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秋の散歩に潜む中毒リスク|毒キノコ・彼岸花・銀杏・どんぐり…犬が口にすると危険な植物と木の実

対象の目安: 全ライフステージ

カエデしつけ・散歩担当
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秋の散歩に潜む中毒リスク|毒キノコ・彼岸花・銀杏・どんぐり…犬が口にすると危険な植物と木の実

暑さがやわらいで、犬も飼い主も散歩が楽しい季節がやってきます。歩く時間が自然と長くなり、行き先も公園や並木道、里山へと広がっていく——秋はそんな季節です。ただ、足元に目を落とすと、夏までは無かったものが増えていることに気づきます。雨のあとに顔を出すキノコ、田んぼのあぜ道を赤く染める彼岸花、イチョウ並木の下に落ちた銀杏、公園に転がるどんぐり。どれも秋らしい風景ですが、犬が口にすると中毒や消化管のトラブルにつながるものが少なくありません。

この記事では、秋(9〜11月ごろ)の散歩道に増える「口にすると危険なもの」に絞って、なぜ秋に多いのか、それぞれの危険と症状の目安、コースとリードの管理でできる予防、そして口にしてしまったときの応急対応をまとめます。拾い食いそのものを減らすトレーニングは拾い食い対策の記事、玉ねぎやチョコレートなど家庭の食べ物の危険は食べてはいけない食べ物の記事、おもちゃや靴下など異物を飲み込んだあとの対処全般は誤飲の記事に詳しくまとめているので、この記事では「秋の屋外にあるもの」に焦点を当てます。

なぜ秋の散歩道は中毒リスクが増えるのか

理由は大きく3つあります。

1つめは、危険なものの「絶対量」が増えることです。農林水産省は、有毒な野生きのこによる食中毒が毎年、夏の終わりから秋にかけての時期を中心に発生していると注意を呼びかけています。気温と湿度の条件がそろう秋は、公園の植え込みや街路樹の根元にもキノコが顔を出しやすい季節です。彼岸花が咲くのは秋の彼岸のころ、銀杏やどんぐりが落ちるのも秋。つまり、この季節だけ散歩コースに「新しい落下物」が一斉に現れます。

2つめは、隠れて見えにくくなることです。秋の散歩の危険を解説する動物病院のコラムでは、秋は落ち葉に隠れた実や種子が増え、誤食の事故が起こりやすくなると指摘されています。落ち葉のじゅうたんはガサガサと音がして犬の好奇心を誘ううえ、その下に何が落ちているかは飼い主から見えません。湿った落ち葉自体もカビや細菌が繁殖しやすく、口にすると嘔吐・下痢などの消化器症状につながる可能性があると説明されています。

3つめは、犬側の行動量が増えることです。涼しくなって散歩の時間と距離が伸び、夏には行かなかった公園や里山まで足を延ばす家庭も多いはず。行動範囲が広がれば、それだけ出会うものも増えます。犬はもともと、匂いをたどって落ちているものを見つける名人です。公益財団法人日本中毒情報センターによると、中毒110番に寄せられる動物の急性中毒に関する問い合わせは年間約500件あり、その9割がイヌの事例とのこと。同センターは、犬は見えないところに置いていても匂いで探し出して口にすることがあると注意を促しています。「うちの子は拾い食いしないから大丈夫」と思っていても、秋の地面は誘惑の密度が違う、という前提で歩くのが安全です。

野生きのこによる食中毒が夏の終わりから秋にかけて多い点は農林水産省「野生きのこによる食中毒を防ぐために」、落ち葉に隠れた実や種子による誤食の増加はみかん動物病院、湿った落ち葉のカビ・細菌と消化器症状は姉ヶ崎どうぶつ病院、動物の急性中毒の問い合わせが年間約500件でその9割がイヌである点と匂いで探し出す習性は日本中毒情報センターによります。

