犬の耳掃除のやり方|必要な頻度・正しい手順とNG行為、外耳炎の予防
対象の目安: 全ライフステージ

「耳掃除って、どのくらいの頻度でやればいいの?」「綿棒で奥まで拭いていいの?」——犬の耳ケアは、意外と迷いやすいテーマです。実は健康な犬の耳には自分できれいに保つ力(自浄作用)が備わっていて、頻繁な掃除はかえって逆効果になることもあります。一方で、たれ耳や脂っぽい体質の子など、こまめなチェックが向く犬もいます。この記事では、耳掃除が必要になりやすい子の特徴、頻度の目安、正しい手順とやってはいけないこと、そして外耳炎のサインと予防・受診の目安まで、家庭でできる耳ケアの基本を整理します。
犬の耳掃除は毎回必要とは限らない
まず知っておきたいのは、健康な犬の耳は、もともと自分をきれいに保つ力を持っているということです。耳の中では古い細胞や汚れが少しずつ外側へ運び出される仕組み(自浄作用)が働いていて、健康な状態であれば耳垢が大量にたまり続けることはないとされています。そのため、健康な耳に対して念入りな掃除をひんぱんに行う必要はありません。
むしろ、汚れていないのに毎日ゴシゴシと掃除をすると、デリケートな耳の皮膚を刺激して赤みやかゆみを招いたり、必要な皮脂まで取り除いてバランスを崩したりすることがあります。「きれいにしてあげたい」という気持ちが、かえって耳の負担になることもあるのです。
健康な犬の耳には自浄作用があり、基本的に頻繁な耳掃除は不要とされること、やりすぎがかえって炎症の一因になり得ることは、ペット保険各社や動物病院、メーカーが公開する獣医監修の解説で共通して紹介されています。必要性には犬種差・個体差があります。
耳掃除・耳のチェックが必要になりやすい子
一方で、次のような特徴を持つ子は、耳の中が蒸れやすかったり汚れがたまりやすかったりして、こまめなチェックやケアが向きます。
- たれ耳の犬種(耳がふさがって通気が悪く、湿気がこもりやすい)
- 脂漏体質など、皮脂や分泌物が多めの子
- 短頭種など、耳道の形状で汚れがたまりやすい子
- 耳道の中に毛が多く生えている犬種
- 水遊びやシャンプーで耳が濡れる機会が多い子
こうした子では、耳の中がじめじめしやすく、汚れや菌が増えて外耳炎につながることがあります。だからといって過剰に掃除する必要はなく、「まず観察して、汚れているときに、見える範囲だけやさしくケアする」のが基本の考え方です。
耳掃除の頻度の目安
頻度は、その子の耳の状態によって変わります。あくまで一般的な目安として、次のように考えると迷いにくくなります。
| 項目 | 一般的な目安 | ポイント |
|---|---|---|
| 汚れのチェック | 週1回程度 | スキンシップのついでに耳の中とにおいを確認する |
| 掃除(必要な子) | 月1〜2回程度 | 汚れているときに、見える範囲だけやさしく拭く |
| 健康で汚れのない子 | 基本は不要 | 無理に掃除せず、観察を中心にする |
大切なのは「決まった回数を必ずこなす」ことではなく、「その子の耳を見て、必要なときにケアする」ことです。汚れていないのに頻度だけを守って掃除すると、前述のとおり刺激になってしまいます。逆に、汚れやすい子で放置してしまうと、においや炎症につながることもあります。まずは週に1回、耳の中をのぞいてにおいを確認する習慣をつけると、変化に早く気づけます。
メモ
正しい耳掃除のやり方
家庭で行う耳掃除は、「見える範囲だけを、やさしく」が大原則です。耳の奥(耳道の奥)には触れず、外から見えるヒダや入り口の汚れを取り除くイメージで行います。用意するのは、犬用のイヤークリーナー(洗浄液)とコットンです。
- 1
落ち着いた状態で耳を観察する
まずは犬がリラックスしているタイミングで、耳の中をのぞいて汚れやにおい、赤みがないか確認します。強いにおいや黒っぽい耳垢、赤み・腫れがあるときは、掃除より先に動物病院で見てもらうほうが安心です。 - 2
コットンにイヤークリーナーを含ませる
犬用のイヤークリーナーをコットンにたっぷり含ませます。ティッシュや乾いたコットンでこするのではなく、洗浄液で汚れを浮かせてやさしく拭き取るのがポイントです。 - 3
見える範囲だけをやさしく拭く
耳の入り口や見えるヒダの部分を、指が届く範囲でそっと拭います。奥に押し込まず、汚れを外側にかき出すように動かします。ゴシゴシこすらず、力を入れすぎないようにします。 - 4
短時間で切り上げ、ごほうびをあげる
耳掃除は長引かせず、手早く終えます。終わったらほめておやつをあげ、「耳を触られるといいことがある」と感じられるようにすると、次回がラクになります。
洗浄液を耳の中に直接入れて揉むケア方法もありますが、やり方や適否は耳の状態によって変わり、炎症があるときには向かないこともあります。初めて行う場合や、耳道内までケアが必要かどうかは、自己判断せず、かかりつけの獣医師に方法を教わってから行うと安心です。
やってはいけないNG行為
よかれと思ってやったことが、耳を傷つけたり炎症を悪化させたりすることがあります。次の行為は避けましょう。
- 綿棒や耳かきで奥を突く:耳の中を傷つけたり、汚れをかえって奥へ押し込んでしまうおそれがあります。
- 見えない奥まで無理に掃除する:耳道はデリケートで、奥に触れると刺激や炎症の原因になります。
- ウェットティッシュや水、消毒液の自己判断での使用:人用の製品や刺激の強い液は、犬の耳に合わないことがあります。オキシドール(オキシフル)などを自己判断で使うのも避けましょう。
