めれば予後はおおむね良好から非常に良好だとしています。一方、急性の肝不全や肝硬変まで進んでいると、見通しは悪くなりやすいとされます。治療は、銅を制限した食事を生涯続け、薬で肝臓の銅を減らし、定期的に検査で確かめていく長い付き合いになります。だからこそ、早く見つけることに意味があります。

まとめ

銅蓄積性肝炎は、肝臓に銅が少しずつたまり、炎症から線維化、肝硬変へと進むことがある病気です。ベドリントン・テリア、ラブラドール・レトリーバー、ドーベルマン、ダルメシアン、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアに多いとされますが、どの犬種にも起こりえます。

気づきにくいのは、初期の症状がはっきりせず、目立つ症状が出るのは進んでからのことが多いためです。2026年9月にUC Davisが紹介した若いラブラドールのように、肝臓の数値が正常なまま銅がたまっていることもあります。確定診断には肝生検と銅の定量が必要で、血液で見分ける方法はまだ研究の段階です。

フードの銅については、米国で獣医師と基準をつくる側のあいだで議論が続いていますが、健康な犬のフードを自己判断で変えることを勧める結論は出ていません。飼い主にできるいちばん確かなことは、健康診断を続け、肝臓の数値が高いと言われたら、1回で終わらせずに測り直しの時期を決めて変化を追うこと。そして、気になる変化や症状があれば、早めにかかりつけの獣医師に相談することです。

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出典・参考

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