秋の散歩道で危険なもの一覧

まず全体像を整理します。個々の詳しい説明はこのあとの各項目で扱います。なお、症状の出方には個体差があり、量や体格によっても変わります。「表にないから安全」という意味ではない点にご注意ください。

見かけるものよくある場所特に危険とされる部位報告されている主な症状
野生のキノコ木の根元、植え込み、落ち葉の下、倒木種類により全体嘔吐・下痢・腹痛・よだれ、種類によりけいれん等の神経症状、肝臓・腎臓の障害
彼岸花(ヒガンバナ)土手、あぜ道、墓地、道端全草(特に球根)吐き気・嘔吐・下痢、中枢神経の麻痺など
銀杏(ぎんなん)イチョウ並木の下、公園種子。外種皮は触れても皮膚炎の原因にけいれん・意識障害、嘔吐・下痢、殻による消化管の傷・詰まり
どんぐり公園、雑木林、街路樹の下実と硬い皮下痢・嘔吐、消化管の傷・腸閉塞
松ぼっくり松のある公園、緑道全体(大きさと硬さ)喉・胃・腸の詰まり、食べすぎで下痢・嘔吐
里山、公園、庭先イガ・鬼皮・渋皮口や消化管の傷、喉詰まり、消化不良
朝顔の種花壇、フェンス沿い、こぼれ種の落ちた歩道種子腹痛・下痢など
秋の花・植え込み(キク、アヤメ、イチイ、シュウメイギクなど)花壇、公園、生け垣種類による嘔吐・下痢、種類によりけいれん・呼吸困難、皮膚炎
湿った落ち葉歩道の吹きだまり、公園カビ・細菌の繁殖したもの嘔吐・下痢などの消化器症状

野生のキノコ:「見分けない・近づかない」が唯一の正解

秋の主役級のリスクがキノコです。大切なのは、食べられるキノコかどうかを見分けようとしないこと。農林水産省は人向けの注意喚起として、食用と間違えやすいツキヨタケやクサウラベニタケによる食中毒が特に多いこと、そして「食用であると確実に判断できない野生のきのこは、採らない、食べない、売らない、人にあげない」ことを基本原則として示しています。プロでも間違える世界です。散歩中に足元のキノコを「これは大丈夫そう」と判断する材料は、私たち飼い主にはありません。

海外の動物病院グループVCA Animal Hospitalsの解説も同じ立場で、野生に生えているキノコは安全と証明されない限り有害とみなすべきだとしています。同解説では、キノコの毒は作用のしかたで大きく分けられ、嘔吐・下痢などの消化器症状を起こすタイプは摂取後15分〜6時間程度で症状が出る一方、肝臓を傷害するタイプは6〜24時間たってから消化器症状が現れて急速に肝不全へ進むことがあり、腎臓を傷害するタイプでは12時間〜1週間以上遅れて症状が出ることもあると説明されています。震えやけいれん、ふらつきなどの神経症状を起こすタイプは30分〜6時間程度で発症するとされます。つまり「食べた直後に元気だから大丈夫」がまったく通用しないのがキノコの怖さです。

危険

キノコの中には、触れるだけで危険とされる種類もあります。カエンタケは、地面から突き出た指のような形の赤いキノコで、神奈川県は、夏から秋にブナ、コナラなどナラ類の広葉樹林の地上に群生して発生すること、触れるだけで皮膚が炎症を起こし、ただれてしまう場合もあることを挙げて注意を呼びかけています。食べた場合は食後30分から発熱・悪寒・嘔吐・下痢・腹痛・手足のしびれなどの症状を起こし、死に至ることもあるとされています。獣医師監修の解説でも、人が食べても触っても危険で死亡例があり、同様に犬にとっても危険なキノコだとされています。赤い派手なキノコを見つけたら、犬にも人にも触らせず、その場を離れてください(公園などで見つけた場合は管理者への連絡も検討を)。

犬がキノコを口にした場合(疑いを含む)は、種類がわからなくても、直ちに動物病院へ連絡して指示を仰いでください。このときVCAの解説では、残っているキノコをビニール袋ではなく湿らせたペーパータオルに包んで持参すること、かさ・ひだ・柄・生えていた周囲がわかる写真を撮っておくことが、種類の特定に役立つとされています。