- 汚れていないのに毎日掃除する:やりすぎは刺激になり、かえってトラブルを招くことがあります。
- 嫌がるのを押さえつけて続ける:耳への苦手意識が強まり、ケアがさらに難しくなります。
注意
耳を嫌がるときの工夫
耳はデリケートな場所で、触られるのが苦手な子は少なくありません。無理に押さえてやると、ますます嫌いになってしまいます。次のような工夫で、少しずつ慣らしていきましょう。
- 一度に全部やろうとせず、まずは耳に触れるだけ・片耳だけなど、短時間で切り上げる
- 触れられたら、そのつどおやつやほめ言葉でごほうびをあげる
- 眠そうなときやリラックスしているタイミングを選ぶ
- どうしても嫌がる・暴れる場合は無理をせず、トリミングサロンや動物病院に相談する
焦らず、その子のペースで「耳を触られても大丈夫」を積み重ねていくことが、結果的にいちばんの近道になります。
外耳炎のサインを見逃さない
耳のトラブルで多いのが外耳炎です。耳の中が炎症を起こしている状態で、放っておくと悪化したりくり返したりすることがあります。次のようなサインに気づいたら、早めに耳の中を確認しましょう。
| 健康な耳の様子 | 外耳炎など要注意のサイン |
|---|---|
| 耳の中がうすいピンク色できれい | 耳の中が赤い・腫れている |
| においがほとんどない | 独特の酸っぱい・強いにおいがする |
| 耳垢がほとんどない、少量 | 黒っぽい・茶色い耳垢が多い、べたつく分泌物 |
| 耳を気にしていない | かゆがる・頭をよく振る・床や家具に耳をこすりつける |
| 触っても嫌がらない | 耳を触ると痛がる・怒る、しきりに後ろ足でかく |
耳垢の色は原因によっても異なり、黒っぽい・茶色い耳垢や、強いにおいを伴うときは注意が必要とされています。かゆがって頭を振る、耳をこすりつける、といった行動は、犬が耳の不快感を伝えているサインです。こうした様子が見られたら、家庭の掃除で様子を見続けず、動物病院で原因を調べてもらいましょう。
外耳炎では、かゆみによって頭を振る・後ろ足でかく・耳をこすりつけるといった行動や、赤み、黒〜茶色の耳垢の増加、独特のにおいがみられることが、アニコム損保やペット保険各社の獣医監修解説で紹介されています。耳垢の色やにおいは原因によって異なり、診断や治療は獣医師の領域です。
外耳炎を予防するために
外耳炎は、耳の中が「じめじめ・蒸れる」環境で起こりやすくなります。家庭でできる予防の基本は、耳を清潔で乾いた状態に保つことです。
- 水遊びやシャンプーのあとは、耳の中に入った水分をやさしく拭き取り、しっかり乾かす
- 湿度の高い季節は、とくにたれ耳の子の耳の中がこもっていないか気をつける
- 週1回程度、耳の中とにおいを観察して、変化に早く気づく
- 汚れているときだけ、見える範囲をやさしくケアする(やりすぎない)
- 気になる汚れやにおいが続くときは、自己流で対処せず獣医師に相談する
耳の健康を守るための習慣
- 水遊び・シャンプーのあとは耳まわりの水分を拭き、乾かす
- 週1回、耳の中の色・におい・汚れをチェックする
- 掃除は汚れているときだけ、見える範囲をやさしく
- 綿棒や耳かきで奥を突かない、人用の製品を自己判断で使わない
- 黒い耳垢・におい・かゆみ・痛みがあれば早めに動物病院へ
動物病院を受診する目安
耳のトラブルは、見た目が似ていても原因はさまざまで、必要な対応も変わります。次のような場合は、家庭での掃除を続けず、動物病院に相談してください。
- 強いにおいがする、黒っぽい・茶色い耳垢が多い、べたつく分泌物が出る
- 耳の中が赤い・腫れている、触ると痛がる
- しきりにかゆがる、頭を振る、耳をこすりつける
- 一度よくなっても、くり返し耳のトラブルが起きる
- 市販のクリーナーで掃除しても改善しない、または悪化した
外耳炎は放置すると悪化することがあり、こじれると治りに時間がかかったり、くり返したりすることもあります。市販のクリーナーや自己流のケアで様子を見続けると、原因の特定が難しくなることもあるため、気になるサインがあるときは早めにプロの目を頼るのが安心です。
よくある質問
健康そうな犬でも、定期的に耳掃除をしたほうがいいですか。
綿棒を使って耳の奥まで掃除してもいいですか。
耳がにおって、黒い耳垢が出ています。市販のクリーナーで掃除して様子を見てもいいですか。
耳掃除をとても嫌がります。どうすればいいですか。
まとめ
犬の耳掃除は、「毎回必ずやるもの」ではありません。健康な耳には自浄作用があり、汚れていないのにひんぱんに掃除すると、かえって刺激になってしまうこともあります。一方で、たれ耳・脂漏体質・短頭種・耳道に毛が多い子・水遊びをよくする子は汚れやすく、こまめなチェックが向きます。
基本は、週1回ほど耳の中とにおいを観察し、汚れているときだけ犬用イヤークリーナーとコットンで見える範囲をやさしく拭くこと。綿棒や耳かきで奥を突く、人用の製品を自己判断で使う、といったNG行為は避けましょう。そして、かゆがる・頭を振る・赤み・黒い耳垢・においといった外耳炎のサインが見られたら、自己流のケアを続けず、早めに動物病院へ。愛犬の耳を清潔で乾いた状態に保ちながら、その子のペースで無理なくケアを続けていきましょう。
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