ツキヨタケ・クサウラベニタケによる食中毒が多い点と「採らない、食べない、売らない、人にあげない」の原則は農林水産省、キノコ中毒の症状のタイプ分けと発症時間の目安、湿らせたペーパータオルでの検体保存と撮影のすすめはVCA Animal Hospitals「Mushroom Toxicity」、カエンタケの発生時期・場所、触れることの危険、食後の症状は神奈川県の注意喚起ページ、犬にとっても危険である点と「近づかないことが最重要」はいぬのきもちWEB MAGAZINEの獣医師監修記事によります。

彼岸花(ヒガンバナ): あぜ道と土手の赤い花

秋のお彼岸のころ、土手やあぜ道を赤く染める彼岸花。東京都の有毒植物解説では、土手、墓地、道端など人家の近くに繁殖するとされており、犬の散歩コースと生育場所が重なりやすい植物です。有毒成分のリコリンは全草に含まれ、特に鱗茎(球根)に多いとされ、中毒症状として吐き気・嘔吐・下痢・中枢神経の麻痺などが挙げられています。

犬での中毒を解説するペット保険会社の資料でも、球根が特に危険で、嘔吐、下痢、腹痛のほか脈が遅くなる、低血圧といった症状が起こりうるとされています。花や茎をかじるだけでなく、掘り癖のある子が球根を掘り出してしまうケースも考えられます。彼岸花の群生地は写真映えするので近づきたくなりますが、犬連れのときは、花の帯から一歩離れた側を歩くくらいでちょうどよいと考えています。

生育場所、リコリンが全草(特に鱗茎)に含まれる点、吐き気・嘔吐・下痢・中枢神経の麻痺などの症状は東京都保健医療局「食品衛生の窓」のヒガンバナの項、犬における球根の危険性と嘔吐・下痢・腹痛・徐脈・低血圧などの症状はペット保険のFPC「花による中毒」によります。

銀杏(ぎんなん): イチョウ並木の下は「素通り」で

黄葉のイチョウ並木は秋の散歩の定番コースですが、地面に落ちた銀杏は犬にとって危険です。獣医師監修の解説では、犬が銀杏を食べた場合、中毒症状としてけいれんや意識障害がみられる可能性があると指摘されています。原因とされるのはメチルピリドキシン(ギンコトキシンとも呼ばれます)という成分で、獣医師執筆の別の解説では、食後1〜12時間程度で症状が現れ、最悪の場合死に至るケースもあるとされています。人の子どもでは7粒ほどから中毒症状が見られることもあるといわれており、体の小さな犬では少ない量でも油断できません。

銀杏の怖さは中毒だけではありません。散歩中の拾い食いでは殻ごと飲み込むことが多く、消化不良による嘔吐や下痢のほか、硬い殻が喉に詰まったり内臓を傷つけたりするおそれも指摘されています。さらに、地面に落ちて潰れた外種皮(あの独特の匂いの果肉部分)は、触れるだけで皮膚の炎症を起こすことがあるとされます。肉球や口まわりの皮膚が直接触れる犬にとっては、踏むだけでもうれしくない相手です。銀杏がたくさん落ちている時期のイチョウ並木は、匂いを嗅がせながらのんびり歩くのではなく、リードを短くして「素通りするゾーン」と決めてしまうのが現実的です。

メチルピリドキシンによるけいれん・意識障害の可能性、殻ごとの誤食による消化不良、外種皮による皮膚の炎症、速やかな受診のすすめはいぬのきもちWEB MAGAZINEの獣医師監修記事、食後1〜12時間程度での発症、死に至るケース、人の子どもで7粒ほどから中毒症状が見られることもあるといわれる点はペトコトの獣医師執筆記事によります(同記事は成分名をギンコトキシンと表記)。

どんぐり・松ぼっくり・栗のイガ: 中毒よりまず「詰まり」

どんぐりは秋の公園の風物詩ですが、犬が食べてよいものではありません。ペットメディアの解説では、どんぐりに含まれるタンニン(ポリフェノールの一種)は過剰に摂取すると下痢などの原因になることがあり、また硬い皮は消化できないため、嘔吐や消化器官の傷、腸閉塞の原因になる可能性があるとされています。体の小さな犬ほど相対的にリスクが上がる点も指摘されています。動物病院のコラムでは、どんぐりや銀杏を大量に食べた場合にふらつきやけいれんなどの中毒症状が出る可能性にも触れられています。

もうひとつ見落とされがちな指摘があります。公園などに落ちているどんぐりには除草剤が付着している場合があり、またカビや虫がついていることもあって、嘔吐・下痢・発熱などの原因になる可能性があるという点です。どんぐりそのものの毒性以前に、「地面に長く転がっていたもの」を口に入れること自体のリスクと捉えるとわかりやすいと思います。

松ぼっくりは毒性はないとされていますが、動物病院の解説では、大きくて硬いため喉や胃・腸に詰まることがあり、食べすぎると下痢・嘔吐などの症状が出ることがあるとされています。かじって遊んでいるうちに破片を飲み込む事故も想像しやすいところです。栗は、実そのものより、鋭いイガと硬い鬼皮が口や消化管を傷つける心配があります。イガ付きの栗が落ちている里山や公園では、踏まないようにする配慮も含めて足元への注意が必要です。

タンニンの過剰摂取による下痢、硬い皮による嘔吐・消化器官の傷・腸閉塞の可能性、小型犬での注意、除草剤・カビ・虫の付着リスクはペトコトの記事、どんぐりのタンニンによる下痢・嘔吐等と松ぼっくりの詰まり・食べすぎによる症状は三ツ池動物病院、どんぐり・銀杏の大量摂取によるふらつき・けいれんの可能性は姉ヶ崎どうぶつ病院によります。

朝顔の種: 花が終わったあとが本番

夏の花の印象がある朝顔ですが、犬の散歩で注意したいのはむしろ秋です。花が終わって種ができ、はじけた種がフェンス沿いの地面や歩道にこぼれ落ちるのがこの季節だからです。東京都の有毒植物解説では、アサガオの種子にはファルビチンという配糖体が含まれ、誤食すると腹痛、下痢などの症状が出るとされています。犬での中毒を解説するペット保険会社の資料でも、アサガオの誤食で嘔吐、下痢、腹痛などが報告されており、大量に食べた場合は神経症状が出る可能性にも触れられています。小学校や住宅のフェンス沿いなど、こぼれ種の多い場所では地面の匂い嗅ぎを控えめにしましょう。

なお、名前の似たチョウセンアサガオ類(ナス科)は別の植物で、東京都の解説では全草が有毒とされ、ヒヨスチアミン、アトロピン、スコポラミンなどのアルカロイド類を含み、嘔吐、瞳孔散大、呼吸の乱れ、けいれん、呼吸困難などの中毒症状が挙げられています。夏から初秋に白いロート状の花を咲かせ、トゲが密生した大きな実をつけるのが特徴とされます。空き地や道端で見かけても、犬を近づけないでください。

アサガオの種子のファルビチンと腹痛・下痢、チョウセンアサガオ類の全草の毒性・成分・症状・特徴は、いずれも東京都保健医療局「食品衛生の窓」によります。犬におけるアサガオ誤食の症状はペット保険のFPC「花による中毒」を参照しました。

そのほか、秋の花壇・植え込みで注意したい植物

秋の花壇や公園の植栽にも、犬が口にすると心配な植物があります。動物病院やペットメディアの解説で挙げられているものをまとめます。

  • キク: 秋の花壇の定番。嘔吐や下痢、運動失調、食欲不振などの症状を引き起こす可能性があるとされます
  • アヤメ類: 吐き気や嘔吐、下痢、脱水を引き起こす可能性が指摘されています
  • イチイ: 生け垣によく使われる木で、秋に赤い実をつけます。種と葉に含まれるタキシンという成分により、けいれんや呼吸困難などを起こし、命に関わる危険があるとされます
  • シュウメイギク: 秋に咲く人気の花ですが、葉や茎に含まれるプロトアネモニンにより、触れると皮膚炎やかぶれを起こす危険性があるとされます
  • イチジク: 樹液や葉に光毒性のあるフラノクマリンを含み、触れるだけで皮膚炎などを起こす可能性が指摘されています
  • キョウチクトウ・ナンテン・シクラメンなど: 秋の散歩道や店先で見かける機会のある植物として、動物病院のコラムで誤食への注意が呼びかけられています

「この葉っぱは大丈夫だろうか」と一つひとつ覚えるのは現実的ではありません。覚えるべきはリストではなく、植え込みと花壇には犬の口を近づけないという一律のルールのほうです。家の庭やベランダの植物については、お迎え前後に一度、種類を調べておくと安心です。

キク・アヤメの症状はPOCHIの記事、イチイ(タキシン)・シュウメイギク(プロトアネモニン)・イチジク(フラノクマリン)の危険はわんちゃんホンポの記事、キョウチクトウ・ナンテン・シクラメン等への注意はみかん動物病院のコラムによります。

散歩コースでできる予防: 「管理」が主役、「練習」は保険

秋の中毒リスク対策の主役は、しつけよりも管理です。犬の口が危険物に届かなければ、事故は起こりません。拾い食いの練習(「はなせ」「ちょうだい」など)はもちろん役立ちますが、毒キノコや銀杏が相手の場合、練習の成功率に命を預けるわけにはいきません。「管理で防ぎ、練習は保険」と考えるのがおすすめです。

  1. 1

    コースを秋仕様に見直す

    いつものコースを、一度「秋の目」で歩いてみてください。キノコの生えやすい木の根元や倒木、彼岸花の群生地、イチョウ並木、どんぐりの多い広場、落ち葉の吹きだまり。危険の密度が高いゾーンを把握したら、迂回するか、そこだけ足早に通過する区間と決めます。動物病院のコラムでも、危険な植物の少ないコースを選ぶことが予防として挙げられています。
  2. 2

    落下物ゾーンではリードを短く持つ

    リードは「長さを状況で変える道具」です。開けた安全な場所ではゆったり、銀杏やどんぐりの落ちているゾーンでは短く持ち替えて、犬の鼻が地面に届かない距離をキープします。たるませたまま歩くと、気づいたときには口の中、ということが起こります。持ち替えの練習は安全な場所で普段からしておくとスムーズです。
  3. 3

    匂い嗅ぎは「許可制」にする

    匂い嗅ぎは犬にとって大切な楽しみなので、全部禁止にする必要はありません。おすすめは、飼い主が安全を確認した場所で「いいよ」と合図してから嗅がせる許可制です。嗅いでよい場所と歩く場所にメリハリがつくと、地面に落ちているものを片っ端から確認する歩き方になりにくくなります。
  4. 4

    「はなせ」「ちょうだい」を遊びで育てておく

    それでも口に入れてしまったときの保険が、口の中のものを自分から出せる練習です。無理やり口をこじ開けて取り上げようとすると、あわてて飲み込む・防衛的に唸るといった逆効果になりがちです。おもちゃの交換遊びから始める練習の手順は、拾い食い対策の記事で詳しく説明しています。

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イチョウ並木がきれいで毎年通っていたんですが、ある日足元を見たら銀杏だらけで青ざめました。それからは並木の区間だけリードを短くして早歩き、公園に着いてからたっぷり匂い嗅ぎタイム、と決めています。メリハリをつけたら犬も切り替えてくれるようになりました。
柴犬と暮らす飼い主

秋の散歩前チェックリスト

  • いつものコースの「危険ゾーン」(キノコ・彼岸花・銀杏・どんぐり・落ち葉だまり)を把握した
  • 落下物の多いゾーンではリードを短く持ち替える、と家族で決めた
  • 匂い嗅ぎは安全を確認した場所での「許可制」にしている
  • 雨上がりはキノコが増えるので、いつもより足元に注意して歩く
  • 夕方の散歩は暗くなるのが早いので、地面が見えるうちに歩くかライトを用意する
  • かかりつけ動物病院と夜間救急の連絡先をスマートフォンに登録してある
  • 庭やベランダの植物の種類を一度調べた

なお、日が短くなる秋は、散歩の時間帯によっては地面がよく見えないことも増えます。暗い時間の散歩の安全対策は別記事にまとめています。

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口にしてしまったときの応急対応

どれだけ気をつけていても、事故は起こり得ます。そのときに家庭ですべきことは、処置ではなく情報の確保と連絡です。

  1. 1

    「何を・いつ・どれくらい」を把握する

    食べたもの(植物の種類、キノコ、木の実)、食べた時刻、およその量。この3点が獣医師の判断の土台になります。わからない部分は「わからない」でかまいません。「最後に何もなかったのを確認したのは何時か」で幅を伝えれば十分です。
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    現物と現場を確保・撮影する

    同じものが落ちていれば採取し(素手で触るのが心配なものは袋やビニール手袋越しに)、植物なら花・葉・実がわかるように、キノコならかさ・ひだ・柄と生えていた場所を撮影します。キノコの現物は、ビニール袋ではなく湿らせたペーパータオルに包むと状態が保たれるとされています。吐いたものがあれば、それも写真に残してください。
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    動物病院へ電話して指示を仰ぐ

    かかりつけが開いていればかかりつけへ、閉まっていれば夜間救急対応の病院へ。「何を・いつ・どれくらい」に加えて、体重・年齢・持病を伝えます。動物病院のコラムでは、誤食から1〜2時間以内であれば病院での処置により吐かせられる可能性が高いとされており、時間との勝負です。「様子を見る」かどうかの判断も含めて、電話で専門家に渡してしまいましょう。

危険

家庭で吐かせようとしないでください。動物病院の解説では、誤食時にやってはいけないこととして、様子を見守るだけで済ませること、無理に吐かせること、牛乳や大量の水を飲ませることが挙げられています。塩を飲ませて吐かせる方法はナトリウムの過剰摂取による食塩中毒を、オキシドールを飲ませる方法は胃や食道の粘膜の重度の損傷を起こすおそれがあると動物病院が警告しています。また、けいれんを起こしているときは獣医療でも催吐に注意が必要とされ、意識がない・嚥下に障害があるときは吐かせる処置自体が行えないとされています。銀杏のようにけいれんを起こしうる中毒では、なおさら自己判断は禁物です。

覚えておきたいのは、「今は元気そう」が安心材料にならないことです。前述のとおり、キノコの中には6〜24時間、ものによっては1週間近くたってから深刻な症状が出るタイプがありますし、銀杏も食後1〜12時間程度と発症までに幅があるとされています。食べた直後に元気でも、その情報ごと動物病院に伝えて、観察のポイントと受診のタイミングを確認しておくのが安全です。

なお、公益財団法人日本中毒情報センターの中毒110番には、ペットの誤飲事故など動物の急性中毒に関する問い合わせも寄せられています(対応は実際に事故が起きている場合に限られます)。ただし、犬の診療そのものはできませんから、基本の流れはあくまで「動物病院への連絡」が第一です。異物としての誤飲(おもちゃ・石・串など)への対応や、夜間救急の連絡先を平時に控えておく準備は、誤飲対処の記事に詳しくまとめています。

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よくある質問

散歩中、犬がキノコの匂いを嗅いだだけです。受診すべきですか。
匂いを嗅いだだけで口にしていないことが確実なら、多くの場合は心配しすぎなくてよいと考えられます。ただし、カエンタケのように触れるだけで皮膚の炎症を起こすとされるキノコもあるため、鼻先や口まわりが直接触れた可能性があるときや、その後に口まわりを気にする・よだれが増える・嘔吐するなどの様子が見られたときは、動物病院に相談してください。迷ったら電話で状況を伝えるだけでも判断材料をもらえます。
どんぐりを1個だけ飲み込んでしまいました。様子見でよいでしょうか。
ペットメディアの解説では、少量であれば大きな問題にならないことが多いとされる一方、硬い皮が消化できず腸閉塞や消化管の傷の原因になる可能性、除草剤やカビの付着リスクも指摘されています。体の小さな犬ほど詰まりのリスクは上がります。様子見でよいかどうかは体格や飲み込み方によって変わるので、自己判断で完結せず、動物病院に電話で相談したうえで、嘔吐・食欲低下・元気消失・便の異常がないか数日は観察してください。
彼岸花の花びらを少しかじったようです。どのくらい危険ですか。
彼岸花はリコリンなどの有毒成分が全草に含まれ、特に球根に多いとされています。かじった量が少なくても、吐き気・嘔吐・下痢などの症状が出る可能性は否定できません。かじった部位と量、時刻を控えて動物病院に連絡し、指示を仰いでください。掘り癖のある子は球根を掘り出すおそれがあるため、群生地では地面を掘らせないことも大切です。
銀杏を踏んでしまいました。食べていなければ問題ないですか。
銀杏の外種皮(果肉部分)は、触れるだけで皮膚の炎症を起こすことがあるとされています。踏んだだけであれば、帰宅後に肉球と指の間をぬるま湯でよく洗い流し、赤み・かゆがる様子・しきりに舐める様子がないか確認してください。犬は足を舐めるので、付着したままにしないことが大切です。皮膚に異常が出た場合や、舐めて口にした可能性がある場合は動物病院に相談を。
拾い食い防止に口輪を使ったほうがよいのでしょうか。
口輪(バスケットマズル)も選択肢のひとつではありますが、この記事ではまず、コース選びとリードの管理で犬の口が危険物に届かない状況を作ることをおすすめしています。口輪は正しく慣らさないと犬のストレスになり、パンティング(口を開けた呼吸)を妨げるタイプは安全面の配慮も必要です。拾い食いが激しく管理だけでは追いつかない場合は、自己判断で装着するのではなく、獣医師やトレーナーに相談して、その子に合う道具と慣らし方を選んでください。
秋以外は気にしなくてよいですか。
季節ごとに顔ぶれが変わるだけで、危険がなくなるわけではありません。春はスイセンやチューリップの球根、夏は熱中症や除草剤の散布時期、冬は融雪剤などが話題になります。キノコも秋だけでなく梅雨時に増えることがあります。「植え込み・花壇・落ちているものに口を近づけない」という基本ルールは通年のものとして、季節の変わり目にコースを見直す習慣をつけるのがおすすめです。

まとめ

秋の散歩道は、キノコ・彼岸花・銀杏・どんぐり・朝顔の種と、犬にとっての「落とし穴」が一年でいちばん増える場所です。ただ、必要なのは怖がることではなく、危険の在り処を知って歩き方を変えることだと思います。

野生のキノコは見分けようとせず近づかない。彼岸花の群生地とイチョウ並木は「素通りゾーン」にする。落下物の多い場所ではリードを短く、匂い嗅ぎは安全を確認した場所での許可制に。そして万一口にしてしまったら、自己判断で吐かせず、「何を・いつ・どれくらい」と現物・写真を持って動物病院へ——。この記事で持ち帰ってほしいのは、この数行です。

キノコや銀杏のように、食べた直後は元気に見えて、あとから症状が出るものがあります。「元気だから大丈夫」ではなく「元気なうちに電話」を合言葉に、かかりつけと夜間救急の連絡先を今日のうちにスマートフォンへ登録しておきましょう。足元にさえ気をつければ、秋は犬と歩くのに最高の季節です。どうか安全に、長く楽しんでください。

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